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SES残業の実態|月0〜10時間が4割・60時間超が1割という現場分布

野沢営業アシスタント

HeydayのSES案件担当・野沢が現場別の残業実態を解説

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この記事でわかること

  • Heyday 2026年取扱案件のうち、残業ゼロ〜月10時間の案件が約4割、20〜40時間が最多分布、月60時間超は約1割という分布
  • 精算幅140〜180時間内の超過は無償、精算幅外は時給換算の追加請求が原則。みなし残業固定額は超過分の支払い義務が残る
  • 金融・官公庁・Web系で残業傾向が大きく異なる。案件票で精算幅・36協定・直近3ヶ月の残業実績を確認すれば現場の実態は事前に見抜ける
  • SES残業が発生する構造的原因は『客先文化』『SES会社の管理不足』『精算幅設計』の3層で成立している
  • 残業代の未払いは労基法37条違反。過去2年分まで遡って請求できる権利がある

この記事の対象: SES企業への転職・就職を検討しているエンジニアで、実際の残業量を案件タイプ別に把握したい人

Heyday 2026年取扱案件のヒアリングでは、残業月0〜10時間が約4割、20〜40時間が最多帯、60時間超は約1割。「SESは残業が多い」も「ほとんどない」もどちらも正しい。残業時間は『SESだから』ではなく『どの現場に入るか』で決まり、ゼロの案件と月100時間超の案件が同じ業界に同居している。

「業界平均15〜20時間」という統計値だけでは、自分が入る現場が実際どうなのかは見えてこない。重要なのは平均値ではなく分布、そして面談前に現場タイプを見抜く力だ。

私はHeyday株式会社で案件調整を担当している野沢だ。エンドクライアント・1次請けSIer・他社SES営業との調整を日常的に行い、契約締結後は稼働中のエンジニアから残業状況のヒアリングを続けている。この記事では、Heyday 2026年取扱案件の残業時間分布をベースに、現場タイプ別の実態・精算幅とみなし残業の仕組み・残業が多い現場の5つのシグナル・残業が発生する構造的原因・残業代の正しい請求方法を、案件調整の現場から具体的に整理する。

データの出所: 本記事の数値は、Heyday株式会社が2026年1〜4月に取り扱った案件のうち、稼働中エンジニアからの残業実績ヒアリングが取れた案件を母集団とした概算分布である。母数は数十件規模であり、業界全体を代表する統計ではない点を明示しておく。SES経営者の現場肌感として参考にしてほしい。

SES残業の現場別分布|月0〜10時間が4割・60時間超は1割という4階層

「業界平均は月15〜20時間」と言われるが、現場の感覚では平均値はほとんど意味を持たない。実際は『残業ゼロの案件』と『月60時間超の案件』が同居していて、平均値はその中間を示しているに過ぎないからだ。

Heyday 2026年取扱案件のヒアリング結果を整理すると、残業時間はおおむね4つの帯に分かれる。

残業時間帯案件の割合(概算)主な現場タイプ
月0〜10時間約4割リモート保守・運用、官公庁ルーティン、小規模SaaS開発
月10〜30時間約3割一般的な業務系開発、Webサービス保守、安定運用フェーズ
月30〜60時間約2割新規開発のリリース集中期、金融系の大規模プロジェクト
月60時間超約1割炎上案件、納期固定の請負類似プロジェクト、レガシー移行の山場

母数は数十件規模の概算であり、業界全体を統計的に代表するものではない。ただ、「ゼロから100時間超まで分布が広い」という事実は、現場で営業をしていれば肌感としてはっきり見えてくる。

なお、情報サービス産業全体の所定外労働時間は月約19時間(情報サービス産業基本統計調査)という数値も参照されるが、これは自社開発・受託・SESを含む全体平均だ。SES案件に絞った場合は、精算幅の範囲内に収まる案件では見かけ上の残業時間が少なく見えるという特性もある。

残業ゼロ〜月10時間:リモート主体・小規模案件の傾向

残業がほぼ発生しない案件には共通した特徴がある。

  • 業務内容が定型化されている:保守・運用・監視業務、官公庁の定期更新、社内システムのヘルプデスク
  • リモート主体で勤怠が時間管理されている:始業・終業のSlack報告が習慣化されており、サービス残業が発生しにくい
  • チームの稼働ピークが明確:月次バッチ・四半期決算など特定タイミング以外はベース工数で回る
  • エンドクライアントが大手・上場企業:労務管理が厳格で、長時間労働そのものを避ける文化

「残業ゼロ」を理由にこの帯の案件を選ぶエンジニアは多いが、トレードオフもある。新しい技術スタックに触れる機会が少なく、設計や上流工程の経験は積みにくい。キャリアの早い段階でこの帯ばかり選ぶと、3〜5年後にスキルの伸び悩みを感じやすい。

月20〜40時間:最多分布帯の現場パターン

最も案件数が多いのがこの帯だ。「健康的に働きながら手応えのある仕事もできる」というバランス型の現場が中心になる。

  • 業務系SaaSの新機能開発(スプリント単位で工数が読める)
  • 中規模Webサービスの開発・保守ハイブリッド
  • 既存システムの機能追加プロジェクト
  • データ分析・BIツール構築の継続案件

月20〜40時間というのは、繁忙期に40時間まで増えても、閑散期には10時間台に戻るという振れ幅を含んでいる。ベースは健全だが、リリース直前や仕様変更が連続したタイミングで一時的に増える、というのがこの帯の典型だ。

月60時間超:デスマーチ現場の見分け方

月60時間超の現場には、案件票の段階でいくつかのシグナルが出ている。

  • 「炎上案件」「火消し」「リリース直前」というキーワードが営業から共有される
  • 商流が深い(3次・4次請け)案件で、上位ベンダーから工数だけ降りてくる
  • スコープに対してチーム人数が明らかに足りない
  • 「精算幅150〜200時間」など、上限が異常に高い設定になっている
  • 36協定の特別条項適用が前提になっている

このタイプの案件は短期間で単価が高めに設定されることが多いが、精算幅外残業の運用が曖昧な現場ほど、結局時給換算では下がる。「単価70万・精算幅180h」と「単価60万・精算幅160h」を時給換算で比較すると後者が高くなるケースは珍しくない

なぜSES残業が発生するのか|客先・SES会社・個人の3層構造

「SESは残業が多い」というイメージの根底には、三者構造(エンジニア・SES会社・エンドクライアント)が生み出す構造的な問題がある。SES経営者として約6年間この業界を見てきた小川(Heyday代表)に、残業が発生する仕組みを3つの層で整理してもらった。

第1層:客先(エンドクライアント)側の要因

残業の発生原因として最も大きいのが、客先の文化と管理体制だ。

スケジュール設計の甘さ。客先PMが当初から無理なスケジュールでプロジェクトを立ち上げるケースは珍しくない。「上流工程の遅延を下流で取り返す」という体制が染みついている現場は、エンジニアがいくら効率よく動いても残業が常態化する。

変更管理の欠如。仕様変更・追加要件をQA〜リリース直前まで引きずる現場では、工数が積み上がるたびに残業で吸収する文化になる。スコープ増加に対してチームサイズを増やすのではなく、残業で対応することを前提にしているプロジェクト運営だ。

「いてくれる感」圧力。客先チームが遅くまで働いている文化の現場では、SESエンジニアも「空気を読んで」残業する状況になりやすい。法律上はSES会社に残業指示権があるが、現場では客先上長から暗黙の圧力がかかるケースがある。

第2層:SES会社側の要因

SES会社のマネジメント能力と契約設計が、エンジニアの残業に直接影響する。

精算幅の設計ミス。精算幅の上限が190〜200時間に設定されている案件では、クライアント側に「180〜200時間まで追加費用ゼロで使える」という誤ったインセンティブが働く。ここが長時間残業の温床になる。精算幅設計はSES会社が交渉で決める部分であり、エンジニアを守る設計ができているかどうかは会社の質に直結する。

営業の現場ヒアリング不足。稼働前の残業ヒアリングが「クライアント担当営業への確認」だけで終わっている会社は、現場の実態を把握していないことが多い。Heydayでは、案件票への直近3ヶ月実績の記載と、稼働中エンジニアからの定期ヒアリングを仕組みにしている。これをやっていない会社は、エンジニアが入ってから初めて実態を知ることになる。

残業クレーム窓口の未整備。「残業が多い」という相談窓口がなく、エンジニアが不満を抱えたまま案件を続けるか黙って退社するかという二択になっている会社は多い。定期面談・エスカレーションフローが整備されているかどうかで、残業問題への対応速度が大きく変わる。

第3層:エンジニア個人側の要因

構造的な問題だけでなく、エンジニア本人の行動パターンも残業を生む。

「断れない」心理。客先で「追加でお願いできますか?」と言われたとき、断ることに心理的コストがかかる。SES契約上、準委任範囲を超える指示を断る権利はあるが、実際に口に出すには知識と練習が要る。「断り方」を会社がレクチャーしていないと、エンジニアは圧力に負けて残業を続ける。

スキル不足による作業効率の低さ。入った現場の技術スタックに習熟していないと、同じ成果物を出すのに倍の時間がかかる。特にキャリア序盤のエンジニアは、スキルギャップを残業でカバーしようとするパターンに陥りやすい。スキル向上という根本解決よりも残業という対処療法を選ぶと、長期的には状況が悪化する。

案件選びの基準が「単価だけ」。単価と残業時間はトレードオフになることが多い。単価が高い案件ほど現場の要求水準も高く、急いで単価を上げようとして残業の多い案件を選ぶと、健康・スキル・モチベーションのすべてで悪循環に入る。SES案件の選び方では、単価以外の案件評価軸を解説している。

小川(Heyday代表)のコメント: 「残業問題の本質は、三者のうち誰が『残業を設計している』かが見えていないことだと思っている。客先・SES会社・エンジニアの誰かが問題を抱えていても、三者構造の中で責任が曖昧になる。SES会社として私たちができるのは、精算幅の設計・定期ヒアリング・エスカレーション窓口の整備——つまり構造を設計して残業を可視化することだ。」

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精算幅140〜180時間とみなし残業|給与に直結する3つの仕組み

残業の話で必ず出てくるのが「精算幅」と「みなし残業」だ。両者は別の概念だが混同されやすく、ここを誤解したまま現場に入ると「思っていた給与と違う」というトラブルになる。

精算幅(例:140〜180時間)の計算方法

精算幅とは、SES契約で「この時間範囲内なら追加精算なし」と定めた稼働時間の幅を指す。月140〜180時間が業界の標準的な設定だ。

計算方法は2パターンある。

パターン1:上下割(じょうげわり)

  • 140時間未満で稼働 → 不足時間×時給で控除
  • 180時間超 → 超過時間×時給で追加請求
  • 140〜180時間内 → 月額固定で精算

パターン2:上割(うえわり)

  • 180時間超のみ追加請求
  • 180時間以下は何時間でも月額固定(超過分のみ精算)

エンジニア視点では上割の方が有利だ。早く帰っても給与が減らないため、効率的に仕事を終わらせるインセンティブが働く。一方、上下割は「最低時間を満たさないと給与が減る」ため、無駄に長居する文化が生まれやすい。

精算幅のレンジ自体も重要だ。140〜180時間(幅40時間)なら健全だが、150〜200時間(幅50時間)になると月50時間の残業が「精算なし」で消える。精算幅の上限が180時間を超える契約は要警戒と覚えておきたい。

みなし残業固定額の場合、超過分は本当に払われるか

みなし残業(固定残業代)は、給与に「最大◯時間分の残業代」を含めて支給する制度だ。SES企業の正社員給与でよく見るパターンで、たとえば「月給40万円(みなし残業30時間分8万円含む)」という形になる。

ここで重要なのは、みなし残業時間を超えた分は法律上必ず支払い義務があるという点だ。みなし30時間で実残業が40時間なら、超過10時間分は別途支給されなければならない。

ところが実態として、超過分が支払われないケースは存在する。よくあるパターンを整理すると:

  • 勤怠管理ツールでみなし時間以上の残業を入力できない設計になっている
  • 「うちはみなし残業だから残業代は出ない」と説明される(違法)
  • 上長から「30時間以内に収めろ」と暗黙の圧力がかかる
  • 自己申告制で、超過分の申請が事実上できない雰囲気になっている

これらはすべて労働基準法違反の可能性がある。みなし残業はあくまで「定額前払い」であって、「上限固定」ではない。

「残業代が出ない」は違法か合法か(SES特有のケース)

SESには三者構造(SES会社・エンドクライアント・エンジニア)があるため、残業代の議論が複雑化する。

ケース別に整理すると以下のとおりだ。

ケース合法/違法補足
精算幅内(140〜180h)の残業に対する追加給与なし合法月額固定で契約しているため
精算幅外(180h超)の残業に対する追加精算なしグレー契約書に明記されていれば形式的に合法、実態として労基法違反の可能性
みなし残業時間を超えた分の残業代未払い違法労働基準法第37条違反
エンドクライアントの指示で残業しているのに自社が残業代を払わない違法雇用主は支払い義務あり
「準委任契約だから残業代は発生しない」と説明される違法準委任は契約形態であり、雇用関係の労基法とは別レイヤー

SESエンジニアはSES会社との雇用契約に基づいて給与をもらっている。エンドクライアントとの間にあるのは準委任契約で、これは「成果物ではなく業務遂行を提供する」という商取引の枠組みだ。雇用関係はSES会社との間に存在するため、労基法の残業代規定は当然適用される。

「準委任だから残業代が出ない」という説明を受けたら、それは雇用契約と請負契約を混同した誤った説明だ。

残業代の正しい計算と請求方法|SESエンジニアが知っておくべき実務手順

残業代が正しく支払われているか確認するには、計算式と請求フローを理解しておく必要がある。知らなければ損をするまま泣き寝入りになる。

残業代の計算式

法定時間外労働(月45時間まで):通常の賃金×1.25倍 深夜残業(22時〜翌5時):通常の賃金×1.25倍(深夜割増) 法定休日労働:通常の賃金×1.35倍 月60時間超の時間外(大企業のみ):通常の賃金×1.50倍

たとえば、月給40万円(みなし残業30時間含む)で実際に50時間残業した場合:

  • 月給40万円の1時間あたり賃金:40万円÷160時間(月所定)=2,500円
  • みなし残業30時間分は給与に含まれているため、超過20時間分が請求対象
  • 超過残業代:2,500円×1.25×20時間=62,500円

みなし残業の「含まれる時間数と金額」が就業規則・雇用契約書に明示されていない場合、そもそもみなし残業制自体が無効になる可能性がある(最高裁判例あり)。

残業代の請求手順

Step 1:証拠を確保する

タイムカード・入退室記録・Slackのアクティビティログ・Gitのコミットタイムスタンプなど、実際の稼働時間を証明できるものを保存する。自社の勤怠管理ツールに実際の時間を正確に打刻することが第一歩だ。

Step 2:正確な稼働時間と未払い額を計算する

勤怠記録をもとに「みなし残業時間を超えた時間数」を月ごとに集計し、上記の計算式で未払い額を算出する。

Step 3:SES会社の人事・総務に書面で請求する

口頭ではなくメールや書面で請求することが重要だ。「◯月〜◯月の超過残業代として合計◯万円の支給を求める」という形で証拠とともに提出する。

Step 4:対応がない場合は外部機関に相談する

所轄の労働基準監督署(無料・匿名可)または弁護士・社労士に相談する。未払い残業代は過去2年分(労基法改正で実質3年分の場合あり)まで遡って請求できる権利がある。

残業代の相談先まとめ

相談先費用匿名特徴
労働基準監督署無料会社への指導・調査を要請できる
労働相談情報センター(都道府県)無料相談・あっせんが可能
弁護士(労働専門)有料不可訴訟・示談交渉まで対応
社労士有料不可計算・交渉のサポート

SESの待機・ケア体制が薄い会社のサインとしての残業放置も参考にしてほしい。

面談前に残業の多さを見抜く5つのチェックポイント

案件調整をしていて確信しているのは、残業の多寡は面談前の情報でかなり読めるということだ。「入ってみないと分からない」は、確認すべきポイントを確認していないだけ、というケースがほとんどになる。

面談・案件票・営業との会話で必ず確認したい5点を紹介する。

1. 精算幅の上限

精算幅の上限が180時間以下なら健全。190時間以上は要警戒。「精算幅の記載なし」という案件票は、運用が不透明という意味で最も危険だ。

2. 直近3ヶ月の残業実績

「平均的に何時間ですか」ではなく「直近3ヶ月の月別実績を教えてください」と聞く。具体的な数字で答えられない営業は、現場を把握していないか、悪い数字を隠している可能性がある。

3. 36協定と特別条項の有無

「特別条項適用案件」と明記されている、または営業が口頭で「繁忙期は協定上限まで使う前提」と説明する場合、月45時間超が常態化している現場である可能性が高い。

4. 残業の理由(構造的か一時的か)

「リリース直前」「炎上対応」など一時的な理由ならピーク後に落ち着く。一方、「人が足りないから」「クライアントの文化」など構造的な理由は、入ってからも改善しない。

5. 既存メンバーの残業時間と勤続期間

チーム内の他メンバーの残業実績と、その人たちが何ヶ月続けているかを聞く。「前任者は3ヶ月で離脱」「半年でメンバーが入れ替わっている」という現場は、残業を含む労働環境に問題がある可能性が高い。

この5点を面談で聞く前提で臨めば、残業実態が「曖昧な現場」を高い確度で除外できる。

残業が多い現場の見分け方をさらに詳しく知りたい場合はSESで残業が少ない案件の見分け方で、篠田(Heyday営業・面談同席2,400件以上)がよりディープな見抜き方を解説している。

業種別の残業傾向|金融20〜40h・Web10〜30h・官公庁0〜20h

業種・案件タイプによって残業の傾向は大きく異なる。Heyday取扱案件のヒアリングから見えてきたパターンを整理する。

金融・保険系案件の特性

  • 平均残業時間: 月20〜40時間(繁忙期は60時間まで上振れ)
  • 特徴: リリースサイクルが厳格、検証フェーズで深夜対応あり、決算期(3月・9月)に集中
  • メリット: 単価が比較的高く、安定した長期案件が多い
  • 注意点: ドキュメント作業の比重が大きく、残業の中身が「書類仕事」に寄る

金融系は労務管理がしっかりしている分、長時間残業が常態化することは少ない。ただし、システム障害発生時や本番リリース前後は深夜・休日対応が発生しやすい。

Web系・スタートアップ系案件の特性

  • 平均残業時間: 月10〜30時間(プロダクトフェーズで大きく振れる)
  • 特徴: スプリント単位で工数が読みやすい、リモート前提、技術スタックが新しい
  • メリット: 残業少なめ+技術キャッチアップ機会が多い
  • 注意点: ピボット・大型機能追加のタイミングで急激に増えることがある

Web系は「健全だが伸縮する」タイプ。月10時間で安定する時期と、リリース前に40時間超に跳ねる時期が交互にくる。

官公庁・インフラ系案件の特性

  • 平均残業時間: 月0〜20時間(年間を通じて安定)
  • 特徴: 業務時間が厳格、リモート不可の現場も多い、年単位の長期契約
  • メリット: 残業ほぼゼロで生活リズムが安定
  • 注意点: 技術スタックが古い、チーム文化が硬直的、単価上昇が緩やか

ワークライフバランスを最優先にするなら、官公庁・インフラ運用系はかなり強力な選択肢になる。一方、技術成長を重視するエンジニアには停滞感が出やすい。

残業が多い現場から抜け出す方法|3つの選択肢と判断基準

残業が多い現場に入ってしまった場合、選択肢は3つある。それぞれにコストとリターンがあるため、状況に応じて判断してほしい。

選択肢1:現場で改善を求める(まず試みるべき方法)

案件調整担当やSES会社の営業に「残業が多い状況」を正式に相談し、エンドクライアントへの交渉を依頼する。具体的には:

  • 「精算幅外の残業が継続しており、別途精算の実行を求めたい」
  • 「直近3ヶ月の残業実績を踏まえて、スコープ調整または人員追加を依頼したい」
  • 「このまま続くと健康影響があるため、案件変更を検討したい」

SES会社として誠実に対応する会社なら、エンドクライアントへの交渉か案件変更の支援をしてくれるはずだ。この動きに対応できない会社は、エンジニア管理に問題があると判断していい。

精神的・身体的なダメージが蓄積し始めているならSES・客先常駐でうつになる前に|メンタル限界サインと対処法も合わせて読んでほしい。

選択肢2:残業を構造的に断る(権利として行使する)

準委任契約の範囲を超える残業指示を断ることは、法律上の権利だ。具体的な断り方と交渉術についてはSESで残業が少ない案件の見分け方に詳しくまとめてある。

断るための前提として:

  • 残業指示の権限はSES会社(雇用主)にある。客先上長の「残業お願いします」は法律上の業務命令ではない
  • 準委任契約の範囲内での業務遂行は義務だが、精算幅外の稼働は別途精算が条件
  • 「断ると契約が切られる」という不安は、SES会社が調整役として交渉することで回避できる

選択肢3:案件を変える(根本解決)

現場改善も残業断りも機能しない場合、最終的には案件を変えることが最も確実な解決策になる。

ただし、「残業が少ない案件ならどこでもいい」という選び方は長期的には損だ。自分のスキル・経験年数・希望する技術スタックと、残業時間帯のバランスを取った案件選びが必要になる。

自分のスキルに合う「残業少なめ・単価適正」の案件がどこにあるか知りたい場合は、市場単価診断から始めるのが一番手早い。

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SES・正社員・フリーランスで残業の発生原因がどう違うか

SESの残業を考えるときに無視できないのが、三者構造(SES会社・エンドクライアント・エンジニア)の影響だ。

正社員エンジニアは「自社のプロダクト開発に責任を持つ」立場で、残業の発生原因も社内事情に閉じる。一方、SESは「クライアント先で業務を提供する」立場のため、残業の発生原因がクライアント側の都合(スケジュール・人員不足・仕様変更)に強く依存する。

フリーランスは「成果物単位の請負」または「準委任契約の単発」が中心で、残業に対する感覚が異なる。月160時間で契約していれば、それを超える指示は別精算という前提がはっきりしている。

立場残業発生の主因残業代の扱い
正社員(自社開発)自社プロダクトの状況雇用契約に基づき法定通り支給
SES(準委任)クライアント先の状況SES会社との雇用契約に基づき法定通り支給
フリーランス契約条件次第精算幅外は別途請求

SESで残業を減らすための現実的な選択肢は3つある。

  1. 案件選びを徹底する: 残業少ない現場タイプ(保守・官公庁・小規模SaaS)に絞って探す
  2. 精算幅を必ず確認する: 上限180時間以内・上割契約を基準にする
  3. 会社のサポート体制を確認する: 残業強要があった場合の調整窓口・断り方の支援があるか

Heydayでは契約単価・マージン・商流をすべて開示しています

「残業実態が事前に分かる案件を選びたい」「自分の市場単価で残業少なめの現場に入れるか知りたい」という方の相談を受け付けている。 Heydayでは稼働前に契約単価を本人に開示し、案件票に直近3ヶ月の残業実績を記載する運用を進めている。

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よくある質問(FAQ)

Q. SESは残業が多いって本当ですか?

結論:SES全体として残業が多いわけではない。Heyday取扱案件では月0〜10時間が約4割を占める。一方、月60時間超の案件も約1割存在する。SESだから残業が多い/少ないではなく、入った現場がどのタイプかで決まる。残業を避けたいなら、保守・運用・官公庁系の案件を中心に選ぶことで月10時間以下に抑えやすい。

Q. みなし残業のある案件は避けるべきですか?

結論:みなし残業そのものは合法。問題は超過分の精算ルールが運用されているかどうか。残業30時間分を給与に含めるという制度設計自体は法的にも認められている。問題なのは、みなし残業時間を超えた分の残業代が支払われない運用だ。みなし時間超過分の精算ルールが就業規則に明記されており、実際に支給されている会社であれば、みなし残業のある案件でも問題ない。面談時に「みなし時間を超えた場合の精算はどうなりますか?」と直接聞くのが確実だ。

Q. 残業が少ない案件を選ぶには何を確認すればいいですか?

結論:直近3ヶ月の月別残業実績を具体的な数字で取る・精算幅180h以下・36協定特別条項なし、の3点を確認する。最も確実なのは「直近3ヶ月の月別残業実績」を案件票や営業から具体的な数字で取ることだ。「平均的には〜」という曖昧な回答ではなく、「1月15時間、2月12時間、3月18時間」という形で出てこなければ、運用が不透明な可能性がある。あわせて精算幅の上限(180時間以下が健全)と、36協定の特別条項適用の有無を確認すれば、残業実態のかなりの部分が見えてくる。詳しくはSESで残業が少ない案件の見分け方を参照してほしい。

Q. 残業100時間超の現場はどのくらいありますか?

結論:Heyday取扱案件で月60時間超は約1割、100時間に達する案件は炎上・大型移行の山場に限られる。Heyday取扱案件のヒアリングでは、月60時間超が約1割。そのうち本当に100時間に達するのは、ごく一部の炎上案件・大型移行プロジェクトの山場に限られる。ただし、「精算幅外残業を含めれば100時間に達している」というケースは、案件票に出てこない部分で発生していることがある。精算幅の上限が190時間以上に設定されている案件は、構造的に長時間労働を受容する設計になっているため、回避するのが無難だ。

Q. 残業代が出ない場合、どこに相談すればいいですか?

結論:所属会社の人事に書面で支給請求→対応がなければ所轄の労働基準監督署に相談(無料・匿名可)。まず雇用契約書と就業規則の残業代条項を確認し、所属SES会社の人事に書面(メールでも可)で支給を求めるのが第一段階だ。それでも対応されない場合は、所轄の労働基準監督署(「労働基準監督署 [居住地]」で検索)に相談できる。相談・申告は無料で匿名でも受け付けている。みなし残業時間超過分の未払いは労働基準法第37条違反であり、過去2年分まで遡って請求できる権利がある。

Q. SES会社を変えれば残業は減りますか?

結論:SES会社の質で残業状況は大きく変わる。精算幅交渉力・定期ヒアリング体制・エスカレーション窓口の有無が判断基準。同じエンジニアが同じスキルで動いても、SES会社が精算幅をどう交渉しているか・現場のヒアリングをどこまでやっているかで、入る案件の残業実態は変わる。「残業が多い」という悩みが会社由来か案件由来かを切り分けるためには、自分の市場単価と案件タイプを把握してから判断することが重要だ。


まとめ

SESエンジニアの残業実態を、Heyday取扱案件のヒアリングデータと案件調整の実務知見から整理した。

  • 残業時間は現場で大きく異なる:月0〜10時間が約4割、月60時間超は約1割
  • 業界平均の数字は実態を隠す:分布で見ると「ゼロの案件」と「100時間超の案件」が共存している
  • SES残業の構造的原因は3層:客先の文化と管理体制・SES会社の精算幅設計と管理不足・エンジニア個人の行動パターン
  • 精算幅とみなし残業は別概念:精算幅140〜180h・上割契約が健全な目安
  • 残業代の未払いは違法:計算式を理解し、未払いがあれば書面で請求・労基署に相談できる
  • 残業実態は面談前に見抜ける:精算幅・直近実績・36協定・残業の理由・既存メンバー残業の5点で判断可能
  • 案件タイプ別の傾向を把握する:金融系は20〜40h、Web系は10〜30h、官公庁・インフラは0〜20h
  • 残業が多い現場から抜ける選択肢は3つ:現場改善の交渉・権利として残業を断る・案件を変える

残業の多寡は「SESだから」ではなく「どの現場に入るか」で決まる。面談前に精算幅と直近残業実績を確認すれば、残業100時間の現場に入るリスクは大幅に下げられる。自分のスキルでどのタイプの案件にマッチするかを知るには、市場単価診断から始めるのが手早い。

残業が少ない案件に移りたい・自分の市場単価を知りたい方へ

Heydayでは、稼働前に案件票へ直近3ヶ月の残業実績を記載し、契約単価を本人に開示している。残業実態が事前に見える案件を探したい場合はこちらから。

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残業の多寡は『SESだから』ではなく『どの現場に入るか』で決まる。診断ツールで自分のスキルに合う案件タイプを把握し、面談前に精算幅と直近残業実績を必ず確認してほしい。

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この記事の著者

野沢

Heyday株式会社 営業アシスタント

HeydayのSES案件担当・野沢が現場別の残業実態を解説

Heyday株式会社 営業アシスタント。SES業界8年。エンジニアの現場入り支援・契約実務・待機期間のフォローを担当する。

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