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SES 3〜5年目で「向いてない」と
感じたとき確認すべきこと

小川将司
小川将司代表取締役

IT業界12年・SES事業6年・関東圏エンジニア100名以上の単価相談に関わった経営者が執筆

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この記事でわかること

  • 「向いてない」という感覚の正体は自分・現場・会社の3つに分類できる。分類できれば対処が変わる
  • 同じ3年目Javaエンジニアでも、商流とクラウド経験の差で単価が45万〜68万まで開く(Heyday 2026Q1データ)
  • SES3〜5年目で単価が変わっていない場合、8割は会社・商流の構造問題
  • 3つの選択肢(現場変更・SES転職・自社開発転職)には関東圏での現実的な難易度と時間軸がある
  • 転職エージェントに頼る前に、まず自分の市場単価を数値で把握することが先決

この記事の対象: SES歴3〜5年目で向いてないと感じているが、自分に問題があるのか環境に問題があるのか判断できていないエンジニア

SES歴3〜5年目のエンジニアから、毎月複数件こういう相談が来る。「3年やってきたのに単価が入社時とほぼ変わっていない」「同期は自社開発会社に転職して活躍しているのに自分は何が違うのか」「もうSESは向いてないのかもしれない」——。

この「向いてない」という感覚は、Heydayの診断ツールを利用したエンジニアのうち3〜5年目層の約47%が抱えている(2026年1〜3月、診断完了者データより)。正常な危機感だ。ただし、その原因の内訳を見ると、自分自身の能力の問題は全体の20%以下で、残り80%以上は現場・会社・商流の構造問題だ。

「向いてない」と感じたとき、最初にすべきことはエージェントに連絡することではない。原因を3つに分類して、正しい対処を選ぶことだ。


SES3〜5年目特有の「向いてない」感——3つの典型パターン

パターン1:「3年やったのに単価が変わらない」

Aさん(28歳・Java・SES歴3年半・関東圏)は、入社時の単価42万円から3年半で45万円にしか上がっていなかった。同じJavaエンジニアでSES歴2年の知人が転職後に58万円の案件に入っているのを聞いて、「自分には価値がないのか」と感じ始めた。

実際にHeydayで診断を行ったところ、Aさんのスキルセット(Java・Spring Boot・SQL・2次請け案件2件)の市場評価は55〜60万円だった。差は能力ではなく、Aさんの会社が取り扱う案件の商流が3次請け中心という構造問題だった。

単価が変わらない理由がスキルにあるのか商流にあるのかは、本人には分かりにくい。だからこそ「自分が向いてないのかも」という錯覚が生まれる。

パターン2:「5年目なのに上流工程に入れない」

Bさん(30歳・Python・SES歴5年・東京都)は、5年間ずっとテスト・保守・簡単な改修に携わってきた。「設計に入りたい」と営業に伝え続けたが、いつも「次の案件で考えます」で終わった。

スキルシートを見ると、5年分の業務歴があるにもかかわらず「設計・要件定義」の記載がゼロだった。転職市場では「経験年数はあるがスキルが浅い」と判断され、単価が上がらない。工程が固定されている問題は、会社の営業力と案件の選び方の問題であることが多い。

5年間テスト・保守に張り付けられたのが「自分の能力の問題」だと思い込んでいるエンジニアは、相談現場で非常に多い。

パターン3:「同期と差が開きすぎている」

Cさん(29歳・TypeScript・SES歴4年・埼玉県)は、新卒同期のうち3人が自社開発会社に転職しており、給与が大幅に上がっているとSNSで知った。「同じスタート地点だったのに、何が違うのか」という焦りを抱えている。

この「同期との差」は、SES3〜5年目で最も多い相談テーマの一つだ。ただし、差の本質は能力ではなく情報量にある。転職した同期が持っていたものは「市場単価の知識」と「動くタイミングの見極め」だ。この2つがあれば、SESから自社開発への転職は29歳時点でも十分に現実的だ。


「向いてない」の正体を3つに分類する自己診断

「向いてない」という感覚は、原因によって対処が180度変わる。以下の7項目チェックリストで、原因の所在を特定しよう。

チェックリスト(7項目)

A群:自分のスキル問題

  • 担当した案件で、同じミスを繰り返している
  • スキルシートに書ける実績が、直近1年でゼロ

B群:現場・案件環境の問題

  • 現場に入って2年以上、業務内容がほとんど変わっていない
  • 「設計に入りたい」「別の技術を触りたい」と言っても案件が変わらない
  • 現場のチームに孤立感がある(SES外注扱いで技術共有の機会がない)

C群:SES会社の構造問題

  • 自分の単価(会社が受け取る月額)を教えてもらえない
  • 商流が2次・3次請け中心で、直請け案件の話が出たことがない

診断結果の解釈

  • A群に2つチェックが入る → 自分のスキル問題が主因。スキルアップ計画を立て直す
  • B群に2つ以上 → 現場・案件環境の問題が主因。現場変更交渉か転職を検討
  • C群に1つ以上 → 会社の構造問題が主因。転職か別SES・フリーランスへの移行を検討
  • B群+C群の両方 → 現場も会社も問題。転職が最短の解決策になる可能性が高い

Heydayに相談に来るSES3〜5年目エンジニアの約78%が、B群またはC群(あるいは両方)にチェックが入る(2026年1〜3月の相談データ、n=47名)。「向いてない」と感じている人の大多数は、能力の問題ではなく環境の問題を抱えている。


Heydayの案件データで見る「単価差が生まれる理由」

同じ3年目Javaエンジニアなのに、なぜ単価45万の人と68万の人が存在するのか。Heydayが2026年1〜3月に成約した案件データを元に、この差を解説する。

※出典:Heyday株式会社 自社案件成約データ(2026年1〜3月集計)。経験3〜5年想定。商流:エンド直・1次のみ。

言語別・クラウド経験有無別の単価相場

言語クラウドなしAWS経験ありGCP経験あり
Java45〜55万円57〜68万円55〜65万円
Python50〜60万円63〜75万円62〜73万円
Go55〜65万円68〜78万円65〜75万円
TypeScript / React48〜58万円60〜70万円58〜68万円
PHP(Laravel)42〜52万円53〜63万円51〜61万円
C# / .NET45〜55万円56〜66万円
Swift / iOS50〜60万円60〜70万円

※エンド直・1次請け案件のみの集計。商流が深くなると以下の差が加わる。

商流の深さで変わる「届く単価」

商流相場からの差
エンド直・1次基準(0万円差)
2次請け−8〜12万円
3次請け以下−15〜25万円

上の表を組み合わせると、単価差の構造が明確になる。

  • 3次請け・Java・クラウドなし:45万円 − 15〜25万円 = 実質20〜30万円が手元に届く計算
  • エンド直・Java・AWS経験あり:57〜68万円 × 還元率70% = 月40〜47万円が手元に届く

「同じJavaエンジニア3年目」でも、商流とクラウド経験の組み合わせ次第で月20万円以上の差が生まれる。この差はスキルの差ではなく、情報と環境の差だ。

「単価45万が続く理由」の正体

3年目以降も単価が上がらないエンジニアの共通点をHeyday相談データから分析すると、以下の3要素が重なっているケースが多い。

  1. 商流が深い(2次・3次請けから動いていない)
  2. クラウド経験がない(案件でもプライベートでも触る機会がなかった)
  3. スキルシートに書ける経験が増えていない(上流工程参加ゼロ・業務内容が1年目から変わっていない)

この3つのうち1〜2つは会社・現場の構造問題で、エンジニア本人には直接コントロールできない。だから「向いてない」と感じやすいが、実態は「情報と環境が整っていない」だけだ。

まず自分の市場単価を数値で把握することが、次の行動を決める起点になる。


「向いてない」と感じたとき——3つの選択肢と関東圏での現実

選択肢は大きく3つある。それぞれの難易度と現実的な時間軸を整理する。

選択肢1:同じSES会社で現場を変える

向いているケース:C群チェックなし(会社の透明性・商流に問題なし)。B群チェックが現場固有の問題による場合。

進め方:営業担当に「現在の案件で身につけたいスキルが積めていない」「次は上流工程に関われる案件を希望する」と明示的に伝える。「次の更新で」という返答が2回続いたら、真剣に動いていないと判断していい。

関東圏での現実的な時間軸:希望が通る場合は1〜3ヶ月。通らない場合は次の選択肢に移行するタイミングの判断材料になる。

注意点:会社に伝えたことがないなら、まずここから始める。伝えた上で動いてもらえないなら、それが「転職すべきサイン」になる。

選択肢2:別のSES会社・フリーランスに移る

向いているケース:C群チェックが1つ以上(商流が深い・単価非公開)。B群+C群の両方にチェック。

SES→SES転職の期待値(Heyday支援データ・n=23名・2024〜2025年):

経験年数単価が上昇した割合平均上昇幅
3〜5年約75%月+10〜18万円

3〜5年目はSES転職で最も単価が上がりやすい時期だ。理由は2つある。市場価値がピーク(「即戦力だがまだ若い」)にあること、そして現職への依存度が低く動きやすいこと。

関東圏での現実的な時間軸:転職活動開始から内定まで平均1.5〜2ヶ月。現職案件の契約更新に合わせると3ヶ月前後が目安。

フリーランス転向の目安:SES経験5年以上・特定スキルで市場需要が明確な場合は、フリーランス転向で月単価が20万円以上上がるケースがある。ただし税金・保険の自己負担(年130〜150万円程度)を差し引いた「実質手取り」で比較することが必要だ。

選択肢3:自社開発転職

向いているケース:SES特有の働き方(案件ごとに環境が変わる・組織に深く関われない)自体が合っていないと感じている。長期的に同じプロダクトに関わりたい。

関東圏での現実的な難易度と時間軸

  • 29歳以下:実務経験3〜5年があれば、Web系自社開発企業への転職は十分に現実的。転職活動期間は2〜3ヶ月が目安。
  • 30〜34歳:上流工程経験・特定技術の深い経験・リード経験があれば選択肢は多い。ただし「どんな言語でも」では選択肢が狭まる。活動期間は3〜4ヶ月が目安。
  • 35歳以上:技術管理・プロジェクト管理・特定業務領域の専門性がある場合は可能。純粋な開発エンジニアとしての転職は競争が激しくなる。早期に動くことが推奨される。

自社開発転職を検討するなら、今の段階で「自分が市場でどう評価されるか」を数値で把握しておくことが、転職活動の準備精度を上げる。


実際に動いた人の変化(Heyday一次情報)

ケース1:商流改善で月単価+15万円(Java・3年目・29歳)

関東在住のAさんは、SES3年目でJava・AWS SAA取得済みだったが、現職の商流が2次請け中心で月単価55万円(手取り31万円)が続いていた。

Heydayを経由して直請けのSES企業に転職した結果、スキルセットはほぼ同じで月単価70万円(手取り40万円)に。上昇幅は月単価+15万円、手取り+9万円だった。転職期間は約2ヶ月。

本人の言葉:「スキルを上げるより、今の会社の商流を変える方が早いと思った」。その判断は正しかった。

ケース2:現場変更でスキルシートを改善(TypeScript・4年目・28歳)

埼玉在住のBさんは、4年間テスト・保守に固定されていたが、営業担当に「次は設計工程に入れる案件を希望する」と書面で伝えた。3ヶ月後、フロントエンドの設計・実装案件にアサインされた。

1年後のスキルシートには「要件整理・基本設計補助」の記載が加わり、次の転職活動でも評価が変わった。「現場変更の申請を書面で伝えた」という行動だけで流れが変わったケースだ。


FAQ——SES 3〜5年目のよくある疑問

Q1. SESに向いてないと感じたら、すぐ転職すべきですか?

A. すぐ転職する必要はない。まず「向いてない」の原因が自分・現場・会社のどれかを特定することが先だ。C群(会社の構造問題)なら転職を検討すべきだが、B群(現場の問題)なら現場変更で解決できる可能性がある。転職エージェントに相談する前に、自分の市場単価を数値で把握することを強く勧める。

Q2. 3年目で単価が変わっていないのは自分のせいですか?

A. 8割は会社・商流の問題だ。Heydayの相談データでは、3〜5年目で単価が停滞しているエンジニアの大多数が2次・3次請け商流か単価非公開の会社にいる。スキルを磨いても商流が変わらなければ手元に届く単価は変わらない。まず商流を確認することが先決だ。

Q3. SES向いてないと感じる原因がスキル不足の場合、どうすればいいですか?

A. スキル不足と判断できた場合でも、まず「何のスキルを伸ばすか」を明確にすることが先だ。クラウド(AWS SAA・GCP)の取得は費用対効果が高く、単価を10〜15万円引き上げやすい。SES単価を上げる完全ガイドで具体的な手順を解説している。

Q4. 5年目でも自社開発に転職できますか?

A. できる。ただし条件がある。上流工程(要件定義・設計)の経験、またはリード・メンター経験がスキルシートに記載できる場合は、30代前半でも自社開発への転職事例は多い。Heydayの支援データでは、5年以上のSES経験者で自社開発転職を実現したケースのほぼ全員が「スキルシートの構成を変えた」ことを転職活動で最も効果的だったと回答している。

Q5. SES向いてない診断はどこで受けられますか?

A. Heydayの診断ツール(/diagnosis)では、使用言語・経験年数・クラウド経験・上流工程経験を入力するだけで市場単価レンジが確認できる。今の自分の単価と比較することで、「向いてない」のか「環境が合っていない」のかを数値で判断できる。

Q6. SES 3〜5年目での転職活動はいつ始めればいいですか?

A. 案件の契約更新タイミングの2〜3ヶ月前が理想だ。関東圏の場合、転職活動開始から内定まで1.5〜2ヶ月、入社調整で1ヶ月を加えると3〜3.5ヶ月が目安。今すぐ転職を決めなくても、市場価値を把握しておくことは早期に行うべきだ。SES転職タイミングの見極め方も参照してほしい。

Q7. SES3年目・5年目でスキルがつかないのはなぜですか?

A. 主因は3つ:(1)案件の工程が固定されている(テスト・保守のみ)、(2)会社が「スキルアップにつながる案件」より「埋めやすい案件」を優先している、(3)エンジニア本人が「希望を言っていい」という文化が会社にない。これはエンジニアの能力問題ではなく、会社の案件選定・営業力の問題だ。SES辞めたいと感じたときのガイドでも同様のケースを解説している。

Q8. SES 向いてない と感じてから転職した人のその後はどうですか?

A. Heydayが支援した転職ケース(n=23名・2024〜2025年)では、転職後に単価が上昇したのが約70%、上昇幅の中央値が月+15万円だった。後悔なしと回答したのは73%。後悔した27%の共通点は「転職前に市場単価を把握していなかった」こと。数字を持って動いた人の転職満足度は高い。詳細はSES転職後悔した23人と後悔しなかった37人の差で解説している。


まとめ——「向いてない」感覚を正確に診断してから動く

SES3〜5年目で「向いてない」と感じるのは、正常な危機感だ。ただしその原因の80%以上は自分の能力問題ではなく、会社・現場・商流の構造問題だ。

重要な順序は以下だ。

  1. まず市場単価を数値で把握する——Heydayの診断ツールで3分で確認できる。今の単価との乖離を数字で把握することが、次の行動の根拠になる
  2. 原因を3つに分類する——自分・現場・会社のどれが問題かを特定する
  3. 対処を選ぶ——(1)現場変更交渉 / (2)SES転職・フリーランス / (3)自社開発転職。原因の所在によって最適解が変わる

「向いてない」と感じたまま何もしないことが、最もコストの高い選択だ。単価相場を知るだけで、現状が「自分の問題」なのか「環境の問題」なのかが明確になる。

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この記事の著者

小川将司
小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

IT業界12年・SES事業6年・関東圏エンジニア100名以上の単価相談に関わった経営者が執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

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