キャリア戦略19独自データあり

生成AI時代にエンジニアの
需要は増えるのか減るのか

小川将司
小川将司代表取締役

IT業界12年・SES事業6年の経営者 兼 AI導入コンサルPMとして執筆

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この記事でわかること

  • Heydayの案件数は2024→2025で約1.3倍、2025→2026Q1で前年同期比1.2倍と増加傾向
  • AI関連スキルを持つエンジニアへの引き合いは2025年後半から明確に増加
  • 需要が減ったのは「定型コーディングだけの案件」、増えたのは「AI活用前提の案件」
  • 言語別ではPython・Go・TypeScriptの需要が顕著に伸びている

この記事の対象: 現役エンジニア(3-7年)で将来不安を感じている人

「生成AIの普及でエンジニアの仕事がなくなるのでは」——2024年あたりからこの不安の声が増え、2026年の今も消えていない。

結論を先に言う。エンジニアの需要は減っていない。 Heydayの案件数は2024年から2026年にかけて一貫して増加している。ただし、需要の「中身」は明確に変わった。何が増えて何が減ったのか、IT業界12年、SES事業を6年経営し、かつAI導入コンサルのPMも担当してきた立場から、データと現場の観察をもとに検証する。


Heydayの案件数推移:2024→2025→2026

まず、私たちの手元にあるデータから示す。

Heydayが扱った案件数の推移は以下の通りだ。

年度案件数(年間)前年比
2024年基準値
2025年約1.3倍+30%
2026年Q1前年同期比 約1.2倍+20%(Q1同士の比較)

注目すべきは、ChatGPT登場(2022年末)→GitHub Copilot普及(2023年)→Claude Code・Cursor普及(2024〜2025年)という生成AIの進化と並行して、案件数が減るどころか増え続けている点だ。

「AIが仕事を奪う」のであれば、案件数は減少するはずだ。しかし現実はそうなっていない。

ただし内訳を見ると、増加している案件と減少している案件の傾向が明確に分かれている。これについては後述する。


「エンジニアの仕事がなくなる」言説の検証

この言説を3つの粒度で検証する。

粒度1:タスクの代替

2026年時点で、以下のタスクはAIに代替されている。

  • ボイラープレートコードの生成(CRUD、API、型定義)
  • テストコード初稿の作成
  • ドキュメント・コメントの生成
  • 既知パターンの実装(標準的なUI、バリデーション等)
  • エラーの原因調査と対処法の提案

これは事実だ。Heydayでもエンジニアのスキルシート解析、案件マッチング、提案書の初稿生成をAIで処理しており、以前なら数人分の工数を要した作業が大幅に圧縮されている。

粒度2:役割の代替

「専任テスター」「ドキュメント担当」「データ入力担当」のような、単一タスクに特化した役割は縮小傾向にある。しかし、これは「その職種が消えた」のではなく、「他の役割に統合された」というのが正確な表現だ。

例えば、QAエンジニアが手動テストだけでなくテスト戦略の設計やAIテストツールの管理も担うようになった、という変化だ。

粒度3:職業の代替

「エンジニアという職業がなくなる」——これは2026年時点では起きていない。経済産業省のIT人材需給に関する調査(2024年更新版)でも、2030年時点で最大79万人のIT人材不足が予測されている。生成AIの普及を加味した補正値でも、不足は数十万人規模と試算されている。

要するに、タスクレベルの代替は進んでいるが、職業レベルの代替は起きておらず、需給ギャップはむしろ拡大している。


SES現場で見えている需要の変化

ここからは、Heydayの営業現場で実際に観察している変化を書く。

増えた案件の特徴

2025年後半から明確に増えたのは以下のような案件だ。

1. AI活用前提のシステム開発案件

「社内業務にAIを組み込みたい」「既存システムにLLMを接続したい」という案件が急増した。クライアント企業のDX部門やCTO室からの引き合いが増えている。

私自身、AI導入コンサルのPMとして複数のクライアント企業でAI活用プロジェクトを推進してきたが、2025年は「PoC(概念実証)」の案件が多かった。2026年に入ると「PoC→本番実装」へのフェーズ移行案件が増えている。つまり企業がAI導入を「試す段階」から「本格実装する段階」に進んだ結果、エンジニアの需要が増えた。

2. クラウドインフラ+AI基盤の構築案件

AIモデルのデプロイ、GPU環境の構築、推論パイプラインの設計——こうしたインフラ寄りの案件も増加傾向にある。AWSのSageMaker、Azure OpenAI Service、GCPのVertex AIなど、クラウドAIサービスの設計・運用経験を持つエンジニアへの引き合いは以前の比ではない。

3. データ基盤の整備案件

AIを活用するにはデータが必要だ。企業がAI導入に本腰を入れ始めた結果、「まずデータ基盤を整備しなければ」という案件が増えた。ETLパイプラインの構築、データウェアハウスの設計、データ品質管理——地味だが需要は堅い。

減った案件の特徴

一方で、以下のような案件は減少傾向にある。

1. 単純なコーディング作業の外注案件

「この仕様書通りに実装してほしい」という、仕様が完全に決まった状態でコーディングだけを外注する案件は減った。クライアント企業側がAIツールで自社内のエンジニアに実装させられるようになったためだ。

2. 定型的な保守・運用案件の一部

障害検知、ログ分析、定型的なパッチ適用など、パターンが決まった保守業務の一部は、AIOps(AI運用)ツールの導入で人員が縮小される傾向がある。

3. ドキュメント作成が主な案件

設計書の清書、テスト仕様書の作成、手順書の整備——ドキュメント作成が業務の大半を占める案件は、AIの文書生成能力の向上で縮小している。

Heyday営業チームの実感

営業の篠田からも「案件紹介の際に『AIツールの活用経験はありますか?』と聞かれることが2025年後半から明確に増えた」という報告が上がっている。以前はスキルシートに「GitHub Copilot使用経験あり」と書いてあっても特に加点されなかったが、今は案件の要件に「AIツール活用経験」が明記されるケースが出てきた。


生成AI登場後の採用トレンド変化

SES業界全体の採用トレンドとして、以下の変化を観察している。

「書ける」から「設計できる+AIを使える」へ

2023年以前の案件要件は「Java経験3年以上」「React実務経験」のように、特定言語・フレームワークの実装経験が中心だった。

2025年以降は「要件定義・基本設計の経験」「AIツールを活用した開発経験」が要件に含まれるケースが増えている。Heydayの案件要件を集計すると、「上流工程経験」を要件に含む案件の割合は2024年の約40%から2026年Q1には約55%に上昇した。

ジュニアの採用は慎重に、ミドルの奪い合いに

生成AIの影響で、ジュニアエンジニア(経験1〜2年)が担っていた定型的な実装タスクの価値が下がった。その結果、ジュニアの採用は慎重になっている企業が多い。

一方で、経験3〜7年のミドルエンジニアは「自分で設計もできてAIも使いこなせる」層として引き合いが強い。特にAIツールを日常的に使いこなしているミドル層は、単価交渉でも有利なポジションにある。

AI特化人材の需要爆発

MLエンジニア、データサイエンティスト、AIインフラエンジニアへの需要は2025年から急増し、2026年も加速している。ただし供給が追いついていないため、単価が高騰している領域でもある。


言語・職種別の需要変動マトリクス

Heydayの案件データと業界動向をもとに、言語・職種別の需要変動を整理する。

言語別の需要変動

言語/技術需要の方向背景
Python大幅増AI/ML案件の急増。データ基盤案件でも需要堅調
Go増加クラウドネイティブ・マイクロサービス案件が増加
TypeScript/React増加フロントエンド需要は安定。AI連携のUI案件も
Java横ばい〜微増エンタープライズの基幹システム需要は安定
PHP横ばい〜微減新規案件は減少傾向、保守案件は安定
Ruby微減新規案件は減少。Rails保守は安定
COBOL/VB減少マイグレーション案件はあるが新規はほぼゼロ
Rust増加パフォーマンス要求の高いAIインフラ・WebAssembly案件
Swift/Kotlin横ばいモバイル需要は安定。クロスプラットフォームの影響あり

職種別の需要変動

職種需要の方向背景
AIエンジニア/MLエンジニア大幅増企業のAI導入本格化
バックエンドエンジニア(設計込み)増加AI連携のAPI設計需要が増加
クラウドインフラエンジニア増加AI基盤構築の需要
データエンジニア増加AI活用のためのデータ基盤整備
フロントエンドエンジニア横ばい安定需要。AI連携UIの案件は微増
SRE/DevOps増加AIOps、MLOpsの需要増
テストエンジニア(手動中心)減少AI自動テストツールの普及
PMO/テクニカルPM増加AI導入プロジェクトの増加

「需要が増えた」エンジニア像と「減った」エンジニア像

需要が増えたエンジニアの共通点

Heydayで実際に高単価・好条件の案件にマッチしているエンジニアの特徴を5つ挙げる。

1. AIツールを日常的に使いこなしている

GitHub Copilot、Cursor、Claude Codeなどを「試した」ではなく「日常業務に組み込んでいる」エンジニア。AIの出力を正確に評価し、必要に応じて修正できる。

2. 上流工程の経験がある

要件定義、基本設計、技術選定——「言われたものを作る」だけでなく「何を作るべきかを設計できる」エンジニア。生成AIの普及で実装コストが下がった結果、「何を作るか」を決める側の価値が相対的に上がった。

3. 特定ドメインの知識を持っている

金融、医療、物流、製造——特定の業界知識を持つエンジニアは、AIが代替しにくい。AIは汎用的なコードを書けるが、業界固有の業務フローや規制を理解した設計はまだ人間に依存している。

4. 技術の掛け算ができる

「Python × AI × クラウド」「TypeScript × AI × フロントエンド」「Java × 金融ドメイン × 上流設計」——単一スキルではなく、2つ以上の強みを掛け合わせられるエンジニア。

5. コミュニケーション力が高い

クライアントの曖昧な要件を整理し、技術的な提案ができるエンジニア。AIが実装を担う分、人間が担う「対話と合意形成」の重要性は増している。

需要が減ったエンジニアの特徴

厳しい現実だが、以下の特徴を持つエンジニアは案件マッチングが難しくなっている。

1. 「コードを書く速さ」だけが武器

AIが高速にコードを生成できるようになった今、実装速度だけでは差別化が難しい。

2. 特定の言語・フレームワークしか書けない

「Javaしかできません」「PHPだけです」——単一言語の実装経験だけでは、選択肢が狭まる。

3. AIツールを使っていない

面談で「AIツールは使っていますか?」と聞かれて「使っていません」と答えるエンジニアは、2026年時点では不利だ。使いこなしている必要はないが、「使おうとしていない」はリスクになる。

4. 上流工程の経験がない(経験5年以上の場合)

経験年数が5年を超えているにもかかわらず、要件定義や基本設計の経験がないと、「AIに代替される実装業務」の範囲にとどまるリスクが高い。


今後3年の予測(SES経営者視点)

ここからは、IT業界12年、SES事業を6年経営し、AI導入の最前線でPMを務めてきた立場から、今後3年の需要予測を述べる。あくまで一経営者としての見方だが、具体的な根拠とセットで示す。

2026年後半〜2027年:AI活用「本格実装期」

企業のAI導入が「PoC」から「本番実装」に移行する時期。AIを組み込んだシステム開発の案件が本格的に増える。

需要が高まるスキル:

  • LLMのAPI連携・ファインチューニング経験
  • RAG(Retrieval Augmented Generation)の設計・実装
  • AIモデルの本番環境でのデプロイ・監視

Heydayで実際に増えている案件タイプ:

  • 社内ナレッジベースへのLLM組み込み
  • カスタマーサポートのAI自動化
  • 既存業務フローへのAI差し込み

私がAI導入コンサルPMとして現場で見ている限り、2026年のクライアント企業は「AIで何ができるか」から「AIをどう組み込むか」に関心が移っている。これはエンジニア需要の追い風だ。

2027年〜2028年:AIエージェント普及期

AIエージェント(自律的にタスクを実行するAI)の普及が進む時期。Claude Code、Devin、AutoGPTなどのAIエージェントがより実用的になり、開発プロセスそのものが変わる。

需要が高まるスキル:

  • AIエージェントのオーケストレーション設計
  • 人間×AIの協業ワークフロー設計
  • AIの出力品質を担保するQA・評価基盤の構築

この時期に「AIを使う側」のエンジニアと「AIに使われる側」のエンジニアの格差が拡大すると予測している。

2028年〜2029年:AI前提の開発が標準化

AIツールを使うことが前提の開発が標準になり、「AIを使えない」こと自体がハンデになる時期。

需要が高まるスキル:

  • AI前提のシステムアーキテクチャ設計
  • AI × セキュリティ(AIのバイアス対策、データプライバシー)
  • 業界特化のAIソリューション設計

最も重要な変化: この時期には「AIを使えるエンジニア」がデフォルトになるため、差別化の軸は「ドメイン知識」「設計力」「コミュニケーション力」に移る。つまりAIスキルは必須条件になり、十分条件ではなくなる。


結局、あなたはどう動くべきか

ここまでのデータと予測を踏まえて、具体的なアクションを3つ示す。

1. 今すぐ:AIツールを日常に組み込む

まだAIコーディングツールを日常的に使っていないなら、今日から始めるべきだ。GitHub Copilot、Cursor、Claude Codeのいずれかでいい。「AIが書いたコードを評価し、改善指示を出す」という体験を積むことが第一歩だ。

どのツールから始め、どう使い分ければいいかについては、GitHub Copilot・Cursor・Claude Codeの選び方と現場での使い分け実践ガイドで具体的に解説している。

2. 半年以内:上流工程へのシフト

経験3年以上であれば、次の案件では要件定義や基本設計にも関わるポジションを選ぶべきだ。「実装だけ」の案件を選び続けると、AIとの競合領域から抜け出せない。

3. 1年以内:掛け算のスキルを作る

「自分の専門言語 × AI活用 × 特定ドメイン」の掛け算を意識する。単一スキルの市場価値は下がっていくが、掛け算ができるエンジニアの需要は増え続ける。


Heydayでは契約単価・マージン・商流をすべて開示しています

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よくある質問(FAQ)

Q. 未経験からエンジニアになるのはもう無理?

無理ではない。ただし「コードを書ける」だけでは入口に立っただけで、早期から設計やAI活用のスキルを意識する必要がある。未経験者にとっては、むしろAIを学習ツールとして活用できる点がメリットだ。

Q. SESでもAI案件に入れる?

入れる。Heydayでも2025年後半からAI関連の案件紹介が増えている。ただし「AI案件」といっても幅が広い。LLMのファインチューニングから、社内ツールにAI機能を追加する案件まで様々で、後者のほうがSESでは入りやすい。

Q. 40代以上でも需要はある?

ある。特にドメイン知識と上流工程の経験を持つ40代以上のエンジニアは、AIが代替しにくい領域で価値を発揮できる。逆に「20年間実装だけ」のキャリアだと厳しくなる可能性がある。

Q. フリーランスと正社員、どちらの需要が増えている?

両方増えている。ただし傾向は異なる。フリーランスはAI案件のスポット需要で単価が高騰している。正社員はAI導入を社内で推進できる人材として、長期的な採用需要が増えている。どちらが自分に合うかは、キャリアの方向性次第だ。

Q. 自分の市場価値を知りたい

まずは現在のスキルセットで市場単価がどの程度なのかを客観的に把握することから始めるのがいい。市場単価診断ツールで3分ほどのチェックを行えば、あなたの経験・スキルに対する市場のレンジが分かる。


まとめ

生成AI時代にエンジニアの需要は減っていない。Heydayの案件数は2024年から一貫して増加しており、業界全体のIT人材不足も解消されていない。

ただし需要の中身は変わった。定型的なコーディングだけの案件は減り、AI活用前提の案件・上流工程を含む案件が増えている。

今後3年の予測として、2026〜2027年はAI本格実装期、2027〜2028年はAIエージェント普及期、2028年以降はAI前提の開発が標準化する。この変化の中で需要が増え続けるのは「AI活用スキル × 上流設計力 × ドメイン知識」の掛け算ができるエンジニアだ。

不安を感じるのは自然だ。しかしデータが示す現実は「需要は減っていない、変わっている」。変化に対応する意思があるなら、エンジニアとしてのキャリアは今後もポジティブだと、IT業界12年・SES事業6年の経営者として言える。


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まとめ

生成AI時代にエンジニアの需要は減っていない。ただし「何でも書けます」だけでは通用しなくなった。AI活用スキル・上流工程力・ドメイン知識の3つが、今後3年で需要の分水嶺になる。

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この記事の著者

小川将司
小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

IT業界12年・SES事業6年の経営者 兼 AI導入コンサルPMとして執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

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