キャリア・働き方16

SESエンジニアが
「成長できない」と感じたら読む

野沢営業アシスタント

Heyday営業サポート野沢が成長相談を日常的に対応する現場視点で執筆

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この記事でわかること

  • 「成長できない」の3パターン(案件起因・会社起因・本人起因)の分類
  • 成長できる案件とできない案件の構造的な違い
  • 案件選択権を持つための交渉・伝え方の実務

この記事の対象: SESで成長できないと感じており、現状を打開したいエンジニア

「SESにいると成長できない」という言葉を、エンジニアから何度も聞いてきた。

私はHeyday株式会社で営業サポートを担当している野沢だ。エンジニアからのキャリア相談・案件希望のヒアリング・条件調整を日常的に行っている。「成長できない」という相談は、案件トラブルや待機相談と並んで最も多いカテゴリだ。

この言葉には複雑な背景がある。

一方では「その通りだ」と感じる部分がある。 SESの構造には、エンジニアの成長を妨げる要因が確かに存在する。

もう一方では「それは案件と会社の選択次第で変わる」とも見ている。 同じSESという形態でも、成長できている人とできていない人の差は、案件の質と選択の主体性によって大きく分かれるからだ。

この記事では、「成長できない」という感覚を3つのパターンに分類し、それぞれの原因と対処法を具体的に解説する。

「成長できない」3つのパターン

「成長できない」という感覚は、一つではない。 大きく分けると以下の3つのパターンがある。

パターン1:技術・スキル的な停滞

最も多いパターンだ。

「同じ言語・同じフレームワークを何年も使っている」 「新しい技術に触れる機会がない」 「レガシーシステムの保守しかやっていない」

技術的な成長が止まっていると感じるケースだ。

SESエンジニアは客先に常駐するため、クライアントが使っている技術スタックに依存する。 クライアントが古い技術を使っていれば、その技術しか触れない。 しかも、「外部から来た人」として扱われやすいSESの立場では、新しい技術の試行や設計への参加を任せてもらえないことも多い。

パターン2:キャリア的な停滞

「実装はできるが、設計に関われない」 「上流工程の経験が積めない」 「テクニカルリードやPMを目指したいが、その機会がない」

技術的なスキルの深さだけでなく、業務の幅や職位としての成長が止まっているケースだ。

SESでは、コアな業務(設計・要件定義)はクライアントの正社員が担い、外部のSESエンジニアには実装やテストが割り当てられる構造になりやすい。 これがキャリアの「幅」を狭める原因になる。

パターン3:収入的な停滞

「スキルが上がっているはずなのに、給与が変わらない」 「何年たっても昇給がほとんどない」

技術は成長していても、それが収入に反映されていないケースだ。

SESの給与は、会社が設定した給与テーブルや評価制度に左右される。 案件単価が上がっても、それがそのまま給与に反映されるわけではない。 マージン率が一定であれば、単価が上がれば会社の取り分も増えるが、エンジニアの手取りはほとんど変わらない、というケースが起きる。自分のスキルに見合った単価を知るには、言語別の相場データ(例: Javaエンジニア単価ガイド)を参考にするのが手早い。


SESで成長できないのは構造問題か、個人問題か

正直に言う。両方だ。

構造的な問題

SESという形態が持つ本質的な制約として、以下は否定できない。

クライアントの技術スタックへの依存: クライアントが古い技術を使っていれば、最新技術に触れる機会が自然に減る。

「外部リソース」としての扱われ方: コアな業務はクライアントの社員が担うという構造は、多くの現場で変わらない。成長できない案件から離れるには契約更新時の辞退が最も現実的な選択肢だ。

評価の不透明さ: 現場での貢献が自社の評価に反映されにくいことは、SES全体に共通する課題だ。

これらは個人の努力だけでは変えられない部分がある。

個人の問題

一方で、以下は個人の選択と行動によって変えられる部分だ。

案件選択に主体性を持っているか: 「振られる案件をそのまま受ける」状態と「希望を明確に伝えて交渉する」状態では、数年後のキャリアに大きな差がつく。

自己学習をしているか: 現場で触れる技術だけに頼っていると、技術的な停滞は起きやすい。個人の勉強時間を確保しているかどうかは、個人の問題だ。

会社を選んでいるか: 成長機会のある案件を持っているか、エンジニアのキャリア開発を真剣に考えているかは、会社によって大きく異なる。「SESで成長できない」と言う前に、今の会社がそういう会社かどうかを確認してほしい。


「成長できない」と感じたら、まず現状を整理してほしい

今感じている「成長できない」が構造問題なのか、個人の問題なのか、あるいは会社・案件の問題なのかを整理することが最初のステップだ。 一人での整理が難しければ、話すだけでも構わない。

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自分の現在地(市場単価)を把握することも、状況を客観的に見るために役立つ。

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参考:SES案件の選び方|ハズレ案件を避ける7つのチェックリスト


成長できる案件とできない案件の違い

案件によって成長機会の差は大きい。 経験上、以下のような特徴で分けられる。

成長できる案件の特徴

上流工程への参加機会がある

要件定義・基本設計など、上流工程に外部のエンジニアが参加できる案件は存在する。 特に、スタートアップや中規模のSIerが元請けの案件では、実力があれば役割を広げられることが多い。

モダンな技術スタックを使っている

クラウド(AWS/Azure/GCP)・コンテナ(Docker/Kubernetes)・CI/CDパイプラインなどを使っている現場では、技術的な成長機会が多い。 これらの技術は市場価値にも直結するため、キャリア的にも有利だ。

業務の裁量がある

「言われた通りに実装するだけ」ではなく、「設計の提案も歓迎」という案件では、自分の考えを仕事に反映できる。 裁量がある現場ほど、スキルとモチベーションの両方が上がりやすい。

フィードバックがある

コードレビュー・設計レビューが機能している現場では、他のエンジニアから学べる機会が多い。 自分の書いたコードに対して「なぜこの実装にしたのか」を問われる環境は、技術的な成長を加速させる。

成長できない案件の特徴

業務が固定化されている

「テスト専任」「運用保守のみ」「特定の画面の実装だけ」という形で業務が固定されている現場では、スキルセットが広がらない。

技術スタックが古い

COBOL・VB.NET・オンプレ管理のみ、という案件は、技術的な市場価値という観点からは不利になりやすい。 ただし、レガシー技術の専門家として希少価値を持つという戦略もゼロではない。

商流が深い

3次請け・4次請けの案件は、末端に近い作業(テスト・単純実装)が多くなりやすい。 上流の情報がほとんど届かず、「なぜこの仕様なのか」が分からないまま実装する状態になることが多い。

チームの技術レベルが低い

周囲のエンジニアのレベルが低い環境では、刺激を受けにくく、自分のレベルアップのモチベーションが下がりやすい。 コードレビューが機能しない環境では、質の低いコードでも「動けばいい」として通ってしまう。


案件選択権を持つための交渉術

SESエンジニアの多くは「案件を選ぶ立場にない」と思っている。 しかし、交渉次第で選択権を持つことはできる。

交渉の基本:「何が嫌か」より「何をしたいか」で伝える

「今の案件がつらいので変えてほしい」という伝え方は、交渉として弱い。 担当者に「問題のある人」という印象を与えかねないし、「では別の案件を出します」とだけ言って、似たような案件を紹介されることもある。

効果的な伝え方は、「次のキャリアステップとして〇〇を経験したい」という形だ。

例:

  • 「クラウドの設計経験を積みたいので、AWS利用が前提の案件に移りたい」
  • 「フロントエンドからバックエンドに幅を広げたい」
  • 「上流工程を経験したいので、設計フェーズから参画できる案件を探してほしい」

具体的なスキル・工程・技術スタックを示して伝えることで、担当者も動きやすくなる。

営業サポートとして多くのヒアリングをしてきた経験から言うと、「希望を具体的に言えるエンジニア」は、案件のマッチング精度が明らかに上がる。「何でもいいです」という状態では、営業側も「空きがある案件」を当ててしまいがちだ。逆に「Pythonで設計から入れる案件、商流は2次請けまで」と言えるエンジニアには、候補を絞り込んで提案できる。遠慮せずに言ってほしい。

「なんでもやります」は最も弱い立場

スキルに自信がない段階では「なんでもやります」と言いたくなるかもしれない。 しかしこれは、案件の選択権を完全に放棄することと同じだ。

担当者は、「なんでもやります」と言った人に対して、条件的にマージンの高い案件や、人が集まりにくい案件を当てることになりやすい。 これは担当者が悪意を持っているのではなく、「この人は何の案件でもいい」という情報から自然にそうなる構造だ。

たとえ「どんな案件でも受けられる」という状況でも、「希望はある」という形で伝えることが重要だ。

断る権利を使う

案件の提案を断ることに罪悪感を持つエンジニアは多い。

断っていい。 案件の面談(顔合わせ)を断ることも、条件が合わない案件を断ることも、SESエンジニアの権利だ。

ただし、断る際は理由を具体的に伝えることが重要だ。 「なんとなく合わない気がする」ではなく、「技術スタックが自分の希望と合わないため」という理由を伝えれば、次の案件提案の質が上がる。


成長できるSES企業の選び方

「成長できない」問題の一部は、会社の選択によって解決できる。 転職を検討しているなら、以下のポイントで会社を評価してほしい。

エンジニアのキャリアに関心があるか

面談の段階で、「どんなスキルを身につけたいか」「どんなキャリアを目指しているか」を聞いてくれる会社は、少なくともエンジニアのキャリアに関心があるということだ。

「スキルシートを見せてください」だけで終わる会社と、「将来どうなりたいですか」まで掘り下げてくれる会社では、案件の紹介の仕方が変わる。

保有案件の質を確認する

面談で「具体的にどんな案件がありますか?」と聞いてほしい。

  • 直請け(1次請け・2次請け)の案件が多いか
  • 最新技術(クラウド・モダンフレームワーク)を使う案件があるか
  • 設計フェーズから参画できる案件があるか

これらに答えられない、あるいはすべて「保守・運用系」という答えしか来ない会社は、成長機会の観点では限界がある。

定期的なフォローがあるか

案件に入った後も、担当者が定期的に「スキルアップしているか」「案件に満足しているか」をフォローしてくれる会社かどうかを確認してほしい。

形式的な月次連絡だけの会社と、実際に1on1でキャリアの話をしてくれる会社では、案件変更のしやすさが変わる。

単価を開示しているか

自分の売上単価を教えてもらえる会社かどうかは、重要なチェックポイントだ。

単価が分かれば、「自分が生み出している価値に対して適正な報酬を受け取っているか」を判断できる。 単価を隠している会社は、その理由を考えると自然と分かることが多い。

参考:SES企業の選び方|後悔しない転職のための10のチェックポイント


フリーランスという選択肢

SESで成長できないと感じているエンジニアの一部には、フリーランスへの転身が有効な場合がある。

フリーランスのメリットの一つは、案件選択の自由度が上がることだ。 エージェント経由で複数の案件にアクセスできるため、技術スタックや工程を条件に案件を選びやすくなる。 単価の透明性も上がる(エージェント手数料が明示される)。

ただし、フリーランスが向いているのは、一定の経験(目安として3年以上)とスキルが整っている場合だ。 「成長できないからフリーランスになる」ではなく、「スキルをある程度積んでから、成長の場としてフリーランスを選ぶ」という順序が重要だ。

参考:SESからフリーランスへの転身ガイド

参考:SES vs フリーランス、どちらが稼げるか


Heydayでは契約単価・マージン・商流をすべて開示しています

「自分の単価が適正か分からない」「もっといい条件の案件があるのでは」という方のご相談を受け付けている。 Heydayでは稼働前に契約単価を本人に開示し、マージン構造についても質問があればすべて回答している。

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よくある質問(FAQ)

Q. SESでは本当に成長できないのですか?

A. 一概には言えない。案件の質・会社の方針・個人の取り組み方によって大きく異なる。 ただし、「案件を選ぶ主体性を持たない状態」で長く続けると、成長が止まりやすいことは事実だ。

Q. 成長するためにどんな案件を選ぶべきですか?

A. 技術的な成長を求めるならモダンな技術スタック(クラウド・コンテナ・DevOps)を使う現場。 キャリア的な成長を求めるなら上流工程(設計・要件定義)に参加できる案件。 この二つを優先基準として案件を選ぶことを勧める。

Q. 案件変更の希望を会社に伝えても動いてもらえません。どうすればいいですか?

A. 「何が希望か」を具体的に伝えても動いてもらえない場合は、会社側に該当する案件がないか、あるいはエンジニアのキャリアを優先して動く体制がないかのどちらかだ。 対話を続けて3ヶ月以上動きがない場合は、転職も現実的な選択肢として検討すべき段階だ。

Q. 自己学習でどのくらいカバーできますか?

A. 技術的な知識の習得は自己学習でかなりカバーできる。 しかし、「実際の現場での経験」は自己学習では代替できない。 資格・個人開発・社外活動を組み合わせながら、並行して案件の質を上げる動きをすることが最も効果的だ。

Q. 「成長できるSES会社」に転職したいのですが、見分け方を教えてください。

A. 面談でキャリアの希望を聞いてくれるか、保有案件の技術スタックが具体的に説明できるか、単価を開示しているか、の3点を確認してほしい。 それに加えて、定期フォローの仕組みがあるかどうかも重要な判断材料になる。


まとめ

SESで「成長できない」と感じる原因は、構造問題と個人問題の両方にある。

構造的な問題としては、クライアントの技術スタックへの依存、「外部リソース」としての扱われ方、評価の不透明さが挙げられる。

個人の問題としては、案件選択の主体性、自己学習への取り組み、会社の選択が影響している。

「成長できない」を変えるための実践的なステップは以下だ。

  1. 「何が成長できないのか」を3パターンで整理する(技術・キャリア・収入)
  2. 今の案件が成長できる案件かどうかを評価する
  3. 担当者に「こういうスキルを積みたい」という形で具体的な希望を伝える
  4. 動いてもらえない場合は、会社を変えることを検討する

待っていても案件の質は変わらない。 主体的に動いた人が、SESでも成長できる。

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Q. SESで成長できないと感じたとき、まず何をすべきですか?

A. まず「何が成長できないのか」を具体化することだ。技術スキルなのか、キャリアステップなのか、収入なのかによって解決策が変わる。具体的な状況を言語化したうえで、担当営業に「こういうスキルを積みたい案件に移りたい」と伝えることが最初のアクションだ。

Q. SESエンジニアが上流工程の経験を積むにはどうすればいいですか?

A. 担当営業に「設計や要件定義に関われる案件を希望する」と具体的に伝えることが第一歩だ。完全に設計を任される必要はなく、「要件整理の会議に参加できる」「設計書のレビューに関われる」レベルから始めることで経験を積める。現場の先輩に積極的に関与していくことも有効だ。

Q. 成長できるSES会社を見分けるには何を確認すればいいですか?

A. 3点を確認してほしい。①キャリアの希望を面談で具体的に聞いてくれるか、②保有案件の技術スタックを具体的に説明できるか、③定期的なキャリアフォローの仕組みがあるか。この3点を満たせない会社は、エンジニアの成長を優先する体制が弱いと判断して良い。

Q. SESから自社開発に転職する前に、SESでできる準備はありますか?

A. 現在の案件でできる限り上流工程に関わり、その経験を言語化しておくことが最も重要だ。それと並行して、GitHubに個人開発の成果物を公開すること、資格(AWS・GCP等)を取得すること、技術ブログやSNSでアウトプットすることが転職市場での評価を高める準備になる。

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この記事の著者

野沢

Heyday株式会社 営業アシスタント

Heyday営業サポート野沢が成長相談を日常的に対応する現場視点で執筆

Heyday株式会社 営業アシスタント。SES業界8年。エンジニアの現場入り支援・契約実務・待機期間のフォローを担当する。

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