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単価・データ

セキュリティエンジニアの
SES単価相場2026

小川将司
小川将司代表取締役

SES事業6年・IT業界12年・セキュリティ案件を継続的に扱う経営者が執筆

この記事でわかること

  • セキュリティエンジニアのSES単価は専門領域によって70〜100万円超に分かれる
  • ペネトレーションテスト・SOC・脆弱性診断では求められるスキルと単価帯が異なる
  • CISSP・情報処理安全確保支援士などの資格は単価交渉の根拠になるが、実績が前提
  • セキュリティ案件は常駐・機密保持・外国籍制限など特有の条件がある

この記事の対象: セキュリティエンジニアを目指すエンジニア、今の単価から上げたいセキュリティ系エンジニア

この記事にはHeydayの独自データが含まれています

「セキュリティエンジニアは単価が高い」という話を耳にする頻度が、ここ2〜3年で明らかに増えた。

実際、Heydayで扱う案件の中でも、セキュリティ関連の案件単価は他のIT系職種と比べて高い水準で推移している。2025〜2026年にかけては、ランサムウェアの被害増加・経済安全保障対応・DX推進に伴うクラウドセキュリティ需要が重なり、セキュリティエンジニアへの引き合いが他の職種に比べて強い状態が続いている。

ただし「セキュリティエンジニア」といっても、ペネトレーションテスト専門・SOCアナリスト・脆弱性診断・クラウドセキュリティ設計など、専門領域によって単価帯とキャリアパスは大きく異なる。

この記事では、SES市場におけるセキュリティエンジニアの単価相場を専門領域別に分解し、資格・スキルが実際にどう単価に影響するかを解説する。

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セキュリティエンジニアの需要が急増している背景(2025〜2026年)

サイバー攻撃の質的変化

2023〜2025年にかけて、日本企業のランサムウェア被害件数は急増した。被害の特徴として、中小企業だけでなく大手企業・医療機関・官公庁が標的になるケースが増え、事業継続リスクとして経営レベルの課題になった。

この流れを受け、「セキュリティ対策は情報システム部門の仕事」から「経営として取り組むべき課題」へと位置づけが変わりつつある。セキュリティ専門の外部エンジニアへの需要が増えたのは、この認識変化の影響が大きい。

法規制・ガイドラインの強化

2024年以降、改正個人情報保護法の運用強化・金融庁のサイバーセキュリティガイドライン改訂・経済安全保障推進法への対応など、セキュリティ関連の法規制が強化された。規制対応のために専門知識を持つエンジニアを外部から調達するケースが増えている。

クラウド移行に伴うセキュリティ設計需要

DX推進でクラウド移行が進む一方、クラウド環境のセキュリティ設計ができるエンジニアは依然として不足している。AWSやAzureのセキュリティ機能(IAM・SecurityHub・GuardDuty等)を設計レベルで扱えるエンジニアは、インフラ系とセキュリティ系の双方の知識が必要なため、希少性が高くなっている。


セキュリティエンジニアのSES単価相場【Heydayデータ】

Heydayで2026年Q1時点に扱った案件および取引のある企業との情報共有に基づく単価レンジを示す。経験年数3〜10年を想定した目安だ。なお、単価は案件の規模・難易度・クライアントの業種によって変動する。

ペネトレーションテスト

ペネトレーションテストは、実際のサイバー攻撃を擬似的に行い、システムの脆弱性を検証する専門業務だ。高度な攻撃技術と倫理的な判断力の両方が求められる。

経験・スキル単価レンジ(月額)
基本的なWebアプリ診断(2〜3年)60〜75万円
ネットワーク・インフラ含む包括診断(3〜5年)75〜90万円
レッドチーム演習・高度なAPT模擬(5年以上)90〜120万円以上

ペネトレーションテストの専門家は絶対数が少なく、需要に対して供給が追いついていない領域だ。CEH(Certified Ethical Hacker)やOSCP(Offensive Security Certified Professional)の資格保有者は、単価交渉で有利に動けることが多い。

SOC(Security Operations Center)アナリスト

SOCは24時間365日のシステム監視・インシデント対応を行う組織・業務だ。アナリストレベルは段階的に分かれており、L1(アラート一次対応)からL3(高度分析・マルウェア解析)で単価帯が異なる。

レベル主な業務単価レンジ(月額)
L1(一次対応)アラートトリアージ・インシデントチケット起票40〜55万円
L2(二次対応)詳細調査・ログ分析・SIEM活用55〜75万円
L3(高度分析)マルウェア解析・脅威インテリジェンス・CSIRT連携75〜100万円

SOC案件の特徴として、シフト勤務・常駐が多い。フルリモートは限定的で、特定の施設内での作業が求められるケースもある。

脆弱性診断

Webアプリケーション・ネットワーク・スマホアプリの脆弱性診断を専門にする領域だ。OWASP Top 10などのフレームワークに基づく診断が基本となる。

経験・スキル単価レンジ(月額)
Webアプリ診断(2〜3年)55〜70万円
Webアプリ+ネットワーク診断(3〜5年)65〜80万円
スマホアプリ・組み込み系含む複合診断(5年以上)80〜100万円

クラウドセキュリティ設計

AWSやAzureのセキュリティ設計・ゼロトラストアーキテクチャの導入支援を担う領域で、近年最も需要が高まっている分野のひとつだ。

経験・スキル単価レンジ(月額)
クラウドセキュリティ設計・実装(3〜5年)70〜90万円
ゼロトラスト設計・マルチクラウド対応(5年以上)85〜110万円

参考: Heyday自社案件データ(2026年Q1集計)。経験3〜10年想定。単価は案件規模・クライアント業種・契約形態により変動する。


単価を左右する資格・スキル

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)

IPAが認定する国家資格で、セキュリティの専門家として唯一の国家資格だ。

単価への影響として、資格単体で+5〜10万円の交渉根拠になるケースがある。特に、官公庁・金融・医療など規制の厳しい業種の案件では、「登録セキスペを求める」という条件が増えている。

ただし、登録には3年ごとの更新(講習受講・費用負担あり)が必要なため、維持コストも考慮が必要だ。

CISSP(Certified Information Systems Security Professional)

ISC²が認定する国際資格で、セキュリティの幅広い知識領域(8ドメイン)を問う。セキュリティ管理・ガバナンス・設計の上位ポジションで評価される。

  • 対象: 5年以上の実務経験を持つシニア層
  • 単価への影響: +10〜20万円(マネジメント・CISO補佐ポジション)
  • SES市場での位置づけ: 希少性が高く、外資系・コンサル系の案件で特に有効

CEH(Certified Ethical Hacker)

EC-Councilが認定する資格で、攻撃者の手法を理解したうえでシステムを防御するスキルを証明する。ペネトレーションテスト系の案件で評価される。

CompTIA Security+

エントリーレベルのセキュリティ資格として国際的に認知されている。経験が浅い段階での差別化に使えるが、3〜5年以上の経験者には基礎資格として位置づけられる。

AWS Security Specialty / Azure Security Engineer

クラウドセキュリティに特化した資格だ。クラウドインフラのセキュリティ設計案件では、実務経験との組み合わせで単価交渉の根拠になる。


セキュリティ案件の特徴(常駐多・機密保持・外国籍制限)

セキュリティ案件には、他のIT案件と異なる特有の条件がある。案件に入る前に把握しておくべき点を整理する。

常駐が多い

セキュリティ案件の特性として、機密情報を扱うため、完全フルリモートは限定的だ。特に金融・官公庁・重要インフラ系の案件は、特定の施設内での常駐が条件になることがある。ハイブリッド(週2〜3回出社)が現実的な選択肢になるケースが多い。

機密保持の厳格さ

扱う情報の性質上、NDA(秘密保持契約)の範囲が広く、業務内容をスキルシートや面談で詳細に話せない場合がある。「機密案件」として経験期間と役割のみ記載するパターンも多い。

転職やキャリア相談時に実績を語りにくくなるという側面がある。スキルシートの書き方においても、「金融機関向けセキュリティ診断(詳細は機密保持のため非公開)」のような表記が一般的だ。

外国籍制限

政府系・防衛関連・重要インフラ系の案件では、日本国籍を条件としている案件が存在する。「セキュリティクリアランス」が求められるケースも増えており、経済安全保障推進法の施行以降、この傾向が強まっている。

案件参画前に確認が必要な事項のひとつだ。

バックグラウンドチェック

一般的なIT案件より、セキュリティ案件はバックグラウンドチェック(身元確認・犯罪歴照会)が実施されることがある。


セキュリティエンジニアになるためのキャリアパス

セキュリティ専門エンジニアになるルートは複数あるが、実務経験を積む順序が重要だ。

ルート1: インフラエンジニアからの転換

最も多いパターンだ。ネットワーク・サーバー・クラウドのインフラ経験がベースにあると、セキュリティ設計の業務に移行しやすい。

  1. インフラエンジニアとして3〜5年の実務経験を積む(ネットワーク・サーバー・クラウド)
  2. CompTIA Security+ または 情報処理安全確保支援士を取得
  3. セキュリティ要件の強い案件に参画(WAF設定・ファイアウォール管理・SIEM導入)
  4. クラウドセキュリティ設計やSOC業務に特化

インフラの基礎があると、セキュリティ設計の「なぜそうするか」の理解が速い。AWS SecurityやAzure Defenderを実務で扱った経験が次のステップへの足がかりになる。

ルート2: アプリケーションエンジニアからの転換

Webアプリケーション開発の経験から、セキュリティ診断・コードレビューに特化していくルートだ。

  1. Webアプリ開発を3年以上経験する(特にAPIバックエンドやフロントエンド)
  2. OWASP Top 10・ASVS(Application Security Verification Standard)を学習
  3. 自社アプリのセキュリティレビュー担当として手を挙げる
  4. 脆弱性診断エンジニアとしてセキュリティ専門会社や案件に移行

アプリ開発の経験があると「攻撃者がどの脆弱性を狙うか」を開発者視点で理解しやすい。WebアプリのペネトレーションテストやSQLインジェクション・XSS診断のスペシャリストへの道がある。

ルート3: セキュリティ専門スクール・認定資格からのスタート

未経験からセキュリティエンジニアを目指す場合、資格取得と並行してCTF(Capture The Flag)への参加・バグバウンティプログラムへの挑戦が実績になる。ただし、SES市場での案件参画には最低2〜3年の実務経験が求められるケースが大半だ。

SOCのL1アナリストや、監視・運用補助からスタートして、段階的に専門領域を深めていく方法が現実的だ。


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よくある質問

Q. セキュリティエンジニアは未経験から目指せますか?

SES市場のセキュリティ案件は、実務経験を求めるものが大半です。まずはインフラエンジニアやアプリ開発エンジニアとして2〜3年の経験を積み、SOCアナリスト(L1)や社内のセキュリティ担当として実績を作る道が現実的です。

Q. セキュリティ資格は複数取るべきですか?

資格は実務経験を補完するものです。まず1つ(情報処理安全確保支援士や CompTIA Security+)を取得し、実務での応用を先行させるのが効率的です。複数取得するより、1つの資格を活かした実績を積む方が単価交渉では有効な材料になります。

Q. セキュリティ案件はフルリモートが難しいですか?

金融・官公庁系の案件は常駐が多い傾向があります。一方、クラウドセキュリティ設計やセキュリティコンサルティング系の案件はフルリモートも増えています。案件の性質によって異なるため、事前に確認することが重要です。

Q. セキュリティエンジニアとして独立(フリーランス)することはできますか?

実務経験5年以上・資格保有者であれば、フリーランスとして高単価案件を獲得できる可能性があります。ペネトレーションテストの専門家は特にフリーランスでの活動実績を持つ方が多い領域です。ただし、機密保持の観点から直接取引ではなく、SES企業経由の案件が主流です。


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小川将司

この記事の著者

小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

SES事業6年・IT業界12年・セキュリティ案件を継続的に扱う経営者が執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

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