「Salesforce案件に入って3年になるのに、単価がいくらか教えてもらえない」
この相談を受けるたびに、業界の構造的な問題を感じる。SalesforceエンジニアはSES市場で需要が高く、単価も高水準にある——にもかかわらず、自分の単価を知らないまま働き続けているエンジニアが多い。
Heydayが2026年Q1に取り扱ったSalesforce関連SES案件では、経験3〜5年の正社員エンジニアで月単価72〜88万円、準委任(フリーランス相当)では85〜110万円のレンジで取引されていた。同じSalesforce経験5年でも、Admin専任か開発(Apex/LWC)かで月20万円以上の差が出ることがある。
この記事では、SES経営者の視点から「Salesforce SESエンジニアの単価の実態」を正直に解説する。相場の数値、単価を左右する要因、SES会社が単価を教えない理由、そして単価を上げるための具体的な方法まで、一次情報をもとに書く。
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以下は、エンド直または1次請けの案件における実勢レンジだ。多重下請け(3次・4次)では、同じスキルでもここから15〜25%低くなることが多い。
| 経験年数 | 正社員SES(月単価) | 準委任・FL(月単価) | 年収換算目安 |
|---|
| 1年未満 | 30〜45万円 | 40〜55万円 | 360〜540万円 |
| 1〜3年 | 50〜70万円 | 60〜80万円 | 600〜840万円 |
| 3〜5年 | 70〜90万円 | 85〜110万円 | 840〜1,080万円 |
| 5〜8年 | 85〜110万円 | 100〜130万円 | 1,020〜1,320万円 |
| 8年以上 | 100〜130万円 | 120〜150万円 | 1,200〜1,560万円 |
重要な前提: 経験年数はあくまで目安にすぎない。「Salesforce経験5年」と一口に言っても、Admin業務中心か、Apex・Lightning Web Component(LWC)で開発しているかによって、単価に月20〜30万円の差が生じることがある。
Heydayが2026年Q1に取り扱ったSalesforce関連案件(複数件)のデータでは、経験3〜5年の正社員SESエンジニアの成約単価が72〜88万円のレンジに集中していた。このうち、Apex開発経験と要件定義参画経験を持つエンジニアが上位レンジ(85万円前後)に集中し、Admin・設定変更中心のエンジニアが下位レンジ(70〜75万円)に分布していた。
業界全体の傾向としても、Salesforceエンジニアはフリーランスエージェント各社の公開データを参照すると月単価70〜120万円のレンジで推移しており、需要の高さがうかがえる。
Salesforceには多数の認定資格があり、資格の有無と種類が案件単価に影響する。ただし、資格は「単価を上げる直接的な武器」というより「案件選択の幅を広げるパスポート」に近い機能を持つ。
| 認定資格 | 単価への影響(目安) | 備考 |
|---|
| Salesforce Administrator | ±0〜+5万円/月 | 取得自体よりも実務経験の積み方が重要 |
| Platform Developer I(PD1) | +5〜10万円/月 | 開発案件の門扉を広げる |
| Platform Developer II(PD2) | +10〜15万円/月 | 上位案件・アーキテクト系で評価される |
| Marketing Cloud Email Specialist | +5〜10万円/月 | 特定業種(EC・通販)での需要が高い |
| Salesforce Architect系 | +20〜40万円/月 | 希少性が高く、100万円超の案件が増える |
Heydayが扱うSalesforce案件(2026年Q1)では、PD2資格保有者が参入する案件の平均単価は非保有者と比較して約15〜18万円高くなる傾向が確認されている。ただし重要なのは資格そのものではなく、「どの業種・規模の導入プロジェクトに関わってきたか」だ。
金融・製造・医療系の大規模導入経験を持つSalesforceエンジニアは、資格の有無に関係なく高単価案件にアサインされやすい。これはクライアント側が「業種ノウハウ」と「大規模プロジェクト経験」を重視するためだ。
なお、資格取得自体は市場への「宣言」として機能する。特にPD1は、Admin業務から開発案件へ移行するための重要なシグナルになる。Admin専任で単価が伸び悩んでいるなら、PD1取得を経由して開発案件に入るルートが単価アップの近道になる。
Salesforce案件は業務種別によって単価レンジが大きく異なる。
1. 新規導入支援(要件定義〜リリース)
単価レンジ:正社員SES 70〜100万円、準委任 85〜120万円
最も単価が高い領域。クライアントのビジネス要件を理解し、Salesforce上で実現する設計力が必要になる。上流工程経験があり、PM・PMOと連携できるエンジニアが求められる。案件期間は6ヶ月〜1年が多く、安定性も高い。
2. カスタム開発(Apex/LWC/API連携)
単価レンジ:正社員SES 65〜95万円、準委任 80〜110万円
Apex・LWC・Salesforce APIを使ったカスタム開発の案件。プログラミングスキルが直接評価されるため、Admin専任より高単価になりやすい。REST API連携や外部システムとのインテグレーション経験があれば、さらに上位レンジが狙える。
3. 保守・運用(既存環境の管理)
単価レンジ:正社員SES 45〜65万円、準委任 55〜75万円
既存のSalesforce環境の保守・ユーザー管理・軽微な設定変更が中心の案件。安定性は高いが、単価の成長が限定的になりやすい。スキルアップの機会も少ないため、長期間この領域に留まることはキャリア上のリスクになる可能性がある。
Heydayが2026年Q1に扱ったSalesforce案件を種別で分類すると、新規導入支援が約40%、カスタム開発が約45%、保守・運用が約15%という構成だった。保守・運用案件の比率が低いのは、Heydayが意図的にスキルアップにつながる案件を優先して扱っているためでもある。
「単価を教えてもらえない」という悩みは、Salesforceエンジニアに限らずSESエンジニア全般に共通している。Yahoo知恵袋でも「SES 単価 教えてくれない」「SES 自分の単価 調べ方」という質問が定期的に投稿されている。
なぜSES会社は単価を開示しないのか。理由は主に3つある。
理由1: マージン(利益)が可視化されることへの抵抗
SES会社はクライアントから受け取る単価(売上)からエンジニアの給与や経費を引いた差額がマージン(粗利)になる。この金額が「中抜き」として批判されることを懸念し、開示を避ける会社が多い。
厚生労働省の令和5年度派遣事業報告によると、人材派遣業のマージン率(売上に占める粗利の割合)の平均は約36.1%だ。SES業界もおおむねこの水準前後で運営されているが、低還元率の会社では50%以上のマージンを取っているケースもある。
理由2: 商流が複雑で「自社の取り分」が明確でない
SES業界では、エンド企業→元請けSIer→2次請け→3次請けというように、複数の会社を経由して仕事が流れることがある。この場合、自社が受け取るのは2次・3次の単価であり、最終的なエンドユーザーとの契約単価が不明なことも多い。「教えたくない」だけでなく「正確な数字が自社にも分からない」ケースが存在する。
理由3: 単価を知られると転職・独立のリスクがある
エンジニアが自分の市場単価を知ると、「もっと高い単価の会社に移ろう」「独立してフリーランスになろう」という動機が生まれる。これをSES会社側が意図的に防ごうとするケースもある。
単価を会社が教えてくれない場合でも、以下の方法でおおよその市場単価を推定できる。
方法1: フリーランスエージェントの案件データを参照する
ITプロパートナーズ、レバテックフリーランス、Findy Freelanceなどのフリーランスエージェントは、案件単価をある程度公開している。これはフリーランス(準委任)の単価なので、SES正社員の単価より15〜25%高い数字として参考にする。
例:Salesforce PD1保有・経験3年のフリーランス単価が85万円なら、SES正社員相当は68〜72万円のレンジと推定できる。
方法2: 転職エージェントに相場を聞く
転職意向がなくても、転職エージェント(リクルートエージェント、GEEK JOBなど)に相談すると、「今のスキルなら年収○○〜○○万円の会社に転職できる」という情報が得られる。年収オファーから逆算すると、SES単価の市場相場が見える。
方法3: 診断ツールを使う
Heydayが提供する無料の市場単価診断では、Salesforce経験を含む言語・経験年数・スキルの組み合わせで、現在の市場単価レンジを算出できる。これは特定の会社への誘導ではなく、純粋に市場データに基づく算出を目的としている。
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SES会社を選ぶ際、単価を開示しているかどうかは最初のチェックポイントになる。具体的には以下を確認したい。
- 案件票に単価が明記されているか — 案件紹介の時点で「この案件の契約単価は○○万円です」と明示してくれる会社を選ぶ
- 還元率を数値で教えてくれるか — 「70%還元」「80%還元」という具体的な数字を示してくれるか
- 商流の深さを説明してくれるか — エンド直か1次かを正直に教えてくれるか
SES業界全体のマージン・商流の構造についてはSESマージン構造の実態解説で詳しく解説しているので、合わせて参照してほしい。
また、SES単価の総合ガイドでは、言語・経験年数・商流別の単価早見表と手取りシミュレーションを公開しているので、自分の手取り計算に活用してほしい。
2024年後半から2025年にかけて、Salesforceは「Agentforce」と呼ばれるAIエージェント機能を大幅に拡張した。Agentforceは、営業・カスタマーサービス・マーケティングの業務を自律的に実行するAIエージェントをSalesforce上に構築できるプラットフォームだ。
この機能拡張によって、既存のSalesforce環境にAgentforceを組み込む需要が急増している。Heydayに寄せられる案件情報でも、2025年後半から「AgentforceまたはEinsteinの実装経験があるSalesforceエンジニア」を求める案件が増加している傾向がある。
Agentforceを扱えるエンジニアの需要が高まっている背景には、以下の事情がある。
- DX推進の加速: 大企業・中堅企業を中心にSalesforceを基盤としたDX推進が広がっており、導入・カスタマイズ需要が継続している
- AI機能への移行ニーズ: 既存のSalesforce環境にAI機能を追加・統合する作業は、Salesforceの知識なしには対応できないため、既存Salesforceエンジニアの価値が高まっている
- Salesforceエンジニアの絶対数不足: SalesforceはJavaやPythonと異なり、プログラミング経験のない業務担当者が学習することが多いツールだが、カスタム開発まで対応できるエンジニアはIT業界全体でも希少性が高い
この状況は、SESエンジニアにとってポジティブな市場環境を生んでいる。需要が多いにもかかわらず供給が追いついていないため、適切なスキルを持つSalesforceエンジニアは単価交渉で優位に立ちやすい。
2026年から2028年にかけて、以下の案件タイプが特に需要が高まると考えられる。
1. AgentforceおよびEinstein AI統合案件
既存のSalesforce CRM環境にAgentforceを組み込み、営業・サポート業務を自動化するプロジェクト。2026年時点では対応できるエンジニアが少なく、単価プレミアムが発生しやすい。Apex開発経験があり、AIの基礎概念を理解しているエンジニアが狙える領域だ。
2. 大手・中堅企業の初期導入案件
DX予算を持つ製造業・金融・医療系企業がSalesforce導入を本格化させるにつれ、「Salesforce自体は初めて」という企業への導入支援需要が継続する。この種の案件は、要件定義力と業種知識が問われるため、高単価になりやすい。
3. 他システム(SAP・Oracle等)とのAPI連携案件
ERPやレガシーシステムとSalesforceをAPIで連携させる案件。REST API・GraphQL・MuleSoftなどの連携技術を持つSalesforceエンジニアは、業界横断で需要がある。
AI・生成AI関連の案件全体の需要動向についてはSESエンジニアのAI案件単価に詳しく記載しているので、合わせて読んでほしい。
Salesforce案件で単価を上げるために最も効果的なのは、資格の数を増やすことより「どの業種・規模のSalesforce導入に関わってきたか」の幅を広げることだ。
クライアント企業がSalesforceエンジニアに求めるのは「うちの業種のSalesforceをわかっている人」だ。金融業の営業プロセスをSalesforce上で設計した経験は、他の金融系案件で即戦力として評価される。製造業のSalesforce Service Cloud導入経験は、製造業クライアントへの提案力に直結する。
具体的なアクションとして、以下を意識すると良い。
- 現在のアサイン先業種以外の案件に積極的に手を挙げる(2〜3年ごとに業種を変えることが理想)
- 現在の案件で「業種特有の業務フロー」を理解することを目的に行動する(単なる作業者でなく、業種に詳しいエンジニアとして認識されることが重要)
- 業種特化のSalesforce認定資格(Financial Services Cloud、Health Cloud等)は、業種幅を広げた上で取得すると単価プレミアムが加算されやすい
SES業界では、同じ案件に「正社員SESとして常駐する」パターンと「準委任契約(フリーランス相当)でアサインする」パターンがある。同じスキル・同じ案件でも、準委任のほうが単価が15〜30%高くなることが多い。
SES正社員として働いている場合でも、社内での交渉によって準委任に近い条件に変えることができる場合がある。具体的には「今のプロジェクトで自分はどちらの契約形態でアサインされているか」を確認することから始まる。
また、SES会社によっては「社員として雇用しながら準委任的な単価設計をする」ハイブリッド型の給与体系を採用しているところもある。単価の一定割合(70〜80%)を給与として支払う還元率重視の会社は、こうした柔軟な設計をしているケースが多い。
単価を上げる方法の中で、最も即効性があるのは「今より高い単価で案件を紹介してくれるSES会社への移動」だ。
スキルが変わらなくても、商流が浅くなる(3次請け→1次請けへ移行)だけで月10〜20万円の単価アップが実現することがある。これはエンジニアの努力の問題ではなく、SES会社が持つ営業力・取引先の問題だ。
SES会社を選ぶ際のチェックポイントを改めてまとめる。
- 案件紹介時に契約単価を明示してくれるか
- 商流の深さ(エンド直・1次・2次)を正直に教えてくれるか
- 還元率を数値で提示してくれるか
- 単価の更新交渉を定期的に行う体制があるか
- 単価の実績データ(成約単価の実績)を見せてくれるか
SES会社の選び方の詳細はSES会社の選び方・ホワイト企業の見分け方で整理している。
正社員SES(エンド直〜1次)は1〜3年50〜70万円、3〜5年70〜90万円、5年以上85〜130万円。Admin専任かApex開発かで月15〜20万円差が出る。Heyday 2026年Q1ではApex3〜5年が72〜88万円に集中した。
主な理由は3つ:マージン率可視化への抵抗、多重下請けで自社も把握できない構造、転職・独立を防ぐ情報遮断だ。対処法はFL公開単価を15〜25%引いて推定するか、Heydayの診断ツールで算出することを勧める。
Admin単体の効果は月0〜5万円と限定的。Admin案件の単価が45〜65万円と低く資格数を増やしても上限が上がりにくい。PD1を取得して開発案件にシフトする流れが有効で、Admin専任比で月10〜20万円の上昇が見込める。
可能だがいきなりアサインは少なく、研修や他案件で基礎を積む流れが多い。公式TrailheadでAdmin資格を取ってからSES会社に相談すると案件につながりやすい。初期単価は月30〜45万円で、1〜2年で50〜60万円台が狙える。
すぐ案件に入りやすいのはSalesforce、長期的希少性と単価最大化(月90〜150万円超)を狙うならSAPが有力だ。ただしどちらを選ぶかより「どの業種・規模の導入案件に関わるか」の方が単価を決める要因として大きい。
2026年時点では将来性が高い。CRM市場首位を維持しAgentforce拡張でAI追加需要も生まれている。ただしAdmin単純作業はAI化が進むため、Apex開発・API連携・AI実装に深度を増すことが将来性維持の鍵だ。
目安はSalesforce経験3年以上・複数業種の導入経験・PD1以上・正社員SESで月70万円以上が安定していること。転向後は案件途切れで収入ゼロになるリスクがあるため、生活費3〜6ヶ月分を確保してから動くことを勧める。
2026年時点では単価にプラスだ。Heydayへの案件要件でも2025年後半から「Agentforce実装経験尚可」の記載が増加。現状プレミアムは月5〜15万円の推定で、市場形成途中のため今後さらに拡大する可能性がある。
ある。ただし導入支援案件はヒアリングで一部出社が求められ、フルリモート割合はWeb開発系より低い。Heydayが扱うSalesforce案件でも「週1〜2回出社・それ以外リモート」が複数存在する。フルリモート希望は紹介前に確認を。
還元率70〜80%・月単価80〜90万円なら年収670〜860万円水準。SIer・コンサル正社員は500〜900万円・外資上位は1,000万円超も。収入最大化なら自社正社員が有利なケースも多く、SESはキャリア幅とスキル蓄積に強みがある。
可能だ。SES業界では個人がクライアントに直接交渉するのでなく、SES会社の営業が代行する構造になる。有効なのは市場相場データの準備・契約更新タイミングの活用・プロジェクト実績の定量的な提示の3点だ。
SalesforceはAI機能をエンジニアが扱うプラットフォームとして進化しており、Agentforce実装にはApex・LWC知識が必要で新専門領域も生まれている。代替リスクは低いが、Admin作業のAI化に備え開発スキルシフトが重要だ。
代表・小川将司より: Salesforceエンジニアは需要と単価水準が高い一方で、「自分の単価を知らないまま働いている」ケースが他技術領域より多い印象がある。Heydayでは全案件の契約単価を事前に開示しており、2026年Q1の成約実績では経験3〜5年のApex開発者が72〜88万円のレンジに集中している。Agentforce対応スキルを持つエンジニアには単価プレミアムが付きはじめており、今がスキル転換の好機だ。
SalesforceエンジニアのSES市場における単価は、2026年時点で経験3年以上の開発スキルを持つエンジニアが70〜100万円(正社員SES)のレンジで取引されている。需要の高さとエンジニアの絶対数不足から、適切なスキルを持つエンジニアは交渉力を持ちやすい市場環境にある。
単価を上げるために最も重要なのは以下の3点だ。
- Admin業務に留まらず、Apex開発・API連携・AI機能(Agentforce)まで対応できるスキルの幅を持つ
- 特定業種の「SalesforceでのDX実現」に詳しいエンジニアとしてのポジションを確立する
- 自分の単価を透明に開示してくれるSES会社と組み、商流の浅い案件にアサインされる環境を選ぶ
Heydayでは、Salesforce案件を含む全案件で契約単価を事前に開示している。自分の市場単価を正確に把握したい場合は、まず診断ツールで現在のスキルに基づく単価レンジを確認してほしい。
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