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SES正社員8年目が
フリーランスに転向した話

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Heyday編集部

Heyday透明性メディア

Heydayフリーランスエンジニアへの実インタビューをもとに構成

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この記事でわかること

  • SES正社員8年目・33歳Javaエンジニアがフリーランスに踏み出すまでの葛藤
  • 「案件が取れるかどうか怖かった」という本音と、その不安が解消されたプロセス
  • フリーランス転向後に変わったこと——単価・案件選択・仕事への向き合い方

この記事の対象: SES正社員としてのキャリアに手応えを感じつつ、フリーランスへの転向を迷っている30代エンジニア

「正直に言うと、怖かったのは収入じゃなかったんです。自分に案件が来るのか、それが怖かった」

オンラインで画面越しに話してくれたS.Mさん(33歳・Java/Spring)は、少しだけ笑いながらそう言った。フリーランスに転向して8ヶ月。今は都内の金融系システムの開発案件に、フルリモートで参画している。

「こんなことになるとは思ってなかった、というのが正直なところで」

SES正社員として8年間過ごしてきた人間が、何を恐れ、何がきっかけで動き、転向後にどう変わったのか。S.Mさんの話を、聞いた通りに記録する。

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8年間、「来年はフリーにしようかな」と言い続けた

S.Mさんがエンジニアになったのは26歳のとき。文系の大学を出て2年間営業をした後、プログラミングスクールでJavaを学んでSES企業に転職した。

「営業が合わなかったわけじゃないんですけど、手に職をつけたかった。エンジニアって食いっぱぐれなさそうだな、という、ざっくりとした動機でした」

最初の現場は、証券会社の基幹システムの保守。コードを読むことすら苦労した1年目だった。

「最初の3ヶ月は、ほとんど先輩のレビューを見ているだけでした。バグを直すにも、コードの全体像が見えていないから、どこを触っていいか判断できなくて。毎日帰り道に『自分、向いてないんじゃないか』って思ってた」

それが2年目に入ると、コードの読み方が変わった。システムの構造が頭の中にマップとして浮かぶようになり、バグの場所を「あのあたりのはず」と見当をつけられるようになった。3年目には設計もできるようになり、5年目にはSpring Bootで新機能の実装を任されるようになった。

「スキルは確かについてきた、という実感はあったんです。Java一本で8年やってきたので、そこそこの案件なら問題なく入れる自信もあった」

それでも、フリーランスへの転向には踏み出せなかった。

「毎年秋になると『来年こそフリーにしよう』って思うんです。で、年が明けると『まあ今の案件が終わってから』『もう少しスキルをつけてから』って先送りして。気づいたら8年経ってた」

先送りの繰り返しの中で、S.Mさん自身が理解していたのは「自分には向いていないかもしれない」という漠然とした感覚ではなく、もっと具体的な問いへの答えが出ていないことだった。「SESのフリーランスとして、案件は本当に取れるのか」。それが、ずっと宙に浮いたままだった。


同じ現場で見た、フリーの先輩

転機になったのは、5年目の現場に入ってきたフリーランスのエンジニアとの出会いだった。

Javaのベテランで、業務設計から実装まで一人でこなす40代の男性だった。S.Mさんは仕事上での接点が多く、自然と話す機会が増えた。ある日、コードレビューの後に「なんでフリーランスにしたんですか」と聞いてみた。

「『会社員だと、案件を選べなかったから』って即答でした。自分が入りたい現場・やりたい技術を選ぶために独立した、って。そのとき初めて、フリーランスって不安定なものじゃなくて、選ぶ自由を手に入れる手段なんだな、って思ったんです」

その先輩は、仕事の進め方がS.Mさんとは少し違った。

「現場のアーキテクチャについて、クライアントのメンバーと対等に議論してるんですよ。『この設計だとスケーラビリティに問題があります』みたいなことを、責任を持って言えるというか。それが羨ましかった。正社員だと、どうしても自社の営業経由で話が通るから、直接言いにくいことがある」

あるとき、2人で昼食を食べながら話が弾んで、単価の話になった。

「『参考までに』って感じで聞いたら、月95万だって言われて。全部教えてくれたわけじゃないけど、手元に入る額が月95万って」

当時のS.Mさんの手取りは月34万円台だった。

「同じJavaで、同じ現場で、同じような仕事をしてる。その差を、そのとき初めてリアルに感じました。数字で見ると全然違うんだって」

その日の帰り道、S.Mさんはスマートフォンでフリーランスの税金と社会保険について調べ始めた。これまでも何度かやったことがある調べ方だったが、その日は違った切実さがあった。


「でも案件が来なかったら」

フリーランスを真剣に考え始めたのはそこからだったが、またしても半年以上動けなかった。

今度の壁は、お金の計算ではなかった。

「社会保険とか確定申告とか、そういう話は調べたらわかるじゃないですか。怖かったのは、案件が取れるかどうかなんです」

フリーランスになっても、案件が取れなければ収入はゼロだ。会社員なら毎月給与が振り込まれる。フリーには、その保証がない。

「自分に、エージェントを通して案件が来るのか、っていうのが一番の不安で。8年Javaをやってきたけど、自社開発の経験はない。SESのフリーとして通用するのか、正直わからなかったんです」

何度かフリーランス向けのエージェントのサイトを開いた。フォームに名前と連絡先を入力したこともある。でも最後まで送信しなかった。

「何というか、向こうから案件がありますって言われて、でも実際には何もなかったら恥ずかしいな、って。変な話なんですけど、そういうことを考えてた。断られるのが怖かったというか。フリーランスになれなかったことが確定してしまうのが怖かった、のかもしれない」

この心理は、フリーランス転向を考えている多くの正社員エンジニアに共通するものかもしれない。スキルへの自信と、市場からの評価への不安が、同時に存在している状態だ。

SES正社員として8年間、案件は会社が取ってきていた。自分のスキルが単独で市場にどう評価されるかを、一度も直接確認したことがなかった。

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「あなたのスキルなら、これくらい行けます」

S.MさんがHeydayを知ったのは、SESのマージン構造を解説した記事がきっかけだった。業界の商流とエンジニアへの還元率が、数字で書かれていた。

「業界のことを正直に書いてる会社なんだなって思って、フリーランスの相談もできると書いてあったので、とりあえず問い合わせてみました。最悪、情報収集だけでいいや、という感じで」

面談は、想定とまったく違う展開で始まった。

「最初に担当者から、『S.Mさんのスキルシートを事前に確認しました。Java8年・Spring Boot・金融系の経験があれば、フリーランスとして市場に出た場合、月85万以上の案件が複数あります』って言われて」

言葉の意味を理解するまで、少し時間がかかった。

「どんな根拠があるんですか、って聞いたんです。そしたら直近の案件データを画面で見せてもらえて。Java8年以上・金融系という条件で直近3ヶ月に成約した案件の単価レンジと商流が、匿名で一覧になってた。『S.Mさんのスキルは、このゾーンに入ります』って」

さらにHeydayが受け取るマージンの割合も、数字で説明された。

「今まで誰にも確認したことがなかったことを、初対面の人がデータで説明してくれた。正直、拍子抜けしました。なんだ、そういうことだったのか、って。8年分の不安が、30分で解けた感じがして」

面談の後半では、具体的にどんな案件に参画できるかの話になった。

「フリーランスになったとして、どういう現場に入れますか、って聞いたら、『今すぐ動くならこういう案件があります』って、実際の案件概要を2〜3件見せてもらえたんです。単価・現場の規模・技術スタック・リモートかどうか、全部書いてあった」

S.Mさんはその場で「転向を決めた」わけではなかった。ただ、面談が終わったとき、半年以上くすぶっていた問いへの答えが出ていた。「自分のスキルで、案件は取れる」。

「正式に決めたのは、面談から2週間後でした。その2週間で、会社員を続けることのコストと、フリーランスに転向することのリスクを、改めて考えてみたんです。で、リスクの方が思ったより小さかった」

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案件探しと転向の実際

転向を決めてから、実際に稼働を始めるまでの期間は約1ヶ月だった。

手続きとしてやることは、現職への退職意思表示、個人事業主としての開業届(税務署に提出)、国民健康保険と国民年金への切り替えだった。

「開業届は、税務署に行ったら15分で終わりました。書類1枚なので、思ったより全然大変じゃなかった。健康保険と年金の切り替えは、退職後すぐに区役所に行って手続きしました。自分で払う額が増えるのはわかってたので、月の収支を計算した上で動いた」

転向時に提示された案件は2つだった。大手金融のシステム刷新プロジェクトと、中規模のSaaSプロダクトのバックエンド開発。S.Mさんは前者を選んだ。これまでのJava・金融系の経験が最も活きる現場だったからだ。

「2つを比べたとき、SaaSの方が技術的には新しいことができそうだったんです。ただ、フリーランス最初の案件で、現場にすぐ貢献できるかどうかが重要だと思って。自分のスキルが一番活きる場所を選ぶのが正解かな、って」

案件の契約形式は業務委託。週5日のフルリモートで、参画前に現場の担当者と顔合わせが1回あった。

「顔合わせは、技術面の簡単な確認という感じでした。Java・Spring Boot・Oracleの経験があること、金融系の業務知識があること、それを確認されたくらいで。30分ほどで終わりました」

参画開始は退職の翌週だった。空白期間は実質3日しかなかった。

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フリーランスになって、変わったこと

転向して8ヶ月。現在の月単価は88万円。手取りで計算すると、正社員時代と比べて月20万ほど増えた。

ただ、S.Mさんが「変わった」と感じていることは、収入だけではない。

「案件を自分で選んだのが、一番大きかったかもしれないです」

自分で案件を選べるようになったことの変化は、想像より大きかった。

「自分が選んだ案件で働いてると、同じ仕事でも『やらされてる感』がない。毎朝の気持ちが違う。こんなに変わるとは思ってなかった。正社員のときも仕事は嫌いじゃなかったけど、自分で決めた仕事と、入れられた仕事とでは、メンタルのどこかが違う気がする」

技術的な判断の仕方も変わった。

「正社員のときは、アーキテクチャの相談を上長に通してからやってたんです。フリーだと自分がいちエンジニアとしてクライアントに向き合う形になるから、『この設計でいきます』って自分で説明する機会が増えた。最初は怖かったけど、今は逆にやりがいになってます」

現場での扱われ方も、少し変わった。

「正社員のときは、SESの会社から派遣されてきた人、みたいな空気があって。それが悪いわけじゃないんですけど。フリーランスになると、Xさんという個人として現場から依頼される形になる。その差は、地味だけど積み重なると大きいです」


大変だったこと、想定外だったこと

フリーランス転向の話には、良い部分だけでなく、想定外の大変さもあった。S.Mさんは正直に話してくれた。

「確定申告は思ったより手間でした。税理士に依頼するか自分でやるか迷って、初年度は自分でやったんですけど、レシートの整理とか、freeeへの入力とか、結構時間を取られた。2年目からは税理士に頼もうと思ってます。それなりにコストがかかることは、想定してた以上でした」

収入の波については、今のところは感じていない。

「案件の単価は月額固定なので、稼働している間は収入は安定してます。ただ、案件が切れたときのことは常に意識してる。今の現場は最低でも1年は続く予定なんですけど、次の案件を探すタイミングが来たとき、どれくらいで決まるか、というのは少し心配」

保険の手続きは、想定の範囲内だった。

「国民健康保険は、正社員時代より月の負担が増えました。ただ、単価が上がった分でカバーできているので、実質的には手取りは増えている。でも、最初の月に保険料の振込書が来たとき、額が大きくて少し驚いた」

空白期間は、結局発生しなかった。案件の終了から次の案件参画まで、3日しか空かなかった。

「あのとき『空白期間が怖い』って思ってたのは、根拠のない怖さだったんだと、今は思います。スキルがあって、自分の市場価値が数字で見えている状態なら、そんなに怖くなかった」


「あと何年、同じ不安を持ち続けるのか」

フリーランスへの転向を迷っている人へ、何か伝えたいことはあるか——と聞いた。

S.Mさんは少し考えてから、こう答えた。

「8年も迷ったのに、やってみたら怖くなかったんですよね。怖かったのは、やる前だけで。だから、その不安の正体を確認しないままにしておくのが、一番もったいないと思って」

「フリーになれるかどうかって、自分のスキルが市場でどう評価されているかを確認するだけで、大体わかるんです。それを教えてくれる場所が、今はある」

少し間を置いてから、静かに付け加えた。

「あと何年、同じ不安を持ち続けるのか——それを自分に聞いてみると、さすがに動くしかなかったです」


S.Mさん / 33歳 / Java・Spring Boot・Oracle / フリーランスエンジニア

掲載にあたり、プライバシー保護のためイニシャル表記としています。取材は2026年4月に実施しました。


「自分のスキルが市場でどう評価されるか」——まず数字で確認する

S.Mさんが8年間分からなかったことは、診断ツールと1回の面談で明らかになった。言語・経験年数・スキルから、市場単価レンジを無料で確認できる。

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フリーランス転向を迷っている方へ

「フリーランスになれる自信がない」「案件が取れるか不安」という方が、最初の一歩として相談に来るケースが多い。Heydayでは面談時にスキルシートをもとに市場単価の根拠を提示し、案件の見通しについても数字で説明している。

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まとめ

フリーランス転向を阻む最大の壁は、スキルでも貯金でもなく「自分に市場価値があるかどうかわからない」という情報の欠如だとS.Mさんの話は示している。8年という時間はかかったが、その不安の正体を確認したのは1度の面談だった。「あと何年、同じ不安を持ち続けるのか」——この問いを自分に向けられるかどうかが、最初の分岐点になる。

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Heyday透明性メディア編集部。SES業界の仕組みをエンジニア目線で調査・取材し、数字と事実で伝える。すべての記事は代表・小川将司が監修。

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