単価・市場データ12独自データあり

AWS・Azure・GCP、
SESエンジニアはどれを選ぶべきか

小川将司
小川将司代表取締役

SES事業6年・クラウドエンジニア案件を年間多数取り扱う経営者が執筆

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この記事でわかること

  • Heyday 2026Q1のクラウド案件比率はAWS:Azure:GCP=5:3:2。案件数はAWSが最多だが単価の高さはキャリア目標次第
  • 経験3〜5年の単価レンジはAWS65〜80万円・Azure60〜85万円・GCP62〜88万円とほぼ同水準
  • 案件を安定して確保したいならAWS、大企業インフラを担いたいならAzure、データ・AI特化で専門性プレミアムを狙うならGCP
  • マルチクラウド(AWS+AzureまたはAWS+GCP)は経験5年以上で+10〜20万円のプレミアムが期待できる

この記事の対象: クラウドスキルを磨いてSES単価を上げたいエンジニア、AWS/Azure/GCPのどれを選ぶか迷っている層

Heydayが2026年Q1に扱ったクラウド案件を振り返ると、AWS・Azure・GCPの比率は概ね5:3:2だ。案件数はAWSが圧倒的に多いが、単価のレンジはクラウドの種類よりも「経験年数と担当フェーズ」に左右されることが多い。

「AWSが多いと聞くけど、AzureもGCPも伸びているし、結局どれを選ぶのが正解なのか」——この迷いは、クラウドスキルを伸ばそうとしているエンジニアから毎月のように相談を受ける。ネットで調べるとフリーランス向けの記事ばかりで、SES正社員として案件に入ったとき手取りがどうなるか、という視点の情報がほぼない。

この記事では、SES事業者として3クラウドの案件を日常的に扱うHeydayの立場から、以下を解説する。

  1. 3クラウドの単価・特性を横断比較した一覧表
  2. キャリア目標別のクラウド選択ガイド
  3. 各クラウドの単価レンジと案件特性の要点
  4. SES正社員の手取りシミュレーション

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代表・小川将司より: 「どのクラウドが単価が高いか」より「どのクラウドが自分のキャリアに合うか」の方が重要だ。AWSを選んで設計力を付けたエンジニアと、GCPを選んでデータ基盤を専門にしたエンジニア、どちらも80〜100万円台に達しているケースを実際に見ている。一方で、3クラウドを中途半端に追いかけて結局どれも浅いエンジニアは、年数を重ねても単価が伸びにくい傾向がある。


AWS・Azure・GCP 単価・特性 横断比較表

まず全体像を把握するために、3クラウドの主要指標を並べる。

指標AWSAzureGCP
SES月単価(経験3〜5年)65〜80万円60〜85万円62〜88万円
案件数(SES市場)最多(圧倒的)多(エンタープライズ中心)中(データ・AI特化)
主な業種IT・Web・スタートアップ〜大手製造・金融・官公庁・大手データ活用・AI・スタートアップ
参入難易度(初心者)中(案件豊富)やや高(エンタープライズ知識要)高(データ基盤知識が前提)
上位資格のコスパSAP(+5〜10万円)AZ-305(+5〜15万円)PDE(データ案件で差別化)
AI/ML高単価化Bedrock+SageMakerAzure OpenAI ServiceVertex AI
マルチクラウド加算AWS+AzureまたはGCPで+10〜20万円同左同左

単価レンジは3クラウドともほぼ同水準だ。「どのクラウドが一番稼げるか」ではなく「どのキャリアを選ぶか」が問いの核心になる。


キャリア別 クラウド選択ガイド

SES案件を安定して確保しながら単価を上げたい → AWS

案件数が最多で、スキルレベルに応じたマッチングがしやすい。未経験〜中堅のエンジニアが最初に選ぶべきクラウドはAWSだ。経験年数を重ねながら設計力を身につけ、SAP(Solutions Architect Professional)などの上位資格と組み合わせることで、80〜90万円台への到達が最もスムーズになる。

詳細は「AWSエンジニアのSES単価・資格別データ →」で解説している。

エンタープライズ・大企業のインフラを担いたい → Azure

金融・官公庁・製造業の大型案件ではAzureがMicrosoftエコシステムとの親和性から選ばれやすい。Microsoft 365の管理経験があれば参入ハードルが下がる。案件の長期化・単価の安定性という点でも有利で、経験5年以上では100万円を超える案件も存在する。

データ・AI領域で専門性プレミアムを狙いたい → GCP

BigQuery・Vertex AIの高単価案件を狙うなら、供給不足のGCPエンジニアとしてポジションを取ることが有効だ。データエンジニアリングやML基盤に興味がある層には、GCPに特化することで月80〜100万円台への到達が現実的になる。GCPは案件数こそAWSに劣るが、専門エンジニアの希少性が高く単価交渉力が強い。

単価の天井を引き上げたい(経験5年以上)→ マルチクラウド

AWSを軸に持ち、AzureまたはGCPを追加することで月+10〜20万円のプレミアムが期待できる(推定)。経験5年未満の段階で複数クラウドを中途半端に追うよりも、まず1クラウドを実務レベルに深めることが先決だ。

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AWSエンジニアのSES単価【要点】

経験年数月額単価レンジ主な担当業務
1年未満40〜55万円運用・監視・障害対応
1〜3年55〜70万円EC2/S3/RDS構築・VPC設計補助
3〜5年65〜80万円インフラ設計・ECS/EKS・IaC
5〜8年75〜90万円アーキテクチャ設計・コスト最適化
8年以上85〜110万円マルチアカウント設計・技術選定

SES市場で案件数が最多。2026年はAmazon Bedrockを活用したAI基盤案件が急増しており、クラウド×AIの掛け合わせで90〜110万円台の案件が現実的になっている。SAAは「必要条件化」が進んでいるため、資格単体より実務経験とのセットで単価交渉の根拠にすることが重要だ。

資格別データ・案件特性の詳細: AWSエンジニアのSES単価|資格別・経験年数別を徹底解説


AzureエンジニアのSES単価【要点】

経験年数月額単価レンジ主な担当業務
1年未満35〜50万円運用・監視・Microsoftサービス管理
1〜3年50〜65万円仮想マシン構築・Entra ID管理
3〜5年60〜85万円インフラ設計・AKS・セキュリティ設計
5〜8年75〜100万円エンタープライズ設計・Azure OpenAI活用
8年以上90〜120万円大型移行プロジェクト・マルチクラウド設計

金融・官公庁・製造業での採用が多く、大型・長期案件が中心。Microsoft 365やEntra IDとの連携知識が評価される場面が多い。AZ-305(Solutions Architect)取得で設計フェーズ案件への参入が広がり、月+5〜15万円の効果が期待できる。

AzureエンジニアのSES単価【2026年版】経験年数別・資格別・案件特性をHeydayが解説


GCPエンジニアのSES単価【要点】

経験年数月額単価レンジ主な担当業務
1〜2年45〜60万円GKE・BigQuery基本操作・Cloud Storage
3〜5年62〜88万円データ基盤設計・BigQuery最適化・Dataflow
5〜8年80〜100万円データアーキテクチャ設計・Vertex AI活用
8年以上95〜120万円AI/ML基盤設計・マルチクラウドデータ基盤

案件数はAWSの約5分の1〜3分の1だが、データエンジニアリング(BigQuery・Dataflow)とAI/ML(Vertex AI)では高単価案件の比率が高い。BigQuery専門エンジニアの案件単価の中央値は月80万円・平均82.6万円(bigdata-navi.com調査・2026年)。SES市場での供給不足が続いており、経験があれば単価交渉力は高い。

GCPエンジニアのSES単価【2026年版】BigQuery・Vertex AI別・経験年数別をHeydayが解説


SES正社員の手取りシミュレーション(還元率別)

クラウドスキルを磨くことと同じくらい、SES企業の還元率を選ぶことが手取りに影響する。

案件単価還元率65%還元率75%還元率80%
70万円45.5万円52.5万円56万円
80万円52万円60万円64万円
90万円58.5万円67.5万円72万円
100万円65万円75万円80万円

(※税引き前。実際の月給は社会保険料控除後の金額)

還元率65%と80%の差は、案件単価80万円で月12万円・年間144万円になる。AWSの資格を取って月5万円単価が上がった場合と比較しても、SES企業選びの効果は大きい。

還元率の仕組みとSES企業の選び方は「SESマージン・還元率の完全解説」を参照。

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よくある質問

Q. AWSとAzure、単価が高いのはどちらですか?

経験3〜5年ではAWSが月65〜80万円、Azureが月60〜85万円とレンジが重なる。AzureはエンタープライズやMicrosoft連携の大型案件で高くなりやすく、どちらが高いかは業種・案件種別・経験年数の組み合わせで変わる。

Q. クラウド未経験からSESで案件に入れますか?

入れることはあるが難しい。Linuxとネットワーク基礎を身につけてAWS CLFを取得し、実機練習を経てから「オンプレ+クラウド混在の運用監視」案件から入るのが現実的だ。未経験段階の単価は月30〜45万円が目安。

Q. GCPエンジニアは需要が少ないですか?

案件数はAWSの5分の1〜3分の1程度だが、データエンジニアリングとAI/ML分野では高単価案件の比率が高い。SES市場で供給不足のため、経験があれば単価交渉力は強い。

Q. マルチクラウド対応すると単価はどう変わりますか?

AWS+AzureまたはAWS+GCPの両スキルを持つエンジニアは月+10〜20万円の希少性プレミアムが乗りやすい(推定)。「両方触れる」ではなく「両方設計・構築できる」レベルが条件で、経験5年以上で1クラウドを深めてから加えるのが有効だ。

Q. クラウド資格だけで単価が上がらない理由は?

案件を発注する側は「本番環境で何を設計・構築したか」を最重視するからだ。資格は知識の証明であり「実際に動かせる」の証明にはならない。「資格+実務経験」がセットになって初めて単価交渉の根拠になる。


まとめ

3クラウドの特性を一言でまとめると次のとおりだ。

  • AWS: 案件数最多・安定した需要・段階的な単価上昇がしやすい
  • Azure: エンタープライズ・大企業向け・大型案件の単価が高くなりやすい
  • GCP: データ・AI特化・高単価案件の比率が高い・供給不足で交渉力が高い

「案件を安定して確保しながら単価を上げたい」ならAWS。「大企業・官公庁のインフラを担いたい」ならAzure。「データ・AI領域で専門性プレミアムを取りたい」ならGCPが最も単価に直結する。

どのクラウドを選ぶかと同じくらい重要なのがSES企業の還元率だ。案件単価80万円で還元率65%と80%では月12万円の差が出る。クラウドスキルを磨くことと透明性の高いSES企業を選ぶことの両方が、手取り最大化に必要だ。

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各クラウド専用の単価解説

まとめ

クラウドの選択は「案件数の多さ」ではなく「自分が目指すキャリア像」で決める。まず1クラウドを実務レベルに深めること。資格は実務経験の補強材であり、資格単体では単価は上がらない。

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この記事の著者

小川将司
小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

SES事業6年・クラウドエンジニア案件を年間多数取り扱う経営者が執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

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