「自分の単価って、Spring Boot使ってる割には低い気がする…」
Javaエンジニアからこういう相談を受けることが多い。
Java案件はSES市場で最もボリュームが大きい分、エンジニアの供給も多く、単価の差が開きやすい。 同じ「Java経験5年」でも、月単価が60万円と80万円に分かれることが普通に起きる。
差を生む要因は3つだ。
- どのフレームワークを使っているか(Spring BootかStrutsか)
- 上流工程経験の有無(設計・要件定義)
- クラウド経験の有無(AWS/GCP/Azure)
Heydayでは創業以来、年間100件以上のJava案件を扱ってきた。 2026年Q1時点でも、Java案件はHeydayが取り扱う全案件の中で最もボリュームが大きく、月単価55〜95万円のレンジで取引されている。 この記事では、その現場データをもとに2026年現在の単価相場を経験年数・フレームワーク・スキル別に整理する。 自分の単価が適正かどうかを判断する基準として使ってほしい。
Javaエンジニアの単価相場(経験年数別)
以下の数字は、エンド直または1次請けの案件における実勢レンジだ。 多重下請け構造(3次・4次請け)では、これより15〜25%低くなるケースが多い。
| 経験年数 | 月額単価レンジ | 年収換算(目安) | 市場での立ち位置 |
|---|---|---|---|
| 1年未満 | 28〜40万円 | 336〜480万円 | 研修中・育成案件が中心 |
| 1〜3年 | 42〜62万円 | 504〜744万円 | 1人で稼働できる水準 |
| 3〜5年 | 55〜78万円 | 660〜936万円 | SES市場の標準的なエンジニア |
| 5〜10年 | 65〜95万円 | 780〜1,140万円 | 上流・クラウド次第で大きく変わる |
| 10年以上 | 80〜130万円 | 960〜1,560万円 | アーキテクト・テックリード案件 |
重要な前提: 同じ「経験5年」でも、Strutsしか経験がないエンジニアと、Spring Boot + AWS + 設計経験があるエンジニアでは単価が月20〜30万円変わることがある。 年数はあくまでひとつの指標に過ぎない。
フレームワーク別の単価差(2026年現在)
Javaの単価を決める最大の変数のひとつが「どのフレームワークを使っているか」だ。
| フレームワーク/技術 | 単価レンジ(経験3〜5年) | 市場トレンド | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Spring Boot | 62〜88万円 | 拡大中 | 現在の主流。マイクロサービス案件で需要増 |
| Spring Cloud | 68〜95万円 | 拡大中 | マイクロサービス間連携・API Gateway等 |
| Spring Framework(非Boot) | 55〜78万円 | 横ばい | SI系・金融系で根強い需要 |
| Quarkus / Micronaut | 65〜92万円 | 拡大中 | クラウドネイティブ対応。希少性が高い |
| Jakarta EE(旧Java EE) | 55〜80万円 | 横ばい | 大手SI・金融系の大規模システム |
| Hibernate / JPA | 55〜75万円 | 横ばい | Spring Bootと組み合わせが多い |
| Struts 1/2 | 42〜65万円 | 縮小中 | レガシーシステム保守案件が中心 |
SES経営者として300人以上のエンジニアのキャリアに関わってきた立場から言えば、2026年のJava案件で最も単価が伸びているのはSpring Boot + クラウド(AWS/GCP)の組み合わせだ。Heydayの2026年Q1のデータでは、Spring Boot案件の平均単価がStruts案件より月15万円以上高い水準で推移している。
Strutsはなぜ単価が低くなるのか
Strutsは2000年代に多く使われたフレームワークで、レガシーシステムの保守案件が中心になっている。 新規開発での採用はほぼなく、案件の単価も更新されにくい。
Struts専任だとクライアントも選べないし、単価交渉の余地も小さくなる。 もしStruts案件しか経験がない場合、副業・自己学習でSpring Bootの実績を作ることが単価アップへの近道になる。
Spring BootとSpring Cloudの違い
Spring Cloudはマイクロサービス構成のシステムで使われる技術群だ(サービスディスカバリ・API Gateway・分散トレーシング等)。 Spring Bootの上位レイヤーにある技術であり、Spring Cloud経験があるエンジニアは月5〜10万円のプレミアムがつくことが多い。
上流工程・クラウド経験による単価プレミアム
Javaの基本単価に上乗せされるスキルの効果を示す。
上流工程経験
| 上流工程の経験 | 月額への影響 | 備考 |
|---|---|---|
| テスト設計・レビュー | +2〜5万円 | テストリードとしての評価 |
| 詳細設計 | +3〜8万円 | 設計書作成・レビュー経験 |
| 基本設計 | +6〜12万円 | 要件をシステムに落とし込む力 |
| 要件定義 | +8〜15万円 | ビジネス要件の理解と整理 |
| PM / テックリード | +12〜22万円 | チームをまとめる経験は希少 |
要件定義・PM経験があるエンジニアは、同じ経験年数でも「上流案件」専用の枠で探されるため、競合するエンジニアが少なく単価交渉力が高い。
クラウド経験
| クラウド | 月額への影響 | 具体的なスキル |
|---|---|---|
| AWS | +5〜14万円 | EC2/RDS/S3/ECS/Lambdaが基本。上位資格(SAP/DVA)で上昇 |
| GCP | +5〜11万円 | BigQuery/Cloud Run経験があると高評価 |
| Azure | +4〜11万円 | .NETとの組み合わせで需要が高い |
私が経営するHeydayでの実例を挙げると、Spring Boot + AWS(EC2/RDS/S3)+ 基本設計経験の組み合わせを持つ経験5年のエンジニアの案件は、同じ経験年数で実装のみのエンジニアより月15〜25万円高い単価で決まることが多い。
スキルは「単独」より「掛け算」で評価される。
業種別の単価プレミアム
Javaは特定の業種で単価が高くなる傾向がある。
| 業種 | 単価の傾向 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 金融(銀行・証券・保険) | +10〜20万円 | 規制対応・高い品質要件・セキュリティ基準 |
| 官公庁・自治体システム | +6〜16万円 | 大規模・長期案件。予算が確保されやすい |
| 通信・インフラ | +5〜13万円 | 可用性要件が高く、専門性が評価される |
| EC・流通(大規模) | 標準〜+10万円 | 高トラフィック処理経験が評価される |
| 一般業務系(中小向け) | 標準 | 案件数は多いが単価は抑えめ |
金融系案件は技術的な難易度よりも品質基準・セキュリティ要件の厳しさで単価が高い。 金融系の経験があると、その後の案件選択肢が広がり、単価交渉でも有利になる。
