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SES会社が転職者に
言わないこと11選

小川将司
小川将司代表取締役

SES業界6年の経営者として、業界の問題構造を内側から見てきた立場で執筆

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この記事でわかること

  • SES会社が言わない11の本音は3カテゴリに分類できる
  • マージン率の「実際の計算方法」は入社前に教えてもらえない
  • スキルアップより頭数を重視するSES会社の見分け方
  • 透明性の高いSES会社を選ぶ5つの質問

この記事の対象: SES企業選びに不安を感じるエンジニア、業界の実態を知りたい転職検討者

SES会社を経営して6年になる。

その間、何百人ものエンジニアと面談してきた。面談では必ず「前の会社を辞めた理由」を聞く。そこで出てくる言葉のパターンが、毎回ほぼ同じだということに気づいた。

「入社前に聞いていた話と違った」
「単価のことを教えてもらえなかった」
「スキルアップできると言われたのに、ずっと同じ現場だった」

これは個別の会社の問題ではない。SES業界全体に、「転職者に言わない慣習」が存在する。そして経営者のほとんどが、それを「しかたない」と思いながら続けている。

この記事を書くと、同業者から嫌われるかもしれない。「同業に向かって業界批判するのか」と言われるかもしれない。

それでも書く。

エンジニアが情報格差のせいで損をし続けるのを、これ以上見ていられないからだ。SES会社が言わないこと、11個を全部開示する。


SES会社が言わないことは3カテゴリある

言わないことを整理すると、大きく3つのカテゴリに分かれる。

カテゴリ1: お金のこと(言わないこと1〜4)
マージン率の計算方法、商流の深さ、単価推移の構造、フリーランス転向の損益分岐点。エンジニアの手取りに直結するにもかかわらず、入社前に開示されることはほとんどない。

カテゴリ2: リスクのこと(言わないこと5〜8)
待機期間の発生率、常駐先でのトラブル対応の限界、スキルアップを阻害するコスト構造、35歳以上で案件が急減する現実。長期キャリアに関わるリスクなのに、面談では出てこない。

カテゴリ3: 会社選びのこと(言わないこと9〜11)
本当に比較すべき指標、内定の意味、転職エージェント経由の紹介が持つコスト構造。会社選びの判断材料になるはずの情報が、意図的に隠されている。

順番に説明していく。


カテゴリ1: お金の本音

言わないこと1: マージン率の「本当の計算式」

「うちのマージンは20%です」という説明を受けても、その20%が何を基準に計算されているか、聞いてわかるSES会社はほとんどない。

マージン率の計算方法に業界統一基準はない。会社によって計算式がまったく異なる。

たとえば、月単価70万円で「マージン20%」と言われたとする。14万円が会社取り分で56万円があなたの取り分——とはならない。

実際の計算には以下が「経費」として引かれることがある。

  • 社会保険料(会社負担分。月8〜10万円規模)
  • 交通費(全額支給なら月2〜3万円)
  • 有給休暇コスト(年間20日取得なら実質月1〜2万円分)
  • 営業担当の人件費按分
  • 常駐先との調整コスト

これらを差し引いた後の「実質マージン率」が40〜50%に達するケースも珍しくない。

Heydayでは、この計算構造を単価とマージンの実態記事で詳細に解説している。面談前にこの記事を読んで、「実質マージン率はどう計算していますか」と聞いてほしい。答えられない会社は開示意思がないということだ。

Heydayの姿勢: 当社では、エンジニアに対して単価・マージン構造を具体的に説明している。「入社してから聞いてください」とは言わない。

言わないこと2: 商流が何重になっているかの実態

SES会社が「元請け案件中心です」と言っても、それが本当かどうか確認する方法が転職者にはない。

商流が2次請け・3次請けになると、単価はどう変わるか。

元請け単価100万円の案件を例に取る。

商流単価相場エンジニア手取り(還元率60%想定)
元請け(直)100万円60万円
2次請け80〜85万円48〜51万円
3次請け65〜75万円39〜45万円
4次請け55〜65万円33〜39万円

3次請けと元請けでは、同じスキル・同じ仕事をしているにもかかわらず、手取りに月20万円以上の差が生まれる。

SES会社の営業は、商流が深い案件を「良い案件」として提案してくることがある。それは、中間マージンを取る関係者が多い案件の方が、SES会社自身の単価調整余地が大きいからだ。

面談で確認すべき質問は「今紹介している案件の商流は何次ですか」ではなく「元請け比率は何%ですか、その数字の根拠を見せてもらえますか」だ。

言わないこと3: 長期稼働で単価が「慣れ」で下がる構造

入社時の単価が高くても、3〜5年後に同じ単価が維持されているとは限らない。

SES業界には「既存エンジニアの単価交渉は後回し」という暗黙の慣習がある。なぜなら、新規獲得より既存維持の方が営業コストが安く、エンジニアが黙って現場に入り続けてくれる方が会社は楽だからだ。

実態として、以下のようなパターンが起きる。

  • 常駐先が「スキルに見合った単価ではない」と判断しても、SES会社の営業が交渉を先送りにする
  • 「次の更新で上げます」と言われ続けて2年が経過する
  • SES会社が常駐先から受け取る単価は据え置きのまま、インフレで手取りの実質価値が下がる

自分の単価推移を確認したことがないエンジニアは、定期的に確認することを強く勧める。SES転職で単価が上がった事例の記事に、単価交渉のリアルが詳しく書かれているので参照してほしい。

言わないこと4: フリーランスの方が手取りが多くなる境界線

「正社員の安心感があります」というSES会社の言葉には、言わないことが含まれている。

フリーランスと正社員SESエンジニアの手取りを比較すると、月単価70万円以上の案件では、フリーランスの方が月20〜30万円多く手取りになるケースが多い。

正社員の「安心感」の内訳を整理する。

  • 健康保険・厚生年金の会社負担(実質的にはあなたの給与原資から拠出されている)
  • 有給休暇(フリーランスでも交渉次第で可能)
  • 雇用保険・失業給付(フリーランスには適用なし)
  • 待機期間中の給与保証(実際には無給か減給になるケースも多い)

月単価70万円以上のスキルを持つエンジニアなら、フリーランス転向のコストとリターンを一度計算すべきだ。SES会社が「フリーランスより正社員の方が安心」と言う背景には、フリーランスに転向されるとSES会社の収益源が失われるという事情がある。

この境界線の計算方法は正社員とフリーランスの比較ガイドで詳しく解説している。


カテゴリ2: リスクの本音

言わないこと5: 待機期間の「本当の発生率」

「うちは待機ゼロです」という謳い文句をよく見かける。

まず前提として、SES業界全体で「待機期間ゼロ」の会社はほとんど存在しない。案件終了と次案件開始のタイミングが完全に合致することは、構造的に難しい。

問題は「ゼロ」という言葉の定義だ。

  • 「1週間以内の待機はカウントしていない」
  • 「直近1年間の実績」であって長期スパンではない
  • 「一部のエンジニアを対象にした統計」

業界平均として、SESエンジニアが年間で1〜2回、各1〜4週間の待機を経験するケースは珍しくない。会社の案件調達力によっては、2〜3ヶ月の待機が発生することもある。

Heydayでは、自社の待機期間実績データを開示している。「最近12ヶ月で待機が1ヶ月以上発生したエンジニアは何人いますか、全体の何%ですか」——この質問に答えられない会社は、数字を持っていないか、持っているが都合が悪いかのどちらかだ。

言わないこと6: 常駐先でのハラスメント対応の「限界」

SES会社は「何かあったらすぐ相談してください、対応します」と言う。これは嘘ではないが、「対応できる範囲」に言及しないことが問題だ。

SESエンジニアは、常駐先企業に「借りている」立場で働く。SES会社と常駐先の関係は取引関係であり、SES会社の営業が強く出られる相手ではない。

具体的に「対応できない」ケースの実態を挙げる。

  • 常駐先の上司からのパワハラ:契約継続のために「様子を見てください」となりがちで、撤退交渉には数週間かかる
  • 差別的な発言や不当な扱い:SES会社には直接の雇用主責任がなく、常駐先に強く申し入れができないケースがある
  • 業務過多・残業強要:常駐先が「業務委託の範囲内」と主張すれば、SES会社側で制限をかけることが難しい

「何かあったら守ります」という言葉の「何か」の範囲を、具体的に確認しておくことが重要だ。

言わないこと7: スキルアップより「頭数」を優先するコスト構造

「成長できる案件を紹介します」という言葉は、多くのSES会社で形骸化している。

理由はシンプルだ。営業の評価指標が「稼働人数」「稼働率」に設定されているSES会社では、エンジニアのスキルアップより稼働継続の方が短期的な売上に直結する。

次のような状況がその証拠だ。

  • 同じ現場に3年以上配置されているが、スキルシートの内容がほとんど変わっていない
  • 「もっと難しい仕事がしたい」と相談したが、「今の現場を優先して」と先延ばしにされた
  • 研修制度はあるが、現場が忙しいため実質的に使えない

SES会社の営業が「このエンジニアを動かすコスト」(次案件の開拓、スキルシート更新、顧客への説明)と「このまま稼働させるコスト」(ほぼゼロ)を比較したとき、動かさない方が楽だという判断が生まれる。

この構造を見破るために、SES業界の構造ガイドを読んでおくことを勧める。「案件を動いてもらうときの判断基準は何ですか」「直近1年で何人のエンジニアを別案件に移しましたか」という質問が有効だ。

言わないこと8: 35歳以降に「案件の選択肢が急減する」現実

SES業界には「35歳の壁」がある。この言葉は30年前から使われているが、2026年現在も有効だ。

常駐先企業がSESエンジニアに求める「暗黙の年齢上限」が存在する理由は、コスト構造にある。

  • 単価は経験年数とともに上昇する
  • 発注側は「若手で動ける範囲は若手に任せたい」という合理的な判断をする
  • 突出したスペシャリスト以外は、年齢が上がるほど「コストに見合う理由」を説明しにくくなる

Heydayで面談したエンジニアのデータを見ると、38〜42歳の転職希望者が「紹介される案件数が30代前半のときの半分以下になった」と話すケースが継続的に出ている。

SES会社の採用面談では、年齢リスクについて積極的に説明することはない。なぜなら、採用を前提に話しているからだ。「入社後に案件が見つからない」という事態が発生してから、現実を知ることになる。

30代後半以上のエンジニアには、SESを続けるか、自社開発・事業会社への転換を図るかの判断材料としてSES転職の後悔と後悔しないための判断基準を読んでほしい。


カテゴリ3: 会社選びの本音

言わないこと9: 本当に比較すべき指標5つ

SES会社を比較するとき、多くの人が「年収」「案件数」「技術スタック」で選ぶ。これらは重要だが、長期的なキャリアを考えると以下の5指標の方がずっと重要だ。

1. マージン率の開示姿勢(非公開か、根拠つき公開か)
「開示できない」という会社は、開示すると都合が悪い数字があるか、そもそも管理していないかのどちらかだ。

2. 商流の実態(元請け比率と、その数字の根拠)
「元請け中心」という言葉だけでなく、「元請け案件が全体の何%か、証拠は何か」を確認する。

3. 資格・研修支援の実態(制度があるか、実際に取得実績があるか)
「資格支援あり」という記載だけでなく、「直近1年で何人が何の資格を取りましたか」と聞く。答えられない会社は、制度があっても機能していない。

4. 待機期間中の保証内容(全額保証か、減給か、期間制限はあるか)
「給与保証あり」の内訳を確認する。「3ヶ月間は100%保証」なのか「1ヶ月を超えたら80%」なのかで、リスクが大きく変わる。

5. 過去の単価推移データ(在籍3年後の平均単価が入社時から何%上昇しているか)
「頑張れば上がります」ではなく、実績数字で確認する。

言わないこと10: 内定をくれた会社が「良い会社」とは限らない

転職活動中に内定が出ると、「評価してもらえた」という感情が判断を曇らせることがある。

SES業界では、採用基準が緩い会社ほど内定が早く出やすい。理由は頭数が不足しているからだ。

採用に困っている会社の特徴:

  • 面接回数が1回で終わる
  • 面接後24時間以内に内定連絡が来る
  • 技術スキルをほとんど確認しない
  • 「うちは誰でも活躍できる」と強調する

内定の早さと会社の質は逆相関することがある。採用が容易にできているということは、それだけ入れ替わりが激しいということでもある。

内定後に確認すべき事項を整理すると、直近1年の離職率(業界平均は20〜30%)、平均在籍年数、なぜ今採用を増やしているかの理由、この3点だ。

言わないこと11: 転職エージェント経由の紹介がコスト構造に影響する

転職エージェント経由でSES会社に内定した場合、SES会社はエージェントに紹介料を支払う。紹介料の相場は年収の20〜35%、つまり月収換算で2〜4ヶ月分になる。

この費用は「SES会社が別途負担する」と説明されることが多いが、現実はそう単純ではない。

コスト構造として、SES会社の採用コストが増えると、その分を「どこかで回収する」という動機が働く。具体的には、初年度の単価設定を抑えめにする、昇給タイミングを後ろ倒しにする、といった形で現れることがある。

直接応募とエージェント経由の内定では、会社側のコスト構造が異なる。可能であれば、会社のWebサイトから直接コンタクトを取り、「直接の問い合わせです」と伝えてから話を進める方が交渉起点として有利になる場合がある。


ではHeydayはどう違うのか

ここまで読んで「Heydayも同じじゃないか」と思った人もいるだろう。正直に言う。

Heydayも完璧ではない。業界の慣習から完全に自由なわけではないし、すべての問題を解決できているわけでもない。

ただ、以下の点については、明確に違う姿勢を持っている。

マージン率の開示
当社では、面談時にマージン構造の計算方法を説明している。「入社してから聞いてください」とは言わない。数字を見せることで、交渉の起点を作ってほしいという考えからだ。

待機期間データの開示
過去12ヶ月の待機発生状況を、希望するエンジニアには開示している。「ゼロです」と言わない。実態を知った上で判断してもらう。

この記事を書いていること自体が証明
同業者に嫌われる可能性があっても、エンジニアに損をさせたくないという判断で、この記事を書いた。会社の都合より、情報の公正さを優先するというのが「ITをもっとフェアに」というミッションの意味だ。

透明性が競争優位になると信じているし、透明性なきSES会社は長期的に淘汰されると考えている。


透明性の高いSES会社を選ぶ5つの質問

面談の場で実際に使える質問を整理する。これらに具体的な数字で答えられない会社は、透明性が低いと判断していい。

質問1: マージン率は何%ですか。その計算式を教えてもらえますか。
「20%です」という回答だけでなく、「何を分母・分子にしているか」まで確認する。社保・交通費・有給コストを含むかどうかで実質マージンは変わる。

質問2: 元請け案件の比率は何%ですか。直近の実績ベースで教えてください。
「中心です」「多いです」という表現は回答にならない。具体的な数字と根拠を求める。

質問3: 直近12ヶ月で、1ヶ月以上の待機が発生したエンジニアは何人いましたか。
在籍エンジニア総数に対する比率で聞く。答えられない会社はデータを持っていないか、隠している。

質問4: 在籍3年後の平均単価は、入社時から何%上昇していますか。
「頑張り次第です」は回答にならない。過去の実績データを求める。

質問5: 直近1年で、研修・資格支援を利用して資格を取得したエンジニアは何人いますか。
制度があっても使われていない会社は多い。実績数字が答えの質を決める。

これらの質問をしてみると、会社の透明性が面談の段階でわかる。答えられない・曖昧にする会社は、入社後も同じ姿勢で接してくる可能性が高い。


FAQ

Q1. SES会社がマージン率を教えてくれないのは違法ですか

法律上の義務はない。ただし、労働者派遣事業を営む会社には、派遣料金の平均額とマージン率(派遣料金と賃金の差額の割合)をインターネットで公開する義務がある(労働者派遣法第23条5項)。これは「派遣」の場合であり、業務委託型SESには直接適用されない。しかし、情報開示は採用競争力に直結するため、開示する会社が増えつつある。

Q2. 商流が深いと具体的にどれくらい単価が下がりますか

案件やスキルによって異なるが、1次が下がるごとに5〜15万円の単価低下が起きるケースが多い。月単価100万円の案件が3次請けになると、エンジニアに届く時点で60〜70万円台になることも珍しくない。商流の深さと手取りの関係は単価構造の解説記事で詳しく説明している。

Q3. 「待機期間ゼロ」という会社の説明を信じていいですか

「ゼロ」の定義を確認することが重要だ。1週間以内の待機をカウントしていないケース、特定の期間だけを切り取っているケース、一部のエンジニアだけを対象にしているケースがある。「直近12ヶ月で1ヶ月以上の待機が発生したエンジニアの比率は何%ですか」という質問を必ずするべきだ。

Q4. 35歳以上でSESを続けることはリスクが高いですか

スキル次第だが、リスクは存在する。特に「手を動かすエンジニア」としての市場価値だけに頼っているケースは35〜40歳で案件の選択肢が狭まる。プロジェクト管理・アーキテクチャ設計・特定ドメインの専門性を持つことで、年齢リスクは大きく軽減できる。30代前半のうちから計画的にスキル方向を定める必要がある。

Q5. 転職エージェント経由とSES会社への直接応募、どちらが有利ですか

一概には言えないが、紹介料が発生しない直接応募の方が、SES会社側のコスト負担が少ない分、条件交渉の起点として有利になる場合がある。ただし、エージェント経由の方が複数社を比較しやすいメリットもある。どちらが自分の状況に合うかは、SES転職の進め方の記事を参考にして判断してほしい。

Q6. SES会社の「高還元率80%」という謳い文句は信頼できますか

還元率80%の計算基準を確認することが必須だ。「何を分母にしているか」によって数字は大きく変わる。案件単価に対する割合か、交通費・社保含む全原価に対する割合か、月額固定給与か変動含む総報酬か——これらで実質的な手取りは20%以上変わりうる。「還元率80%」を「月単価×80%が毎月の手取り総額」と誤解して入社するケースが実際に多発している。

Q7. スキルアップできる案件を希望した場合、断られることはありますか

断られることはないが、「希望は出せるが反映されるかは別」というケースは多い。SES会社の営業は稼働率を最大化するインセンティブを持っており、「スキルアップのために今の案件を離れる」という選択は、スキルアップ希望のエンジニアには良いが会社の収益には短期的にマイナスになる。希望が通るかどうかは、面談時に「過去1年間でエンジニアからのスキルアップ希望案件変更に何件応じましたか」と実績を聞くのが最も正確だ。

Q8. 常駐先でトラブルが起きた場合、SES会社はどこまで対応してくれますか

会社によって大きく異なる。対応できる範囲の目安として、「SES会社が強く申し入れできるのは、常駐先との契約継続が不要な状況のとき」というのが現実だ。売上が発生している現場への強硬な申し入れは、SES会社側にとってもリスクがある。「ハラスメントが起きた場合の対応フロー、具体的には何営業日以内に何をしてもらえますか」という質問を面談で確認しておくべきだ。

Q9. フリーランスに転向するタイミングの目安はありますか

月単価70万円以上が確保できる見込みがあり、3〜6ヶ月分の生活費を貯蓄できている状態が一般的な目安だ。ただし、健康保険・確定申告・退職金なしといったリスクを自分でカバーできるかどうかも確認が必要だ。フリーランス転向の判断基準を詳しく解説した記事を参考にしてほしい。

Q10. SES会社を選ぶときに、口コミサイト(OpenWork等)はどこまで参考にすべきですか

参考にはなるが、過信は禁物だ。口コミは退職者が書くことが多く、在籍中に満足しているエンジニアは書かない傾向がある。また、小規模なSES会社は口コミ数自体が少なく、数件のサンプルで判断するリスクがある。口コミは「ネガティブな情報収集」には使えるが、それだけで意思決定するのは避けた方がいい。面談での直接質問と、実際に稼働しているエンジニアとの会話が最も信頼できる情報源だ。


まとめ

SES会社が転職者に言わないことを、11個整理した。

カテゴリ言わないこと
お金1. マージン率の本当の計算式
お金2. 商流の深さと単価への影響
お金3. 長期稼働で単価が下がる構造
お金4. フリーランス転向の損益分岐点
リスク5. 待機期間の実際の発生率
リスク6. 常駐先トラブル対応の限界
リスク7. スキルアップより頭数優先のコスト構造
リスク8. 35歳以降の案件急減という現実
会社選び9. 本当に比較すべき5つの指標
会社選び10. 内定の早さと会社の質の逆相関
会社選び11. エージェント紹介料のコスト構造

これらを入社前に把握しておくかどうかで、3〜5年後のキャリアと手取りは大きく変わる。

最後に一つ。

転職先の会社を面談で「評価する側」に回ってほしい。会社に「選ばれる」立場として面談に臨むのではなく、「この会社が透明性を持っているかどうかを判断する」立場で質問するべきだ。

本記事で紹介した5つの質問を使って、会社の透明性を自分で確認してほしい。答えられる会社、答えようとする会社が、長期的に一緒にいる価値のある会社だ。

あなたのスキルと経験が、正当な単価に変換される環境を選んでほしい。


この記事はHeyday株式会社代表の小川将司が、SES業界で6年間経営してきた経験をもとに執筆しました。業界の慣習を批判的に書いていますが、Heyday自身も改善途上であり、完璧ではありません。疑問があれば直接聞いてください。

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この記事の著者

小川将司
小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

SES業界6年の経営者として、業界の問題構造を内側から見てきた立場で執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

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