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SES正社員が
LLM案件に入る方法

小川将司
小川将司代表取締役

SES事業6年・LLM案件の受発注と社員のキャリア支援を行ってきた経営者視点で執筆

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この記事でわかること

  • SES会社がLLMスキルを持つエンジニアをAI案件に配置しない3つの構造的理由
  • LLM案件に入れるスキルシートと入れないスキルシートの決定的な差
  • 会社への交渉で使える3つの交渉フレーム(断られにくい伝え方)
  • 社内交渉が無駄な場合の転職判断基準(3ヶ月待って変わらなければ)

この記事の対象: LLMスキルを習得したがSES会社からAI案件に配置されないSESエンジニア

「LLMスキルを習得したのに、なぜかまた保守・テスト案件に配置された」という相談が、2025年後半から急増している。

直接聞いた話では、ChatGPT APIを使ったツール開発をポートフォリオとして持ち、LangChainの基礎を独習し終えた段階で営業担当に「AI案件を希望したい」と伝えたところ、「いい案件が出たら考えます」と言われて3ヶ月が過ぎた——という状況だ。

これはエンジニア側の問題ではない。SES会社の構造的な問題だ。

Heydayの代表として、SES案件の受発注を6年間続けてきた立場からはっきり言う。SES会社がLLMスキルを持つエンジニアをAI案件に配置しない理由は、能力判定でも意地悪でもない。営業チャネルと社内評価基準に根本原因がある。

この記事では、その構造的原因を解説したうえで、SES正社員としてLLM案件に移行するための現実的な3ステップを詳しく説明する。会社交渉の具体的なセリフ、断られにくい伝え方、そして「3ヶ月待っても動かないなら転職する」という判断基準まで、経営者の本音で書く。


なぜLLMスキルがあるのにAI案件に入れないのか(SES会社の構造問題)

まず現実を直視する必要がある。LLMスキルを習得したのにAI案件に入れない場合、原因は99%の確率でSES会社側にある。以下の3つの構造的理由を理解することが、突破口を見つける第一歩だ。

理由1: 営業チャネルにAI案件がない

SES会社の売上は「エンジニアを案件にアサインした月数」で決まる。つまり、案件がない分野のスキルを持つエンジニアを抱えると、会社側はその期間を「待機(稼働ゼロ)」で計上しなければならない。

ほとんどのSES会社の営業チャネルは、顧客との長期関係の上に成り立っている。Java保守案件を10年取ってきたSES会社は、Java保守を必要としているSIerや顧客との関係が強く、LLM案件を発注するスタートアップや事業会社との接点がない。

「AI案件に入りたい」という希望を伝えても、営業担当は「案件を探します」と答えるだろう。しかし、営業の人脈ネットワークにAI案件クライアントがいなければ、いくら時間が経っても案件は出てこない。これは営業担当の怠慢ではなく、会社のビジネスモデル上の制約だ。

理由2: スキルチェンジより既存案件単価交渉の方が営業が楽

SES営業にとって、エンジニアを「別スキルの案件に移す」作業は非常にコストが高い。現案件との契約終了交渉、エンジニアの稼働ギャップ期間の管理、新しい案件クライアントへの提案——これらを全てゼロからやり直す必要がある。

一方、「今の案件の単価を月5万円上げる交渉」は、既存の関係性の上で比較的簡単にできる。営業にとってはスキルチェンジ配置より既存単価交渉の方が確実にコストが低い。

この非対称性が、エンジニア側が「AI案件希望」と言っても動きが鈍い理由だ。会社全体として損になる動きではないが、営業個人の工数インセンティブとは合わない。

理由3: AIスキルを持つエンジニアの「価値」を会社が測れない

スキルシートにLangChainと書いてあっても、営業担当は「それが案件でどう売れるか」を正確に理解できないことが多い。技術営業であれば別だが、多くのSES会社では営業担当がコードを書けるわけではない。

「RAGシステムの構築経験があります」と言われても、それが月単価85万円の案件に売れるスキルなのか、60万円止まりのスキルなのかを判断できない。評価基準がないため、「よくわからないから今の案件を継続しよう」という判断になりやすい。

代表・小川将司より: Heydayでも初期はこの問題があった。エンジニアから「LLMスキルがある」と言われても、どのレベルの案件に送り込めるかの判断基準がなかった。現在はPoC開発の有無・使用フレームワーク・出力サンプルの確認という3点でスクリーニングしているが、この評価方法を持っているSES会社はまだ少ない。(Heyday社内評価基準、2025年〜)


SES会社に「AI案件に入りたい」と伝えるための3ステップ

構造的原因が分かれば、対策は明確だ。「伝え方を変える」だけでは動かない。「会社が動かざるを得ない状況を作る」ことが必要だ。


ステップ1: スキルを「証明できる状態」にする

最大の壁は「AIスキルを持っていると言っても証明できない」問題だ。SES営業はコードを読めない。口頭で「LangChainが使えます」と言っても、それを案件クライアントに売ることはできない。

スキルシートに書けるLLM経験の基準

スキルシートに書けるレベルとは「動くものがある」状態だ。具体的には以下の基準を使う。

  • LLM API利用: ChatGPT/Claude APIを使い、ユーザーの入力を受け取って応答を返すWebアプリを作ったことがある
  • RAG実装: LangChainまたはLlamaIndexを使い、外部ドキュメントから回答を生成するシステムを作ったことがある
  • AIエージェント: ツール呼び出し(Function Calling)を使い、複数のステップを自律的に実行するエージェントを動かしたことがある

「学習した」「UdemyのコースをやりきったJはスキルシートには書けない。「動くものを作った」がラインだ。

GitHubポートフォリオの作り方

SES営業が案件クライアントに「このエンジニアにはLLMスキルがある」と証明するためには、URLで見せられるものが必要だ。GitHubのREADMEに以下を書いておく。

  1. 何を作ったか(1行)
  2. 使った技術(LangChain 0.x / OpenAI API / Chroma / FastAPI 等)
  3. デモ動画またはスクリーンショット(最重要)
  4. 工夫した点(RAGの精度改善・チャンク分割戦略・プロンプト最適化)

営業担当がそのURLを案件クライアントに送るだけで、「このエンジニアはこういうことができる」を伝えられる状態にする。README.mdに日本語で丁寧に書けば、技術担当でなくても理解できる。

「学習中」と「経験あり」の境界線

案件の面談で落とされないレベルを逆算すると、以下が最低ラインだ。

「私はLangChainを使い、PDFを読み込んでベクターDBに保存し、ユーザーの質問に回答を返すRAGシステムをFastAPIで実装しました。チャンクサイズの最適化とプロンプトのテンプレート設計を試行錯誤した経験があります」

これが言えて、GitHubにコードがあれば「LangChain+RAGの経験あり」として面談に出せる。言えない段階では、まず作ることを優先する。

RAGシステムの具体的な実装方法と案件単価への影響についてはLangChain・RAGエンジニアのSES案件単価で詳しく解説している。また、LLM以外も含むAI時代全体のスキルアップ戦略はSESエンジニアがAI時代に市場価値を上げるスキルアップロードマップを参照してほしい。


ステップ2: 社内交渉の進め方

スキルを証明できる状態になってから交渉に入る。順番が逆だと「まだ勉強中なんですね」で終わる。

誰に・いつ・どう伝えるか

交渉相手の選択が重要だ。

  • 営業担当(担当者レベル): 案件紹介の権限はあるが、新しいチャネルを開く権限はない。最初の接触先としては適切だが、決定権が限られる
  • 直属の上司または部門長: 「スキルチェンジ配置」を判断できる権限がある。営業担当にまず話し、動きがない場合は上司に直接相談する
  • 経営者・代表: 小規模SES会社(50名以下)では経営者が案件配置を最終決定している場合が多い。中小SES会社では経営者への直接アプローチが有効

タイミングは「現案件の契約更新1.5〜2ヶ月前」が最適だ。このタイミングなら「次の契約から希望分野に移りたい」という形で、現案件クライアントへの影響を最小化しながら交渉できる。

断られにくい交渉フレーム3選

フレーム1: 「単価アップ提案」フレーム

「AI案件に入れてほしい」という言い方より「AI案件の方が会社の売上も上がる」という言い方の方が動きやすい。

セリフ例: 「現在の案件は月単価○○万円ですが、LLMエンジニアの案件は相場が80〜100万円になっています。私はすでにRAGシステムを実装できる段階です(GitHubのURLを見せる)。もし次の更新からAI案件に移れれば、会社の売上も月○○万円改善します。私自身も市場価値が上がるので、双方にとって良いと思います」

数字を出すことが重要だ。会社側が「動く理由」を明確にする。LLMエンジニアのSES案件単価を参照すると、LangChain+RAG経験があれば70〜90万円レンジが現実的な相場だ。

フレーム2: 「現案件終了タイミング」フレーム

「今すぐ移りたい」ではなく「次の更新から」という伝え方で、会社側の準備コストを下げる。

セリフ例: 「今の案件は今月末で契約更新がありますが、その次の更新(3ヶ月後)を更新しない方向で考えています。理由は、LLMエンジニアとしてキャリアを積みたいからです。3ヶ月あればAI案件を探す時間もあると思いますし、今の案件のクライアントへの引き継ぎも十分できます」

「今すぐ」という言い方は会社側に即対応を求めるプレッシャーを与える。「3ヶ月後」という余裕を持たせると、会社側が「それなら探してみよう」と動きやすい。

フレーム3: 「スキル証明先行」フレーム

「やらせてください」ではなく「すでにできます」という伝え方が最も強い。

セリフ例: 「先日、RAGシステムを個人で実装しました(GitHubのURLを渡す)。LangChainとOpenAI APIを組み合わせて、PDFドキュメントへの質問応答システムを作っています。このスキルセットでアサインできるAI案件があれば、面談の機会を作っていただけませんか」

「できると言っている」より「作ったものがある」の方が、営業担当が動く根拠になる。GitHubのURLは必ず渡す。

具体的なスクリプト(会話の流れ)

【場面】営業担当との定期面談、または日常的な連絡のタイミング

エンジニア:「先日お時間をいただいてありがとうございます。
今後のキャリアについて相談したいことがあります。

実は、ここ半年ほど個人でLLM開発のスキルを習得していて、
先日RAGシステムを実装しました(URLを見せる)。
LangChainとFastAPIを使い、PDFを読み込んで質問に答えるシステムです。

現在の案件の単価は月○万円ですが、LLMエンジニアの案件は
相場が80〜90万円になっていると調べました。
もし次の更新タイミング(○月末)から、AI開発系の案件に移れないか相談させていただきたいです。
会社にとっても売上が上がるはずですし、私のキャリアのためにもなります。

GitHubのURLをお渡しするので、一度見ていただけますか」

(GitHubのURLを渡す)

ステップ3: 会社がLLM案件を持っているか確認する方法

交渉を始める前に、そもそも会社がLLM案件を持っているかを確認する必要がある。持っていない会社に何ヶ月交渉しても無駄だ。

確認すべき5つの質問

以下を営業担当に直接聞く。回答の内容で、その会社がLLM案件を扱えるかが分かる。

  1. 「最近、LLM開発やRAG構築の案件を扱いましたか?」 → 「ある」と答えられるかどうか。曖昧な回答は「ない」と同義

  2. 「現在、AIエンジニアとして稼働しているエンジニアは社内に何人いますか?」 → ゼロまたは「わからない」なら、AI案件チャネルがない可能性が高い

  3. 「AI・LLM系案件の年間取引額は、全体の何パーセントくらいですか?」 → 10%未満なら中心的なチャネルではない

  4. 「AIスキルを持つエンジニアの単価評価はどう行っていますか?」 → 評価基準がある会社は「こういうスキルがあれば○○万円」と答えられる

  5. 「LLM案件を発注している事業会社・スタートアップとの取引はありますか?」 → SIer経由の孫請けのみの会社は、LLM案件が来にくい構造

AI案件を扱っているSES会社の見分け方

  • 求人票に「AI案件」「生成AI」「LLM開発」が具体的に書かれている
  • 取引先に事業会社・スタートアップが含まれる(SIerのみはリスク)
  • 案件紹介時に「単価レンジ」を具体的に提示できる
  • 技術系の営業担当またはエンジニア出身の営業担当がいる

社内交渉が無駄な場合:転職の判断基準

交渉しても動かない会社は存在する。その場合は転職を選ぶことが合理的だ。

3ヶ月待っても変わらない場合の判断基準

以下のチェックリストを使って判断する。

  • 交渉から3ヶ月が経過した
  • 「AI案件を探しています」という言葉のみで、具体的な案件名・面談の日程が一度も出ていない
  • 5つの確認質問をして、満足な回答が返ってこなかった
  • 現在の案件の契約が6ヶ月以上継続しており、次の更新交渉のタイミングが来た

これらのうち3つ以上に当てはまる場合、会社にLLM案件チャネルがない可能性が高い。転職を検討する段階だ。

SES転職のタイミングの記事でも解説しているが、転職には最適なタイミングがある。現案件の契約更新前の1.5〜2ヶ月前に転職活動を開始するのが、現職への影響を最小化しながら動ける最善の方法だ。

AI案件に強いSES会社の選び方

転職先を選ぶときに確認すべきことは3点だ。

  1. 現在AIエンジニアが何人稼働しているか: 「これから増やしたい」ではなく「今すでに稼働している」が重要。実績がある会社はチャネルが確立されている

  2. 取引先に事業会社が含まれるか: LLM案件を発注する主体はメガベンチャー・スタートアップ・事業会社だ。SIerのみの取引先ではLLM案件は来にくい

  3. 単価還元率と評価基準が明確か: AI案件の単価が上がるなら、エンジニアへの還元率と評価基準が透明な会社を選ぶべきだ

Heydayでは市場単価診断を使って、現在のスキルセットで入れる案件の単価レンジを確認できる。転職検討前に使ってみてほしい。

転職するなら今の会社でスキルを積んでからか、今すぐか

これはケースバイケースだが、判断基準は「今の案件でLLMスキルが使えるか」だ。

使える場合: たとえば業務効率化ツールとしてLLMを組み込む余地がある案件なら、現職でスキルを積んでから転職する方が「実務経験あり」として転職市場に出られる。

使えない場合: 保守・テストのみの案件でLLMスキルを使う機会が一切ない場合、今すぐ転職する方が時間のロスが少ない。LLM分野は技術進化が速く、半年の実務経験の差が大きな差を生む。


Heydayが実際にやっていること(経営者の本音)

Heydayの代表として、現実を正直に話す。

LLMスキルを持つエンジニアへの具体的な対応

Heydayでは「AI案件に入りたい」と申告したエンジニアに対して、以下のプロセスを踏んでいる。

  1. スキルレベルの確認: GitHubのポートフォリオを確認し、どのレベルの案件に送り込めるかを判定する
  2. 案件マッチング: 現時点で取り扱い中のLLM関連案件の単価・要件・リモート可否を提示する
  3. 面談サポート: AI案件の面談では技術的な確認が入ることが多いため、事前に想定質問を共有する

「AI案件入りたい」という申告から実際の案件アサインまでの平均は、スキルレベルが証明できている場合で4〜6週間程度だ。スキルが未証明の状態では、まずポートフォリオ整備のフィードバックを行う。

実際の移行事例(匿名)

事例A: Javaの保守案件に4年在籍していたエンジニア。個人でRAGシステムを実装し、GitHubに公開した状態でHeydayに移行。移行後2ヶ月でLangChain+FastAPIを使う社内DXツール開発案件にアサイン。月単価は前案件比+28万円。

事例B: インフラエンジニア出身でPythonの基礎はあるが、LLM経験はChatGPT APIを個人で触った程度の状態。Heyday移行後、まず月単価65万円のLLM API統合案件からスタート。3ヶ月の実績を積んだ後、RAGシステム開発案件(月単価82万円)に移行。

事例C: SES会社で「AI案件を探す」と言われ続けて8ヶ月待ったエンジニア。Heydayに問い合わせた段階では、すでにLangChainのRAG実装経験(個人プロジェクト)があった。Heydayでは問い合わせから3週間で案件面談まで進み、月単価85万円の事業会社向けLLMシステム開発にアサイン。

Heydayの限界と正直な自己評価

全てのLLMスキルレベルに対応できるわけではない。ファインチューニング・LLMOpsの高度な経験が必要な案件は、Heydayが現時点で強いチャネルを持っているとは言えない。月単価100万円以上のハイレベルLLM案件は、よりAI特化のエージェントやスタートアップへの直接応募の方が速い場合がある。

Heydayが強みを持っているのは「LLM経験はあるがSES会社に評価されていない層」への案件マッチングだ。月単価65〜95万円のRAG実装・LLM API統合・AIエージェント開発のレンジであれば、案件チャネルがある。


LLM案件に入った後のキャリアパス

LLM案件に入ってからのキャリアの積み方も重要だ。

最初のLLM案件でどんなスキルが身につくか

最初のLLM案件は「LLM API統合」系が多い。既存のシステムにChatGPT APIやClaude APIを組み込む仕事だ。ここで身につくスキルは以下だ。

  • プロンプトエンジニアリング(業務ユースケースに合わせた設計)
  • LLMのコスト管理とレスポンス速度の最適化
  • LLMのハルシネーション対策の実装パターン
  • API連携のエラーハンドリングと監視設計

この経験を積んだ後、RAG構築・AIエージェント設計という上位スキルへのステップアップができる。

次の案件での単価交渉で使える実績の作り方

単純に「LLM案件の経験があります」より、具体的な成果を言語化した方が単価交渉で強い。

  • 「ChatGPT APIを統合し、社内問い合わせ対応を40%削減した」
  • 「RAGシステムの検索精度をベースラインから15%改善した(チャンク戦略の最適化)」
  • 「LLMのAPI呼び出しコストを月額30万円から12万円に削減した(キャッシュ戦略とモデル選択の最適化)」

数字で言える実績を1案件ごとに最低1つ作ることを意識する。スキルシートに書く「実績」欄に定量的な数字があると、面談での単価交渉が圧倒的にしやすくなる。

SES正社員→フリーランス転向のタイミング

LLMエンジニアとしてSES正社員のままでいるか、フリーランスに転向するかは重要な判断だ。

一般的な目安として、LLM実務経験が2年以上あり、RAG構築またはAIエージェント設計の案件で成果を出した経験があれば、フリーランス転向が現実的な選択肢になる。

LLMエンジニアのSES案件単価で解説している通り、AIエージェント設計まで経験があるフリーランスエンジニアの月単価は90〜120万円以上が相場だ。SES正社員の手取りとの差額計算と、社会保険・確定申告コストを比較したうえで判断する。

経験1年未満での転向は早い。LLM案件の経験が浅いうちは、SES正社員として案件を重ねながら実績を積む方が、フリーランス転向後の交渉力が高まる。

SES正社員とフリーランスの完全比較ガイドも参考にしてほしい。


FAQ

Q1. LLMスキルがあるとSES会社に伝えたら断られました。なぜですか?

「断られた」というより、会社がLLM案件のチャネルを持っていないため「対応できない」状態である可能性が高い。この場合、交渉の相手を変えるか(部門長・経営者へ直接)、AI案件チャネルを持つ会社への転職を検討するタイミングだ。

スキルの証明ができているか(GitHubポートフォリオがあるか)も確認してほしい。「あります」という口頭説明だけでは、営業が動く根拠にならない。

Q2. スキルシートにLangChainを書くためには何ができる必要がありますか?

最低ラインは「LangChainを使ったRAGシステムを作り、GitHubに公開した状態」だ。具体的には、外部ドキュメント(PDF・テキスト)を読み込み、ベクターDB(ChromaまたはFAISS)に保存し、ユーザーの質問に対して関連箇所を取得して回答を生成するシステムが動作すること。

チャンクサイズの設定、埋め込みモデルの選択、プロンプトテンプレートの設計といった実装の判断ができる状態であれば、案件面談で「経験あり」として通るレベルだ。

Q3. 現在の案件契約中にAI案件への移行交渉をしていいですか?

してよい。ただし現案件クライアントへの影響を最小化するため、契約更新の1.5〜2ヶ月前に「次の更新から」という形で交渉するのが適切だ。「今すぐ抜けたい」という交渉は会社・クライアント双方に迷惑をかけ、関係が悪化するリスクがある。

Q4. AI案件は現場常駐が多いですか?リモートはありますか?

LLM案件は業務の性質上、週2〜3日リモートまたはフルリモートが多い。LLMシステムの開発はコードとドキュメントで進む仕事が多く、常駐が必須な案件は少ない。ただし顧客のセキュリティポリシーによって異なるため、面談時に確認することを推奨する。

Q5. SES会社がLLM案件を持っているか確認する方法はありますか?

本文で紹介した5つの質問を直接聞くのが最も確実だ。加えて、会社のWebサイトや採用ページに「AI案件」「生成AI」「LLM開発」という言葉が具体的に書かれているか、在籍エンジニアの技術ブログやLinkedInプロフィールにAI関連の実績があるかを調べることも有効だ。

Q6. 独学でLLMスキルを習得した場合でも案件に入れますか?

入れる。案件クライアントが評価するのは「どこで学んだか」ではなく「何ができるか」だ。独学であっても、RAGシステムのGitHubポートフォリオがあり、面談で実装の詳細を説明できれば、実務経験者と同等に評価される案件は存在する。

最初の案件は単価が控えめになることが多いが、実務経験を1件積んだ後は、その実績をベースに単価交渉ができるようになる。

Q7. LLM案件への移行に資格は必要ですか?

必須ではない。ただし「スキルの証明」として機能する資格は存在する。Google Cloud Professional Machine Learning Engineer、AWS Certified Machine Learning - Specialty、Microsoft Azure AI Engineer Associateは、LLMシステムのクラウド基盤として使われるサービスの知識を証明できる。

資格取得よりポートフォリオ整備の方が優先度は高いが、学習の指針として活用するのは有効だ。

Q8. 今の会社でAI案件に入れない場合、転職した方がいいですか?

交渉して3ヶ月動きがない場合は転職を検討する段階だ。ただし転職前に確認すべきことがある。転職先候補の会社が「現在AIエンジニアを稼働させているか」「LLM案件の取引実績が具体的にあるか」を確認したうえで動く。「将来的にAI案件を増やしたい」という会社への転職では状況が変わらない可能性がある。

Q9. SES正社員からフリーランスに転向するのはLLM経験何年目が最適ですか?

LLM実務経験2年が現実的な目安だ。1年目はRAG実装・LLM統合の基礎を積む段階で、フリーランス転向するには経験が浅い。2年目以降にAIエージェント設計・LLMOpsの経験が加わると、月単価90万円以上の案件に独立して入れる可能性が高まる。

詳しくはSES正社員とフリーランスの完全比較ガイドを参照してほしい。

Q10. HeydayではLLMエンジニアとして案件に入れますか?

LangChain+RAGレベル以上のスキルがある場合、案件チャネルがある。Heydayが現在強みを持っているのは月単価65〜95万円のレンジで、LLM API統合・RAG構築・AIエージェント開発の案件だ。

市場単価診断でまず現在のスキルレベルと案件マッチを確認し、その後相談フォームから連絡してほしい。スキルシートが未整備の段階でもポートフォリオのフィードバックは行っている。


LLMスキルを習得したのにAI案件に入れない状況は、多くの場合エンジニア側の問題ではなくSES会社の構造問題だ。対策は「会社が動かざるを得ない状況を作ること」——スキルを証明できる状態にして、会社にとってもメリットのある交渉フレームで話す。

3ヶ月交渉して動かない会社には、AI案件チャネルがない可能性が高い。その場合は転職を選ぶ方が時間のロスが少ない。

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この記事の著者

小川将司
小川将司

Heyday株式会社 代表取締役

SES事業6年・LLM案件の受発注と社員のキャリア支援を行ってきた経営者視点で執筆

Heyday株式会社 代表取締役。エンジニア・PM/PdMを経験後、SES事業を創業。複数クライアント現場でAI導入コンサルティングを担当。「ITをもっとフェアに」を掲げ、マージン構造の開示に取り組む。

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