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キャリア・働き方2026年4月13日 更新)

SESの働き方ガイド|リモート・残業・単価・キャリアの実態を整理する

小川将司
小川将司代表取締役

SES事業6年・のべ200件以上の案件マッチングに関わったHeyday代表が営業現場視点で執筆

この記事でわかること

  • SESの働き方は『案件の性質』『商流』『担当営業の動き』『会社方針』の4要素で決まる
  • リモート・残業・単価は会社単位ではなく案件単位で大きく変動し、同じ社内でも天地の差が出る
  • 商流が深いほど現場情報がフィルタされ、入場前の条件確認精度が構造的に下がる
  • 担当営業が案件情報を継続ヒアリングしているかどうかが、働き方の体験差の最大要因

この記事の対象: SESの働き方に一般論のブレを感じているエンジニア、次の案件選びでリモート/残業/キャリア条件を整理したい現役層

「SESって働き方どうですか?」と聞かれたとき、正直に答えるなら「案件によって全然違う」になる。

同じSES企業に在籍するエンジニアが、一人は完全リモートで残業月10時間以内、もう一人は週5出社で月40時間残業、ということが普通に起きる。これは極端な例ではなく、弊社Heydayで日常的に見てきた現実だ。

SES経営者として6年間、のべ200件以上の案件マッチングに関わってきた(2020年〜2026年Q1時点)。その経験から言えることがある。SESの働き方は「どの会社に入るか」ではなく「どの案件に入るか、そしてどの商流で入るか」で決まる。

この記事では、SESの働き方に影響する4つの要素を整理し、リモート・残業・単価・キャリアの作りやすさそれぞれについて現実的な情報を提供する。そのうえで、案件選びの判断軸と、よくある誤解を解く。

SESの働き方を決める4つの要素

SESエンジニアの日常は、次の4つで決まる。

1. 案件(現場)の性質

最も大きな影響を持つのが、入場する案件そのものだ。

  • リモート可否はクライアント企業の方針と、現場PMの考え方で決まる
  • 残業量は案件のフェーズ(開発・運用・保守・マイグレーションなど)によって大きく変わる
  • 技術スタックが自分のキャリア方向と合っているかどうか

「SESはリモート無理」「SESは残業多い」という一般論は、案件を見ていない。案件の性質が全てだ。

2. 商流(何次受けか)

案件の表に見えないが、実は働き方に影響する要素が商流だ。

直接取引(エンドクライアント直)

  • 情報の鮮度が高い(残業・リモート条件の変化を早く知れる)
  • 条件交渉のスピードが速い
  • 中抜きが少ないため単価が上がりやすい

2次・3次受け

  • 情報がフィルタリングされて伝わる(実際の残業量や現場の雰囲気が届きにくい)
  • 条件変更の際、複数社を通すため対応が遅れる
  • 単価から各層の取り分が引かれる

商流が深くなるほど、エンジニアは「現場で何が起きているか」を知る手段が減る。入場前の条件確認も、間に入るSIerの営業を通じて行われるため、細部の情報が落ちやすい。

3. 担当営業の動き方

同じ会社のエンジニアでも、担当営業の質で働き方の体験が変わる。

働き方に良い影響を与える営業の特徴:

  • 案件の残業傾向・リモート率を事前に確認している
  • 入場後も定期的に現場の状況をヒアリングしている
  • エンジニアの「こういう案件は避けたい」を引き出してマッチングに活かしている

逆に、営業が単純に「空いてる案件に入れる」だけの動きをしていると、エンジニアは案件を選ぶことができない。入場後に「聞いていた条件と違う」という事態が起きやすい。

4. SES企業の方針

最後の要素が、所属するSES企業の方針だ。

  • 待機期間中の給与保証はあるか
  • 案件終了後の次案件選定に、エンジニアの希望をどれだけ反映できるか
  • 研修・スキルアップ支援の有無
  • 複数商流を持っているか(1社依存だと案件の選択肢が限られる)

会社の方針は「大きな枠」を決める。しかし日々の働き方の細部は、上記3つの要素が決める。


リモート・残業・単価・キャリアの実態

リモートワーク

「SESでフルリモートは可能か?」という問いへの答えは「可能だが、条件を選ぶ必要がある」だ。

弊社の稼働エンジニアの現状(2026年Q1時点・稼働エンジニアn=約80名):

  • 完全リモート(週0出社):約15〜20%
  • ハイブリッド(週1〜2出社):約40〜45%
  • ハイブリッド(週3出社):約20〜25%
  • 週4〜5出社:約15〜20%

「完全リモート」の割合は多くない。だが「週1〜2出社のハイブリッド」まで含めると、半数以上のエンジニアが実質リモート中心で働いている。

リモートになりやすい案件の条件:

  • クラウドインフラ(AWS/GCP/Azure)、SRE、DevOps系
  • SaaS・スタートアップのWeb開発(TypeScript/Goなど)
  • データエンジニアリング(BigQuery、Spark、ETL)

リモートになりにくい案件:

  • 金融・官公庁・基幹系(セキュリティポリシーで制限されることが多い)
  • ハードウェア・ネットワーク系(物理作業が必要)
  • 現場OJTが主体の新規参画フェーズ

フルリモートの詳細条件と実現方法については、SESでフルリモートは現実的か|条件と注意点を解説で詳しく説明している。

残業量

SESの残業量は「多い」という印象を持たれやすいが、案件によって大きく違う。

残業が少ない傾向がある案件:

  • 運用・保守フェーズ(変化が少なく、スコープが固定されている)
  • 社内システム系(外部リリース日程がないため、無理なデッドラインが発生しにくい)
  • 官公庁・公共系(工程管理が厳格で、残業が文化的に少ない現場が多い)

残業が多くなりやすい案件:

  • 新規開発・リプレースのピーク期
  • SIer主導の請負に近い構造(スコープが広い、仕様変更が多い)
  • リリース直前の結合テスト・UAT期間

案件選定時に「残業が少ない」かどうかを確認する方法は、単純に「残業は少ないですか?」と聞いても意味がない。表面的な質問には「少ないです」と返ってくることが多い。確認方法の詳細はSESで残業が少ない案件の見分け方で整理している。

単価

SESの単価は、スキル・経験年数だけでなく、商流の深さとスタック選択で大きく変わる。

言語・技術別の単価帯(弊社案件ベース、2026年Q1時点・直近6ヶ月の成約データ):

  • Go/Rust:65〜90万円
  • Python(AI/ML):65〜85万円
  • TypeScript(フルスタック):60〜80万円
  • Java(エンタープライズ):55〜75万円
  • PHP/Ruby:45〜60万円
  • COBOL・VB.NET:55〜70万円(希少性による)

経験年数より「スタックの希少性」と「上流工程経験の有無」が単価に効く。3年目でも、クラウド構築経験+要件定義経験があれば、10年目の従来型Javaエンジニアより高単価になるケースがある。

キャリアの作りやすさ

SESでキャリアを積めるかどうかは「どの案件に入れるか」の積み重ねだ。

  • 同じ技術スタック内で深さを積む(スペシャリスト戦略)
  • 技術スタックを横断しながら、上流工程経験を積む(PM・アーキテクト戦略)
  • 特定業種(金融・医療・EC)の知識を武器にする(ドメインエキスパート戦略)

SESの特性は「複数の現場を経験できること」だが、この経験を活かすには案件選びに意図を持つ必要がある。「次もなんとなく案件に入る」を繰り返すと、幅だけ広がってスペシャリティが育たない。


よくある誤解

「高還元SES=良い働き方」は成立しない

還元率が高い会社でも、入る案件の質が悪ければ働き方は改善しない。高還元は「給与の分配比率が良い」ことであって、「リモートが多い」「残業が少ない」とは別の軸だ。

「大手SES=安定」は半分正解

大手SESは案件数が多く、待機リスクが低い傾向はある。しかし「稼働できている=良い案件に入れている」ではない。商流が深く、条件確認が不透明なままマッチングされるリスクも大きい。

「フリーランスの方が自由度が高い」は状況次第

フリーランスは案件の選択肢を自分でコントロールしやすい面がある。しかし案件途絶リスク・社会保険の自己負担・確定申告の手間もある。「自由度が高い」は正しいが、「負担も高い」のが現実だ。詳しくはSES正社員 vs フリーランス完全比較ガイドを参照してほしい。


SESの働き方が「合う人」と「合わない人」

合いやすい人

  • 現場ごとに環境が変わることを刺激として受け取れる
  • 技術の幅を広げたい時期のエンジニア(特に1〜5年目)
  • リモート・勤務地・残業量の条件を明確に持っていて、案件選びに活かせる人
  • 転職や独立を視野に入れながら、スキルを蓄積したい人

合いにくい人

  • 特定のプロダクトを長期間育てたい(SaaSの自社開発に近い欲求)
  • 毎回の案件交代によるプロジェクトの途切れ感がストレスになる
  • 案件のセレクションを自分で積極的に行うのが面倒

「合わない」人がSESを避けるべきかどうかは、キャリアステージと目的次第だ。20代前半のスキル蓄積期なら、SESで複数現場を経験することに大きな意味がある。30代でプロダクト志向が固まった人には、自社開発企業の方が合うケースが多い。


このクラスタの子記事

「SES×働き方」に関連する具体的なテーマを、以下の記事で深掘りしている。


Heydayが働き方に透明性を持つ理由

Heydayは、エンジニアとの面談の中で「どんな働き方を希望しているか」を最初に聞く。リモート比率・残業の許容範囲・次に積みたいスキル。これを明確にしたうえで案件を探す。

理由はシンプルで、合わない案件に入ったエンジニアは長続きしないからだ。無理なマッチングをして稼働が始まっても、3ヶ月後に案件終了になれば誰も得しない。

弊社では案件ごとにリモート率・残業傾向・直近半年の稼働状況を確認してから提案している。全ての条件が事前に確定するわけではないが、「聞いていなかった」「確認していなかった」で終わらない姿勢をとっている。

あなたの希望する働き方と現在の市場価値を確認したい場合は、以下から診断してほしい。

あるいは、具体的な案件の条件を相談したい場合は、キャリア相談からご連絡ください。案件の詳細情報をもとに話せる。


まとめ

SESの働き方を左右するのは、会社ブランドではなく4つの要素だ。

  1. 案件(現場)の性質 — リモート可否・残業傾向・技術スタック
  2. 商流(何次受けか)— 情報の鮮度・単価への影響・条件交渉の速さ
  3. 担当営業の質 — 希望のヒアリング・案件情報の正確さ・入場後のサポート
  4. SES企業の方針 — 待機保証・スキルアップ支援・案件の選択肢の幅

「SESの働き方」を判断するとき、会社名や規模だけでなく、これら4つを確認することが実際の働き方の改善に直結する。

リモートと残業の具体的な見分け方は、子記事で詳しく説明している。

自分のスキルセットで、どのくらいの単価帯の案件に入れるのかを確認したい場合は、具体的な案件例はこちら →から実際の募集条件を見てほしい。

Heydayでは契約単価・マージン・商流をすべて開示しています

「自分の単価が適正か分からない」「もっといい条件の案件があるのでは」という方のご相談を受け付けている。 Heydayでは稼働前に契約単価を本人に開示し、マージン構造についても質問があればすべて回答している。

案件例を見てみる →

キャリア相談をする →

まとめ

SESを『会社』で選ぶ発想を捨て、『どの商流のどの案件に入るか』で選ぶと働き方の質は劇的に変わる。案件条件を引き出せる営業のいる会社こそが、事実上の『働き方の設計者』だ。

小川将司

この記事の著者

小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

SES事業6年・のべ200件以上の案件マッチングに関わったHeyday代表が営業現場視点で執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

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