現場サバイバル24独自データあり

SES契約途中で
切られる人・切られない人

小川将司
小川将司代表取締役

SES事業6年・取り扱い案件80件超の経営者が執筆

シェア:B!

この記事でわかること

  • SES契約の途中打ち切りは「スキルミスマッチ」「現場都合」「エンジニア側の問題」の3パターンに分類できる
  • 準委任契約は原則いつでも解除可能(民法651条・656条)だが、不利な時期の解除には損害賠償リスクがある
  • 切られない人は「現場に溶け込む」より「成果を可視化する習慣」を持っている
  • 切られた後の動きで重要なのは、感情処理より『書面確認・次案件並走・ダメージリカバリ』の3点を同時に進めること
  • 切られるリスクが低い現場は、商流が浅く、契約書に中途解除条件が明記され、過去のメンバー入れ替えが少ない現場である

この記事の対象: SES契約を途中で打ち切られた・切られそうなエンジニア、契約打ち切りのリスクを理解したいエンジニア

「来月で現場を出てもらうことになりました」——SESエンジニアが、ある日突然こう告げられるケースは少なくない。契約期間の途中で打ち切られる、いわゆる「途中解除」だ。

私はHeyday株式会社で代表を務める小川だ。SES事業を6年、取り扱った案件は80件を超える。経営者として「クライアントから契約途中の打ち切りを依頼された」「自社からエンジニアに離脱を打診した」という場面を何度も経験してきた立場から、この記事では「切られる人と切られない人の違い」を構造的に整理する。

結論を先に書く。SES契約で途中打ち切りに遭うかどうかは、エンジニア個人のスキルだけで決まるわけではない。「現場の選び方」「成果の見せ方」「契約構造の理解」の3つで、リスクの大半は予防できる。逆に、この3つを押さえずに「真面目に働いていれば大丈夫」と思っているエンジニアほど、突然の打ち切りに遭いやすい。

「ses 契約 切られる」という検索ワードでこの記事に来た人は、すでに切られた・切られそうな状況にあるはずだ。本記事では、まず3つのパターン分類で原因を切り分け、そのあと「切られる人の5パターン」「切られない人の5習慣」「法的扱い」「切られた後の動き方」の順に解説する。

SES契約の途中打ち切り:3つのパターン

途中打ち切りには、原因によって3つのパターンがある。どのパターンに該当するかで、対処法も「切られた後の評価」も大きく変わる。まずここを切り分けることから始めたい。

パターンA:スキル・業務ミスマッチ型

最も多いパターンだ。クライアントが期待していたスキルレベル・業務領域と、実際にアサインされたエンジニアの実力が合わない場合に発生する。

具体的には以下のようなケースだ。

  • 「Java上級」として参画したが、設計レビューに耐えられなかった
  • 「AWS構築経験あり」として入ったが、実務はEC2の起動程度だった
  • 「リーダー候補」として迎え入れたが、PMOタスクが回らなかった

経営者から見ると、このパターンは営業(自社)とクライアントの間のすり合わせ不足が背景にあることが多い。エンジニア個人のスキル不足というより、「面談時に正しく自分の実力範囲を伝えられたか」「営業がクライアントに過度に盛って提案していなかったか」が分岐点になる。

スキルシートを盛って通った案件は、入った瞬間からカウントダウンが始まっていると思った方がいい。

パターンB:現場都合型(エンジニアに非がない)

クライアント側の事情で打ち切りになるパターン。エンジニア本人のパフォーマンスとは関係なく発生する。

  • プロジェクト自体の中止・縮小(経営判断)
  • 予算削減でメンバー数を半減
  • 経営方針転換で開発技術スタックが変わった
  • クライアント側の組織再編で発注部署が消滅

このパターンは、本人にとっては理不尽だが、業界全体で2024〜2025年の不況期に増えた現象でもある。生成AIの普及で「3名チームを2名に」という小さな調整が、現場単位では「打ち切り」として降ってくる。

経営者の立場で言うと、現場都合型の打ち切りは契約書の解除条項と通知期間で決まる。「30日前通知」が標準だが、契約によっては14日前というケースもあり、ここを把握していないエンジニアが「いきなり言われた」と感じやすい。

パターンC:エンジニア側の振る舞い型

スキルではなく、勤務態度・コミュニケーション・契約遵守の問題で打ち切られるパターン。

  • 遅刻・無断欠勤が複数回
  • 報連相が機能せず進捗が把握できない
  • 現場での発言・態度がチームに影響を与える
  • セキュリティ・情報管理ルールの違反

このパターンは、原則として「改善のチャンスを与えてから打ち切る」のが業界の通例だが、情報セキュリティ違反など重大な事案では即時打ち切りもあり得る。

3つのパターンの中で、本人にとって最もダメージが大きいのはCだ。次の現場・転職活動でも「前案件をなぜ離れたか」を説明する場面で残る。Aは「営業のミス」、Bは「市場の都合」と説明できるが、Cは説明が難しい。

「切られる人」の5パターン:経営者が見た共通点

3つのパターン分類を踏まえて、ここからはもう一段ミクロに見る。Heydayが取り扱ってきた案件の中で、「契約期間の途中で離脱になったエンジニア」と「複数年同じ現場で安定稼働しているエンジニア」を比較すると、5つの共通する分かれ目があった。

まず「切られる人」の側から整理する。

パターン1:スキルシートと実力の乖離が大きい

最も典型的なパターンだ。「Reactで3年」と書いてあるが、実際はチュートリアル+α程度しかコードを書いていない、というケース。

経営者として痛感するのは、現場に入った直後の2週間で、スキル乖離はほぼ確実にバレるという事実だ。クライアントのテックリードが1〜2回コードレビューをすれば、本当に書ける人かどうかは分かる。3ヶ月の試用期間を耐え切る前に、「次回更新は厳しい」という空気になる。

スキルシートを盛らないことは、結局のところ自分を守る行為だ。「できないこと」を書ける人は、「できること」も信頼される。

パターン2:成果を言語化・可視化していない

「真面目に働いているのに評価されない」と感じるエンジニアの多くが、ここに該当する。

SES現場では、エンジニアの仕事はクライアント側の管理者から見えにくい。「今週何をやったか」「どこで詰まっているか」「次に何をするか」を自分から発信していない人は、評価される機会を失う。

特にリモートワーク中心の現場では、この差がさらに広がる。SlackやNotionで「今日のタスクと進捗」を毎日書く人と、何も書かない人では、3ヶ月後の評価が天と地ほど違う。

パターン3:単価に対する成果のバランスが悪い

経営者の視点だと、これが一番冷酷な指標だ。クライアントは月額60万円・80万円・100万円という単価をエンジニア1人に払っている。その金額に対して、3ヶ月後・6ヶ月後に「払った価値があったか」を必ず判断する。

具体的な単価の目安はSES単価 相場一覧で整理しているが、単価が上がるほど「成果の見え方」も比例して期待される。月70万円の単価で「実装は遅いが学習姿勢はいい」が許されたとしても、月100万円で同じ振る舞いは許されない。

「単価に見合う成果が見えない」と判断された場合、契約期間の途中であっても更新前打ち切りの議論が始まる。

パターン4:現場との温度感がズレている

技術力は問題ないが、現場のカルチャーに合わない人。これも切られやすい。

具体的には以下のようなケースだ。

  • ベンチャー的なスピード重視の現場で、毎回「仕様書がないと動けない」と言う
  • ウォーターフォール型の堅い現場で、勝手にコードをリファクタリングする
  • 静かな現場で、雑談・冗談を必要以上に発信する
  • アジャイル現場で、デイリースクラムを軽視する

「合う合わない」の問題は、エンジニア本人に非があるわけではない。ただ、面談段階で現場のカルチャーを質問しなかったことが結果的に短期離脱を招く。

パターン5:契約・商流構造を理解していない

最後がこれだ。自分が今どういう契約構造で働いているかを把握していないエンジニアは、何かトラブルが起きた時に対応が遅れる。

  • 商流が何次請けか(直請け/2次/3次/4次)
  • 契約期間と通知期間(30日前通知/14日前通知)
  • 中途解除条項の有無
  • 損害賠償条項の有無
  • 契約満了月の判定基準

商流が深い(3次・4次)案件ほど、上流の都合で突然「来月までで」と言われる確率が上がる。商流の見方の詳細はSES企業の選び方で扱っている。


自分のスキルと単価のバランスが今どこにあるか、客観的に確認したい人はこちら。

あなたの市場単価を診断する →


「切られない人」の5つの習慣

逆に、複数年にわたって同じ現場で安定稼働している、あるいは現場が変わっても短期離脱がないエンジニアには、共通する5つの習慣がある。スキル以外の部分で大きな差が出る。

習慣1:スキルシートを「書ける範囲」で正確に書く

切られない人は、スキルシートに「できないこと」を書く勇気がある。

たとえば「AWS:EC2/S3/RDS構築経験あり、Lambda/API Gatewayは触ったことがあるが本番運用経験なし」と書く。一見ネガティブに見えるが、面談官にとってはこの方が信頼できる。「触ったことがあるが本番運用経験なし」の領域は、入った後で学習しながら担当する形になり、想定通りに進む。

逆に「AWS全般」「フルスタック対応可能」のような曖昧な書き方をすると、面談時の期待値と実態がズレる。

習慣2:週次で「成果のサマリー」を自分から出す

切られない人は、自分の成果を毎週必ず可視化している。

具体的には以下のような形だ。

  • 週次の作業報告をSlackやNotionに必ず残す
  • レビューでもらった指摘の対応履歴を蓄積する
  • 詰まった箇所と解決策をWiki化する
  • 月次でプロジェクトへの貢献を1ページにまとめる

クライアント側の管理者は、複数のエンジニアを並行で見ている。「報告がしっかり出てくる人」は無意識に評価が上がる。逆に何も出さない人は、現場のチームから「実態が見えない」と思われる。

習慣3:契約満了の2ヶ月前から次の動きを始める

切られない人は、現場が長く続いていても「次の動き」を常に頭に入れている。

  • 契約満了の2ヶ月前にスキルシートを更新する
  • 自社営業に「次の更新後どうなりそうか」を聞く
  • 別案件の話が来たら断らずに聞く(移るかどうかは別問題)
  • 業界の単価相場を3ヶ月に1回チェックする

これは「次の現場に移る準備」というより、「いつでも動ける状態にしておくこと」が現場での発言権を生むという発想だ。「ここを切られたら困る」という状態のエンジニアほど、現場で言いたいことを言えなくなる。それが結果的にパフォーマンス低下につながる。

契約更新の判断・断り方の手順はSES案件を断るには?断り方の手順・文例で詳しく扱っている。

習慣4:現場と自社の両方に「味方」をつくる

切られない人は、孤立しない。

  • 現場側で1人は「困った時に相談できる人」を持つ(リーダー、テックリード、隣の席の同僚など)
  • 自社側で1人は「現場の状況を共有できる人」を持つ(営業担当、メンター、同期など)
  • 雑談・1on1の機会を能動的につくる

この「両側の味方」が機能していると、何かトラブルが起きた時に「いきなり打ち切り」になる前に、事前に話が来る。改善のチャンスをもらえる確率が大きく上がる。

習慣5:契約書を読み、解除条件を把握している

切られない人は、自分が今どういう契約で働いているかを正確に把握している。

最低限知っておくべきは以下だ。

確認項目なぜ重要か
契約期間いつまでが今期か
通知期間(中途解除時)何日前に伝えれば違反にならないか
中途解除条項どういう場合に解除されうるか
損害賠償条項解除時に損害賠償が発生する条件
商流(何次請け)上流の都合で巻き込まれるリスク

「契約書を見たことがない」というエンジニアは、実は珍しくない。自社(雇用主)と契約はあっても、現場と自社の間の契約(基本契約・個別契約)は見せてもらえないケースが多いからだ。気になる場合は、自社の営業に「現場との契約期間と通知期間だけ教えてほしい」と聞けば、通常は答えてくれる。

途中打ち切りの法的な扱い:準委任契約と中途解除

ここからは法律の話を整理する。

SES契約は基本的に「準委任契約」

SES契約は、法律的には準委任契約として扱われるのが一般的だ。これは「特定の業務を遂行すること」を目的とする契約であり、「成果物を完成させること」を目的とする請負契約とは別物だ。

準委任契約は民法656条で規定されており、委任契約(民法643条以下)の規定が準用される。

民法651条:いつでも解除できる、ただし損害賠償リスクあり

準委任契約の中途解除について、最も重要なのが民法651条だ。条文は以下のとおり。

第651条

  1. 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
  2. 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。 一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。 二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

要点を整理する。

  1. 原則:いつでも解除できる(クライアントもSES会社も、エンジニアも)
  2. 例外:「不利な時期」の解除は損害賠償リスクあり(業務途中で突然抜ける等)
  3. やむを得ない事由があれば賠償義務は免除(パワハラ、健康問題、契約違反など)

「不利な時期の解除」の損害賠償実務

「不利な時期」とは、典型的には業務途中・引き継ぎ期間が確保できないタイミングを指す。SES現場で言えば、「次の月初リリースが控えているのに、当月末で離脱を申し出る」といったケースだ。

実務的には、判例で解除後1ヶ月程度の報酬相当額を損害として認めたケースがある(弁護士法人みずき:SES契約の中途解約と報酬)。つまり、契約に明示がなくても「1ヶ月の通知期間」が暗黙のスタンダードとして機能している。

ただし、これはあくまで「契約期間の途中で一方的に離脱した場合」の話だ。契約満了タイミングでの更新辞退は、損害賠償の対象にならない

クライアントが打ち切りを申し出るケース

エンジニア側が辞めるパターンと逆に、クライアントが「来月で打ち切り」と申し出るケースもある。これも法律上は同じ枠組みで、原則として民法651条1項により可能だが、「不利な時期」かつ「やむを得ない事由なし」の場合、SES会社(自社)に対する損害賠償が発生し得る。

この時の損害賠償は、原則としてSES会社(雇用主)が受け取り、エンジニア個人には直接支払われない。エンジニア側は雇用契約に基づく給与を会社から受け取る形になる。「待機中の給与」がどうなるかはSES待機期間とは?給料は全額もらえる?で詳しく扱っている。

エンジニア個人が損害賠償を請求されることはあるか

ここを誤解している人が多い。

雇用契約のあるエンジニア(SES会社の正社員)の場合、原則として損害賠償の責任は会社が負う。エンジニア個人に直接請求されるケースは、業務上の重大な違反(情報漏洩、故意の業務妨害など)に限られる。「次の更新を辞退する」「契約期間中に辞める」程度の話で、個人に損害賠償が降ってくることはほぼない。

フリーランス(業務委託契約)の場合は別だ。会社対会社(個人事業主)の関係なので、契約期間中の一方的な離脱は損害賠償の対象になり得る。フリーランスSESの場合は、契約書の中途解除条項を必ず確認しておくべきだ。

切られた後の動き方:感情処理より手順処理

実際に「来月で現場を出てもらうことになりました」と言われた時、どう動けばいいか。経営者として相談を受けてきた立場で、優先順位を整理する。

感情処理(落ち込む、怒る、不安になる)は当然起きる。だが、その前にやるべき手順がある。順番が逆になると、リカバリ可能なものを取り損ねる。

1. その場で「書面で確認させてください」と伝える

口頭で言われた打ち切りは、必ず書面で確認するのが原則だ。「言った言わない」を防ぐためだけでなく、後の交渉材料としても重要になる。

具体的には以下を確認する。

  • 打ち切りの理由(クライアント側の事情か、エンジニア側の問題か)
  • 最終出勤日
  • 引き継ぎ範囲
  • 残期間の業務内容

「書面で改めて連絡します」と言われたら、口頭で言われた内容のメモをすぐに残しておく。日時・場所・発言者・内容を時系列で。

2. 自社(雇用主)の営業担当に1時間以内に連絡する

打ち切りの一報は、現場の管理者やリーダーから直接伝えられることが多い。だが、契約上の窓口は自社(雇用主)の営業だ。現場で何かを返答する前に、必ず自社に第一報を入れる。

「現場から打ち切りの話が出ました。一度確認したいので、時間を取ってもらえますか」程度の連絡で十分だ。自社の営業が現場と話すべき内容を確定させてから、その後の動きに移る。

ここで現場側に勝手に「分かりました」「次の現場を探します」などの返答をしてしまうと、自社の交渉余地を狭める。

3. 次案件の動きを並走させる

打ち切りが確定したら、最終出勤日を待たず、その日から次案件の話を進める。

  • スキルシートの更新(最新の業務内容を反映)
  • 自社営業に「希望条件」を改めて伝える
  • 並行して他社(複数)にもスキルシートを送る

最終出勤日まで「現場の業務」と「次案件探し」を並走させるのが正解だ。「打ち切り後に動き出す」のは遅い。打ち切り→空白期間1〜3ヶ月という流れを避けるためには、最終日から逆算して2ヶ月前から動き始めるのが理想だ。

打ち切り後にどう動くかの詳細はSES案件を抜けたいときの言い方7パターンも参考になる。状況が逆向きだが、契約満了に向けた動き方として共通する部分が多い。

4. ダメージリカバリ:理由の言語化

最後に、転職活動・次案件の面談で必ず聞かれる「前現場をなぜ離れたのか」の答え方を準備する。

3つのパターンに応じた答え方の方針は以下だ。

パターン推奨される答え方
A:スキルミスマッチ「期待されたレベルに対し、自分の経験範囲との乖離があった。次は◯◯領域で経験を積みたい」
B:現場都合「プロジェクト縮小のため契約終了。期待された業務は完了している」
C:本人の問題自分の改善点を具体的に言語化(隠そうとすると不信感に繋がる)

A・Bは比較的説明しやすい。Cの場合は、「同じことを繰り返さないために何を変えたか」をセットで話せると、面接官の評価は逆に上がることもある。

「切られるリスクが低い現場」を見極める方法

最後に、これから次案件を選ぶエンジニアに向けて、打ち切りリスクが低い現場の見分け方を整理する。経営者として案件を取り扱う中で、「打ち切りが少ない現場」には共通点がある。

1. 商流が浅い(直請け or 2次請けまで)

商流が深いほど、上流の都合で巻き込まれるリスクが上がる。3次・4次請けでは、商流の上で1社が「人員調整」と判断するだけで、現場のエンジニアまで影響が及ぶ。

直請けまたは2次請けの案件は、判断主体が少ないため、突然の打ち切りに遭う確率が下がる。

2. 契約書に中途解除条項が明記されている

「中途解除はできるが、30日前通知」「やむを得ない事由がある場合のみ」など、解除条件が明示されている契約は、双方にとって予測可能性が高い。

逆に、契約書を見せてもらえない・解除条項が曖昧な現場は、いざという時の予測が立てにくい。

3. 過去のメンバー入れ替えが少ない

面談時に「このチームの平均在籍期間はどれくらいですか?」と聞いてみるとよい。平均在籍期間が1年未満の現場は、何らかの構造的な問題(業務がきつい、評価が厳しい、上流の予算が安定しない等)を抱えている確率が高い。

平均2年以上のチームは、安定した運用が確立しており、突然の打ち切りに遭うリスクが低い。

4. 単価と業務範囲のバランスが見える

提示された単価に対して、業務範囲・期待値が明確に書かれている案件は、「期待と実態のズレ」が起きにくい。

「フルスタック対応・上流から下流まで・マネジメントも」のような曖昧な記述で単価100万円というケースは、実態が見えづらく、入った後で「期待と違う」と判断される確率が上がる。

案件選びの基準はSES案件の選び方で詳しく扱っている。

Heydayが「切られるリスクが低い現場」を紹介できる理由

ここまで読んで、「切られない現場をどうやって見つければいいか」と思った人もいるはずだ。Heydayの立場で書ける範囲を共有する。

Heydayでは、エンジニアに紹介する案件について以下を稼働前にすべて開示している。

  • 商流:何次請けか、間にどんな会社が入るか
  • 契約単価:エンジニア単価、間の各社マージン
  • 契約期間と通知期間:中途解除時の条件
  • 過去のメンバー入れ替え状況:可能な範囲で

これは「広告ゼロ・透明性ポジショニング」というHeydayの基本方針からきている。広告で大量集客するモデルではないため、1人1人のエンジニアに対し、案件の構造を全て見せた上で判断してもらう前提で運営している。

その結果、Heyday経由でアサインされたエンジニアの契約途中での打ち切りは、過去6年で5%未満にとどまっている。打ち切りの大半は本人の希望による契約終了であり、クライアントからの一方的な打ち切りは稀だ。

「切られにくい現場」を選ぶには、紹介してくる会社が「単価」だけでなく「契約構造」「商流」「過去の実績」をオープンにしているかが分かれ目になる。


今の現場の構造を客観的に見たい・次案件で同じパターンを避けたい人はこちら。

あなたの市場単価を診断する →


まとめ:切られる人と切られない人の分かれ目

最後に要点を整理する。

3つのパターン分類

  • A:スキル・業務ミスマッチ型(営業の盛りすぎ/本人の自己評価ズレ)
  • B:現場都合型(経営判断・予算)
  • C:エンジニア側の振る舞い型(態度・コミュニケーション)

切られる人の5パターン

  1. スキルシートと実力の乖離が大きい
  2. 成果を言語化・可視化していない
  3. 単価に対する成果のバランスが悪い
  4. 現場との温度感がズレている
  5. 契約・商流構造を理解していない

切られない人の5習慣

  1. スキルシートを「書ける範囲」で正確に書く
  2. 週次で成果のサマリーを自分から出す
  3. 契約満了の2ヶ月前から次の動きを始める
  4. 現場と自社の両方に「味方」をつくる
  5. 契約書を読み、解除条件を把握している

法的扱いの要点

  • 準委任契約は民法651条で「いつでも解除可能」
  • ただし「不利な時期」の解除は損害賠償リスクあり(解除後1ヶ月分相当が判例の目安)
  • 雇用契約のあるエンジニアが個人で損害賠償を請求されるケースは稀

切られた後の動き方

  1. 書面で確認
  2. 自社営業に1時間以内に連絡
  3. 次案件を並走で動かす
  4. 理由の言語化(次面接対策)

SES契約の途中打ち切りは、エンジニア個人のスキル問題に見えて、その大半は「現場の選び方」「成果の見せ方」「契約構造の理解」で予防できる。「真面目に働いていれば大丈夫」という発想ではなく、「自分が今どういう契約構造の中で働いているか」を理解した上で、能動的に動くことが、結果的に切られないキャリアにつながる。


自分の市場単価・スキルポジション・案件のミスマッチリスクを客観的に確認してみたい人へ。

あなたの市場単価を診断する →

内部参考: SES契約更新の断り方 / SES案件を抜けたい時の言い方 / SES待機期間の実態 / SES企業の選び方 / SES案件の選び方


よくある質問

Q. SES契約を途中で切られた場合、損害賠償を請求されることはありますか?

A. 雇用契約のあるエンジニア(SES会社の正社員)の場合、原則として個人に損害賠償が請求されることはほぼありません。損害賠償の対象になるのは、業務上の重大な違反(情報漏洩、故意の業務妨害など)に限られます。フリーランス契約の場合は別で、契約期間中の一方的離脱は損害賠償の対象になり得るため、契約書の中途解除条項を必ず確認してください。

Q. クライアントから打ち切りを言われたとき、最初に何をすべきですか?

A. まず「書面で改めて連絡してください」と伝え、口頭で言われた内容(理由・最終出勤日・引き継ぎ範囲)をメモに残してください。その後、現場で何かを返答する前に、自社(雇用主)の営業担当に必ず1時間以内に連絡を入れます。現場に勝手に「分かりました」と返答すると、自社の交渉余地を狭めます。

Q. 「来月で打ち切り」と言われた場合、給与はどうなりますか?

A. 雇用契約のあるエンジニアであれば、最終出勤日までの給与は当然支払われます。打ち切り後の待機期間も、労働基準法26条により最低60%の休業手当が保証されます。会社によってはこの間も100%支給するケースもあります。詳しくはSES待機期間の実態を参照してください。

Q. 打ち切り理由が「スキル不足」と言われた場合、転職活動でどう説明すればいいですか?

A. 「期待されたレベルと自分の経験範囲に乖離があった。具体的には◯◯(例:設計レビューの観点/クラウドの本番運用経験)が不足していた」と具体的に言語化するのが望ましいです。隠そうとすると面接官に不信感を与えます。「同じことを繰り返さないために、現在◯◯を学習している」と改善行動をセットで話せると、評価がプラスに転じることもあります。

Q. 打ち切りに遭うリスクが低い現場をどうやって見極めればいいですか?

A. 4つの視点を持つことをおすすめします。1: 商流が浅い(直請けか2次請けまで)、2: 契約書に中途解除条項が明記されている、3: 過去のメンバー入れ替えが少ない(平均在籍期間2年以上)、4: 単価と業務範囲のバランスが見える。これらを稼働前に確認できるかどうかは、紹介してくる会社の透明性によります。詳しくはSES企業の選び方を参照してください。

Q. 商流が深い案件は、本当に打ち切りリスクが高いのですか?

A. 経営者として複数の案件を取り扱ってきた実感としては、明確に高いです。3次・4次請けの案件は、商流上の1社が「予算削減」「人員調整」と判断するだけで、現場のエンジニアまで影響が及びます。判断主体が増えるほど、突然の打ち切りに遭う確率が上がります。直請け・2次請けの案件は、判断主体が少ないため、予測可能性が高くなります。

まとめ

SES契約の途中打ち切りは、エンジニア個人のスキル問題に見えて、その多くは『現場の選び方』『成果の伝え方』『契約構造の理解』で予防できる。切られた後の対応も、感情の整理より手順の整理を先にやるべきだ。

案件例を見てみる

技術スタック・単価帯・勤務形態がわかる具体的な案件情報

この記事の著者

小川将司
小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

SES事業6年・取り扱い案件80件超の経営者が執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

シェア:B!

次に読む