Heydayが2026年Q1に扱ったクラウド案件を振り返ると、AWS・Azure・GCPの比率は概ね5:3:2だ。案件数はAWSが圧倒的に多いが、単価のレンジはクラウドの種類よりも「経験年数と担当フェーズ」に左右されることが多い。
「AWSが多いと聞くけど、AzureもGCPも伸びているし、結局どれを選ぶのが正解なのか」——この迷いは、クラウドスキルを伸ばそうとしているエンジニアから毎月のように相談を受ける。ネットで調べるとフリーランス向けの記事ばかりで、SES正社員として案件に入ったとき手取りがどうなるか、という視点の情報がほぼない。
この記事では、SES事業者として3クラウドの案件を日常的に扱うHeydayの立場から、以下を解説する。
- 3クラウドの単価・特性を横断比較した一覧表
- キャリア目標別のクラウド選択ガイド
- 各クラウドの単価レンジと案件特性の要点
- SES正社員の手取りシミュレーション
代表・小川将司より: 「どのクラウドが単価が高いか」より「どのクラウドが自分のキャリアに合うか」の方が重要だ。AWSを選んで設計力を付けたエンジニアと、GCPを選んでデータ基盤を専門にしたエンジニア、どちらも80〜100万円台に達しているケースを実際に見ている。一方で、3クラウドを中途半端に追いかけて結局どれも浅いエンジニアは、年数を重ねても単価が伸びにくい傾向がある。
AWS・Azure・GCP 単価・特性 横断比較表
まず全体像を把握するために、3クラウドの主要指標を並べる。
| 指標 | AWS | Azure | GCP |
|---|---|---|---|
| SES月単価(経験3〜5年) | 65〜80万円 | 60〜85万円 | 62〜88万円 |
| 案件数(SES市場) | 最多(圧倒的) | 多(エンタープライズ中心) | 中(データ・AI特化) |
| 主な業種 | IT・Web・スタートアップ〜大手 | 製造・金融・官公庁・大手 | データ活用・AI・スタートアップ |
| 参入難易度(初心者) | 中(案件豊富) | やや高(エンタープライズ知識要) | 高(データ基盤知識が前提) |
| 上位資格のコスパ | SAP(+5〜10万円) | AZ-305(+5〜15万円) | PDE(データ案件で差別化) |
| AI/ML高単価化 | Bedrock+SageMaker | Azure OpenAI Service | Vertex AI |
| マルチクラウド加算 | AWS+AzureまたはGCPで+10〜20万円 | 同左 | 同左 |
単価レンジは3クラウドともほぼ同水準だ。「どのクラウドが一番稼げるか」ではなく「どのキャリアを選ぶか」が問いの核心になる。
キャリア別 クラウド選択ガイド
SES案件を安定して確保しながら単価を上げたい → AWS
案件数が最多で、スキルレベルに応じたマッチングがしやすい。未経験〜中堅のエンジニアが最初に選ぶべきクラウドはAWSだ。経験年数を重ねながら設計力を身につけ、SAP(Solutions Architect Professional)などの上位資格と組み合わせることで、80〜90万円台への到達が最もスムーズになる。
詳細は「AWSエンジニアのSES単価・資格別データ →」で解説している。
エンタープライズ・大企業のインフラを担いたい → Azure
金融・官公庁・製造業の大型案件ではAzureがMicrosoftエコシステムとの親和性から選ばれやすい。Microsoft 365の管理経験があれば参入ハードルが下がる。案件の長期化・単価の安定性という点でも有利で、経験5年以上では100万円を超える案件も存在する。
データ・AI領域で専門性プレミアムを狙いたい → GCP
BigQuery・Vertex AIの高単価案件を狙うなら、供給不足のGCPエンジニアとしてポジションを取ることが有効だ。データエンジニアリングやML基盤に興味がある層には、GCPに特化することで月80〜100万円台への到達が現実的になる。GCPは案件数こそAWSに劣るが、専門エンジニアの希少性が高く単価交渉力が強い。
単価の天井を引き上げたい(経験5年以上)→ マルチクラウド
AWSを軸に持ち、AzureまたはGCPを追加することで月+10〜20万円のプレミアムが期待できる(推定)。経験5年未満の段階で複数クラウドを中途半端に追うよりも、まず1クラウドを実務レベルに深めることが先決だ。
AWSエンジニアのSES単価【要点】
| 経験年数 | 月額単価レンジ | 主な担当業務 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 40〜55万円 | 運用・監視・障害対応 |
| 1〜3年 | 55〜70万円 | EC2/S3/RDS構築・VPC設計補助 |
| 3〜5年 | 65〜80万円 | インフラ設計・ECS/EKS・IaC |
| 5〜8年 | 75〜90万円 | アーキテクチャ設計・コスト最適化 |
| 8年以上 | 85〜110万円 | マルチアカウント設計・技術選定 |
SES市場で案件数が最多。2026年はAmazon Bedrockを活用したAI基盤案件が急増しており、クラウド×AIの掛け合わせで90〜110万円台の案件が現実的になっている。SAAは「必要条件化」が進んでいるため、資格単体より実務経験とのセットで単価交渉の根拠にすることが重要だ。
→ 資格別データ・案件特性の詳細: AWSエンジニアのSES単価|資格別・経験年数別を徹底解説
AzureエンジニアのSES単価【要点】
| 経験年数 | 月額単価レンジ | 主な担当業務 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 35〜50万円 | 運用・監視・Microsoftサービス管理 |
| 1〜3年 | 50〜65万円 | 仮想マシン構築・Entra ID管理 |
| 3〜5年 | 60〜85万円 | インフラ設計・AKS・セキュリティ設計 |
| 5〜8年 | 75〜100万円 | エンタープライズ設計・Azure OpenAI活用 |
| 8年以上 | 90〜120万円 | 大型移行プロジェクト・マルチクラウド設計 |
金融・官公庁・製造業での採用が多く、大型・長期案件が中心。Microsoft 365やEntra IDとの連携知識が評価される場面が多い。AZ-305(Solutions Architect)取得で設計フェーズ案件への参入が広がり、月+5〜15万円の効果が期待できる。
→ AzureエンジニアのSES単価【2026年版】経験年数別・資格別・案件特性をHeydayが解説
