「SESでフルリモートを希望しています」と伝えると、案件が決まりにくくなりますか?
これは面談でよく出てくる質問だ。Heydayの案件マッチング・営業サポートを担当している野沢が、この問いに正直に答える。
結論から言う。SESでのフルリモート(週0出社)は可能だ。ただし、実現できる条件が明確にある。その条件を理解せずに「フルリモートのみ」で探すと、案件が大幅に絞られて待機期間が長くなる。「どこで妥協するか」「何を変えれば選択肢が広がるか」を理解したうえで選ぶことが必要だ。
この記事では、フルリモートが実現できる案件の条件・スキル要件・入場後に出社が増えるパターン・よくある失敗を整理する。
SESでフルリモートが実現できる割合
まず数字で現実を確認する。
弊社Heydayで稼働中のエンジニアの出社状況(2026年時点):
- 完全リモート(週0出社):約15〜20%
- ハイブリッド(週1〜2出社):約40〜45%
- ハイブリッド(週3出社):約20〜25%
- 週4〜5出社:約15〜20%
フルリモートのエンジニアは全体の15〜20%だ。少数派ではあるが、決してレアなケースではない。「週1〜2出社のハイブリッド」まで許容できれば、半数以上が実質リモート中心の働き方をしている。
フルリモートが難しい理由は「SESという形態」ではなく、案件のクライアント業種・技術スタック・現場PMの方針だ。
フルリモートが実現しやすい案件条件
10年間の案件マッチング経験から、フルリモートになりやすい案件の条件を整理した。
クラウドインフラ・SRE・DevOps系
最もフルリモート率が高いカテゴリだ。
- AWS/GCP/Azureのインフラ構築・運用
- Terraform、Pulumi等のIaC案件
- Kubernetes、ECS等のコンテナオーケストレーション
- CI/CDパイプライン整備
これらは作業が完全にクラウド上で完結するため、物理的に現場に行く理由がない。弊社でも、クラウドインフラ系の案件エンジニアの大半がフルリモートか週1出社で稼働している。
SaaS・スタートアップのバックエンド・フロントエンド開発
Web系のスタートアップやSaaS企業では、2020年以降にリモート文化が定着した現場が多い。
- TypeScript/Go/Pythonを使うWeb API開発
- React/Next.jsを使うフロントエンド開発
- マイクロサービス設計・実装
ただしスタートアップは、資金調達フェーズ・リリース前後に「一時的に出社が増える」ことがある。フェーズによって条件が変わることは、入場前に確認しておく必要がある。
データエンジニアリング・MLOps
- BigQuery、Redshift等のデータウェアハウス設計
- dbt、Airflow等を使うデータパイプライン構築
- MLflowを使うモデル管理・デプロイパイプライン
データ系はリモート文化が根付いており、フルリモート案件の割合が高い。また希少性から単価も高めで、条件交渉がしやすいカテゴリだ。
フルリモートが難しい案件の特徴
一方で、フルリモートが実現しにくい案件も把握しておく必要がある。
金融・官公庁・基幹系
セキュリティポリシーが厳しく、「業務データを社外で扱えない」「VDI接続のみ可能だが現地PCが必要」「入退室管理の都合で常駐必須」といった制約がある。同じスキルセットでも、クライアント業種で出社必須になるケースだ。
高い単価が提示されることも多いが、「フルリモート優先」なら業種を絞る必要がある。
ハードウェア・ネットワーク・現地作業系
物理的な作業が発生するため、リモート化そのものが難しい。これは技術スタックの問題ではなく、仕事の性質だ。
新規参画直後のオンボーディング期間
案件のスタート直後は、チームとの関係構築・業務の把握のために「最初の1〜2ヶ月は出社」を求めるクライアントが多い。フルリモートOKの案件でも、参画初期は出社が必要なケースは珍しくない。
これを「聞いていた条件と違う」ととるか「オンボーディング期間の仕様」ととるかは、事前に確認しているかどうかで変わる。面談時に「参画当初も完全リモートですか?」と明確に聞くことが重要だ。
フルリモートを実現しやすいスキルセット
フルリモートが実現できるかどうかは、スキルセットでも変わる。
フルリモート率が高いスキルセット:
| スキル | フルリモート実現しやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| AWS/GCPクラウドインフラ | 高 | 作業がクラウド完結 |
| TypeScript/Goバックエンド | 高 | リモート文化の浸透 |
| データエンジニアリング(dbt/Spark) | 高 | 希少性と文化面 |
| Python(AI/MLパイプライン) | 中〜高 | スタートアップ系が多い |
| Java(エンタープライズ) | 低〜中 | 金融・基幹系が多い |
| COBOL・VB.NET | 低 | 現場常駐が前提 |
自分のスキルセットが「フルリモートになりにくい」傾向にある場合、クラウド資格(AWSやGCP)の取得が最も効率的なリモート率向上策になる。Javaエンジニアがクラウド構築経験を加えることで、フルリモート案件の選択肢が大きく広がった事例は弊社でも複数ある。